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第31回 省エネ設備を導入すると最大10%の税額控除!お得な公的融資もご紹介!

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 世界各国で環境問題に大きな関心が寄せられている中、日本も国の重点施策としてカーボンニュートラルを推進しています。カーボンニュートラルとは、省エネや脱炭素化の設備導入・技術開発を通じて二酸化炭素削減を行い、二酸化炭素の排出量を実質ゼロにする取組を指します。
 2021年、菅首相は2050年にカーボンニュートラルの実現を目指すことを宣言し、「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定しまた。自然エネルギー、交通手段、家庭・オフィス環境整備等さまざまな方面でカーボンニュートラル実現のための取組を推奨しています。
 金融面でも令和3年度の税制改正で、青色申告を行った企業が省エネ設備を導入した場合に税額控除を行う「カーボンニュートラル投資促進税制」という制度が設けられました。今回はこの省エネ税制についてご紹介します。加えて、新型コロナウイルスの影響を受けた事業者向けのお得な公的融資「新型コロナウイルス感染症対応融資(伴走)」もご紹介します。
カーボンニュートラル投資促進税制の対象となる設備は「大きな脱炭素化効果を持つ製品の生産設備」と「生産工程等の脱炭素化と付加価値向上を両立する設備」の2つがあります。
 前者は、二酸化炭素の削減効果が大きく、尚且つ需要拡大が見込まれる製品の生産を行うための設備が対象となります。製品の具体例としては「省電力性能に優れたパワー半導体」、「電気自動車等向けのリチウムイオン蓄電池」、「燃料電池」、「洋上風力発電設備の主要専用部品」等が挙げられます。この設備を導入した場合、税額控除10%もしくは特別償却50%の税制優遇を受けられます。
 後者はオフィスや工場の炭素生産性(生産性向上とCO2の排出削減を測るための指標)を向上させるために必要な設備が対象となります。具体例としては「最新鋭の熱ボイラー設備」、「最先端省エネ機能を搭載した複合機」等が挙げられます。この設備を導入した場合、炭素生産性の向上度合いに応じて、5%か10%の税額控除、または50%の特別償却という税制優遇が受けられます。
 尚、カーボンニュートラル投資促進税制には税額控除の上限があり、当期法人税額の20%までしか控除されません。また、カーボンニュートラル投資促進税制が適用されるためには、設備を導入する前に、産業競争力強化法に基づく「事業適応計画」という事業計画の認定を受ける必要があります。この事業計画は、自社を取り巻く事業環境の変化に適用するために、新製品・新サービスの生産や生産方式の更新等の事業変革を通じて、産業競争力の強化を図る取組を支援するものです。
このカーボンニュートラル投資促進税制に関連して、「繰越欠損金の控除上限引き上げの特例」という税制優遇も設けられています。こちらはカーボンニュートラルやウィズコロナに対応するための設備投資を行った場合、欠損金の繰越控除の上限を50%から最大100%に引き上げるものです。尚、欠損金はコロナ禍で生じた欠損金が対象となり、控除上限引上げ期間は最長5事業年度となります。
 また税制優遇の他に、新型コロナウイルスの影響を受けた事業者に対して、「新型コロナウイルス感染症対応融資(伴走)」という公的融資も設けられています。
以前はセーフティネット4号(突発的災害)・5号(業況が悪化している業種)の認定を取得した事業者のみ利用可能となっていましたが、今回から新型コロナウイルス感染症の影響により売上が15%減少していればどの事業者でも利用可能となりました。融資申請時に経営行動計画の策定が必要であり、融資を実行した場合、5年間金融機関が事業者の経営改善の伴走支援を行います。
融資利率は1.5%以内~2.2%以内となり、融資限度額は6000万円です。また、信用保証料は事業者がセーフティネット4号・5号の認定を取得した場合、一律0.2%となるよう国が補助します。利用しない場合は事業者負担が最小で0.2%となるよう国が補助します。
 東京都ではこの「新型コロナウイルス感染症対応融資(伴走)」の上乗せ融資も行っています。融資限度額は2億2千万円であり、国のものも合計すれば最大2億8000万円の融資を受けられます。信用保証料も国の融資に係る事業者負担分を都が全額補助します。都の融資の場合、2千万円までは全額補助、2千万円超は4分の3補助となります。
 今回ご紹介した税制優遇や融資の他にも、国・自治体でさまざまな支援制度が設けられています。コロナ禍の影響を少しでも軽減するため、これら制度を積極的に活用していきましょう。

カーボンニュートラル投資促進税制 省エネ設備を導入した場合、税額控除10%もしくは特別償却50%の税制優遇
繰越欠損金の控除上限引き上げの特例 カーボンニュートラルやウィズコロナに対応するための設備投資を行った場合、欠損金の繰越控除の上限を50%から最大100%に引き上げ
新型コロナウイルス感染症対応融資(伴走) 新型コロナウイルス感染症の影響により売上が15%減少した場合、最大6000万円を融資。 東京都の上乗せ融資を活用した場合、最大2億8000万円を融資。

