少額の減価償却資産などの損金算入制度の見直し
リエ「令和4年度の税制改正大綱で気になる税制改正案はありますでしょうか。」
黒田「そうですね。少額の減価償却資産などの損金算入制度についての税制改正案があります。減価償却資産は、通常、法定耐用年数に基づいて計算した減価償却費を損金算入することとなりますが、使用期間が1年未満又は取得価額が10万円未満の少額の減価償却資産は、事業の用に供した年度に取得価額の全額を損金算入することができます。今回の改正案では、取得価額が10万円未満の減価償却資産について、主要な事業として行われる場合を除き、貸付けの用に供したものは、取得価額の全額を損金算入することができなくなり、通常の減価償却により損金算入することとなります。」
リエ「なぜそのような改正案が盛り込まれたのでしょうか。」
黒田「工事現場などで使用される足場材料のレンタルビジネスやドローンのレンタルビジネスなどの節税対策を防止するためと思われます。足場材料やドローンは、1単位当たり10万円未満で購入可能のため、事業の用に供した年度に取得価額の全額を損金算入することができ、課税の繰延べが可能となっていたことから、今回の改正案で見直されたと考えられます。」
リエ「なるほど。レンタルビジネスなどを主要な事業として行っている場合は、少額の減価償却資産について、取得価額の全額を損金算入することができるのでしょうか。」
黒田「はい。主要な事業として行われる場合は除かれているので、リース・レンタル事業者や不動産賃貸業者などがその事業のために賃貸する少額の減価償却資産は、主要な事業として行われる貸付けと考えられ、取得価額の全額を経費計上することができると思われます。」
リエ「弊社では資産の貸付けを主要な事業として行ってないので、貸付けの用に供するために減価償却資産を購入したら、取得価額の全額を損金算入できないということですね。」
黒田「そのようになります。一括償却資産の損金算入制度や中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例も同様の取扱いとなり、主要な事業として行われる場合を除き、貸付けの用に供したものは、通常の減価償却により損金算入することとなります。なお、税制改正大綱では、これらの税制改正案の適用開始時期や主要な事業として行われる貸付けの内容について明らかとされていないため、新規事業としてレンタルビジネスなどを始める場合には注意が必要です。」
リエ「わかりました。ありがとうございます。」