育児・介護休業法<改正ポイント②>
今日は守田社労士の訪問日です。
リエ「守田先生、こんにちは。前回の育児・介護休業法の改正点の続きをお願いします。」
守田「はい、今日は『雇用環境整備、個別の周知・意向確認の措置の義務化』について説明します。こちらも前回と同様に令和4年4月1日施行です。」
リエ「なんだか、漢字ばかりで難しそうですね。」
守田「言われてみれば、そうですね。簡単に言えば、育児休業を取得したいと思っている人が、より取得しやすい環境を整えるといったところでしょうか。」
リエ「具体的にはどんなことですか。」
守田「まず、『雇用環境整備』についてですが、次の4項目のうちのいずれかの措置を講じなければなりません。①育児休業に関する研修の実施、②育児休業に関する相談体制の整備等(相談窓口設置)、③自社の労働者の育児休業取得事例の収集・提供、④自社の労働者へ育児休業制度と育児休業取得促進に関する方針の周知、以上です。」
リエ「なるほど、育児休業が今より身近になる感じですね。」
守田「そうですね。1項目だけでなく複数の措置を講じることが望ましいとされていますので、無理のない範囲でご対応をお願いします。」
リエ「わかりました。もう一つはどういうことですか。」
守田「『個別の周知・意向確認の措置の義務化』ですね。本当に固い言葉ですよね、具体的には、ご本人や配偶者の妊娠や出産を申し出た労働者に対して、個別に周知する事項が4項目、そして休業の意向確認をやはり個別に行わなければなりません。周知する事項は、①育児休業に関する制度、②育児休業の申し出先、③育児休業給付に関すること、④労働者が育児休業期間について負担すべき社会保険料の取扱い、以上です。また、個別の周知・意向確認の方法は、①面談(オンライン面談も可)、②書面交付、③FAX、④電子メール、のいずれかとなっています。」
リエ「つまり、育児休業の対象者には個別に説明したうえで、取得の希望も個別に確認してくださいってことですね。」
守田「そういうことです。女性社員はご自身の出産ですから迷うことなく申し出られるケースが多いと思いますが、男性社員は自分からは申し出にくいけど、会社側から情報を伝えてもらえればハードルは下がりますよね。」
リエ「確かにそうですね。男性の育休はまだまだ当たり前にはほど遠いですから、会社のほうから声をかければ、取得しやすくなるような気がします。」
守田「実は、数年前の調査で、産後1年間に死亡した母親の死亡原因の1位が自殺という結果が出ているんです。」
リエ「え……。」
守田「男性が育休なんてって思う人は今もたくさんいると思いますが、出産は一生のうちにそんなにたくさん経験することではありませんし、命を授かるとっても大きな出来事なんですよね。当事者にしかわからない不安や悩みも出てくると思います。お父さんの育休取得が増えることで、そういうものが軽くなるといいですよね。」
リエ「子供が生まれるって聞くと、嬉しいとか幸せっていうポジティブな気持ちになりますが、そればかりじゃないんですね。業務の配分を考えると厳しいこともありますが、新しい命をみんなで育てるくらいの気持ちで、パートさんや派遣さんの力も借りながら、男性社員の育休取得についても前向きに考えていこうと思います。」
守田「そう思ってもらえたならうれしいです。令和4年4月から変更になるのは以上ですが、令和4年10月に『産後パパ育休(出生時育児休業)』という制度も新設されます。詳細は10月が近くなった頃にお話ししますが、今日説明した『雇用環境整備、個別の周知・意向確認の措置の義務化』も、10月以降は通常の育児休業だけでなく『産後パパ育休』についても対象となりますよ。」
リエ「育児休業についてはまだまだ進化していくのですね、また教えてください。今日はありがとうございました。」