執筆者情報

株式会社ナビット

わたしたち株式会社ナビットは補助金・助成金情報検索サイト「助成金なう」を運営しております。
「助成金なう」では官公庁や地方自治体、財団・協会で公示されている全国各地の補助金・助成金を検索できます。また、顧客にとって最適な補助金・助成金のご提案、補助金・助成金に関する疑問をわかりやすく解説するサービスなども行っております。
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 世界各国で環境問題に大きな関心が寄せられている中、日本も国の重点施策としてカーボンニュートラルを推進しています。カーボンニュートラルとは、省エネや脱炭素化の設備導入・技術開発を通じて二酸化炭素削減を行い、二酸化炭素の排出量を実質ゼロにする取組を指します。 2021年、菅首相は2050年にカーボンニュートラルの実現を目指すことを宣言し、「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定しまた。自然エネルギー、交通手段、家庭・オフィス環境整備等さまざまな方面でカーボンニュートラル実現のための取組を推奨しています。 金融面でも令和3年度の税制改正で、青色申告を行った企業が省エネ設備を導入した場合に税額控除を行う「カーボンニュートラル投資促進税制」という制度が設けられました。今回はこの省エネ税制についてご紹介します。加えて、新型コロナウイルスの影響を受けた事業者向けのお得な公的融資「新型コロナウイルス感染症対応融資(伴走)」もご紹介します。カーボンニュートラル投資促進税制の対象となる設備は「大きな脱炭素化効果を持つ製品の生産設備」と「生産工程等の脱炭素化と付加価値向上を両立する設備」の2つがあります。 前者は、二酸化炭素の削減効果が大きく、尚且つ需要拡大が見込まれる製品の生産を行うための設備が対象となります。製品の具体例としては「省電力性能に優れたパワー半導体」、「電気自動車等向けのリチウムイオン蓄電池」、「燃料電池」、「洋上風力発電設備の主要専用部品」等が挙げられます。この設備を導入した場合、税額控除10%もしくは特別償却50%の税制優遇を受けられます。 後者はオフィスや工場の炭素生産性(生産性向上とCO2の排出削減を測るための指標)を向上させるために必要な設備が対象となります。具体例としては「最新鋭の熱ボイラー設備」、「最先端省エネ機能を搭載した複合機」等が挙げられます。この設備を導入した場合、炭素生産性の向上度合いに応じて、5%か10%の税額控除、または50%の特別償却という税制優遇が受けられます。 尚、カーボンニュートラル投資促進税制には税額控除の上限があり、当期法人税額の20%までしか控除されません。また、カーボンニュートラル投資促進税制が適用されるためには、設備を導入する前に、産業競争力強化法に基づく「事業適応計画」という事業計画の認定を受ける必要があります。この事業計画は、自社を取り巻く事業環境の変化に適用するために、新製品・新サービスの生産や生産方式の更新等の事業変革を通じて、産業競争力の強化を図る取組を支援するものです。このカーボンニュートラル投資促進税制に関連して、「繰越欠損金の控除上限引き上げの特例」という税制優遇も設けられています。こちらはカーボンニュートラルやウィズコロナに対応するための設備投資を行った場合、欠損金の繰越控除の上限を50%から最大100%に引き上げるものです。尚、欠損金はコロナ禍で生じた欠損金が対象となり、控除上限引上げ期間は最長5事業年度となります。 また税制優遇の他に、新型コロナウイルスの影響を受けた事業者に対して、「新型コロナウイルス感染症対応融資(伴走)」という公的融資も設けられています。以前はセーフティネット4号(突発的災害)・5号(業況が悪化している業種)の認定を取得した事業者のみ利用可能となっていましたが、今回から新型コロナウイルス感染症の影響により売上が15%減少していればどの事業者でも利用可能となりました。融資申請時に経営行動計画の策定が必要であり、融資を実行した場合、5年間金融機関が事業者の経営改善の伴走支援を行います。融資利率は1.5%以内~2.2%以内となり、融資限度額は6000万円です。また、信用保証料は事業者がセーフティネット4号・5号の認定を取得した場合、一律0.2%となるよう国が補助します。利用しない場合は事業者負担が最小で0.2%となるよう国が補助します。 東京都ではこの「新型コロナウイルス感染症対応融資(伴走)」の上乗せ融資も行っています。融資限度額は2億2千万円であり、国のものも合計すれば最大2億8000万円の融資を受けられます。信用保証料も国の融資に係る事業者負担分を都が全額補助します。都の融資の場合、2千万円までは全額補助、2千万円超は4分の3補助となります。 今回ご紹介した税制優遇や融資の他にも、国・自治体でさまざまな支援制度が設けられています。コロナ禍の影響を少しでも軽減するため、これら制度を積極的に活用していきましょう。
2022.03.01 17:13:40