相続税―延納と物納
1 延 納
(1) 相続税を納期限までに納付できない場合は、次の要件により延納することができます。
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要 件 |
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① |
相続税額が10万円を超えること |
② |
納期限までに、又は納付すべき日に金銭で納付することを困難とする事由があること |
③ |
必要な担保の提供があること(ただし、延納税額が100万円以下で、かつ、その延納期間が3年以下である場合、担保提供は不要) |
④ |
納期限までに納税義務者の申請があること |
(2) 延納期間と利子税
課税財産価額に占める不動産等の割合により、延納期間や延納期間中に係る利子税の割合が決められています。
2 物 納
次の要件を満たすときは、納付を困難とする金額を限度として物納(相続税を相続した財産で納付する方法)が認められます。
なお、相続時精算課税に係る贈与によって取得した財産を除きます。
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要 件 |
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① |
延納によっても金銭で納付することを困難とする事由があること |
② |
納税義務者の申請により税務署長の許可を受けること |
③ |
その財産が相続又は遺贈により取得した財産等で物納可能な財産であること 例えば、(イ)不動産及び船舶(ロ)有価証券(国債及び地方債、社債・株式・投資有価証券又は貸付信託の受益証券等)(ハ)動産 |
●物納不適格財産の例 譲渡制限株式等 |
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●物納劣後財産(他に物納適格財産がない場合に限り物納を認める財産)の例 相続人が居住又は事業の用に供している家屋及び土地等 |
【注意】
◎ 延納・物納の変更(相法47、48の2)
物納申請から延納申請への変更は可能です。なお、延納申請から物納申請への変更は一定の要件を満たす場合、申告期限から10年以内に限り可能です。
◎ 物納と遺産分割協議
遺産分割協議が調うまでは、その遺産は相続人全員の共有財産となります。共有財産は物納が認められないため、物納申請の期限内に遺産分割協議が調わなければ原則として物納できません。
このコンテンツの内容は、令和3年4月20日現在の法令等によっています。