美術品等が減価償却費資産に該当するケース
リエちゃんがなにやら怒っているようです。
旭課長「リエちゃん。どうかしたの?」
リエ「あっ! 旭課長。ちょっとこれ、どう思います? こんなもの会社のお金で購入していいのですか?」
旭課長「なんの事だい? あ~、この絵画ね。なんだか社長がえらく気に入ってね。応接室に是非飾りたいと意気込んでいたよ。それでいくらするの?」
リエ「80万円ですよ。」
旭課長「80万円か……結構するね。」
リエ「これはどうやって処理すればいいんですか? 社長の役員賞与でいいですか?」
旭課長「いやいや! 応接室に飾るのだから、あくまで事業用だよ。たしか高額な美術品は資産に計上して減価償却できないんじゃなかったかな。ねえ、黒田さん?」
黒田「以前は、美術関係の年鑑等に登録されている作者の作品や取得価額が20万円(絵画については号当たり2万円)以上のものは減価償却できませんでした。ところが通達が改正され、平成27年1月1日以後取得する美術品等については、取得価額が100万円未満の美術品等は原則として減価償却資産に該当し、取得価額が100万円以上の美術品等は原則として非減価償却資産に該当することになりました。」
リエ「たしかに20万円という基準は低すぎますよね。」
黒田「なお、取得価額が100万円以上の美術品等であっても『時の経過によりその価値が減少することが明らかなもの』に該当する場合は減価償却資産として取り扱います。逆に取得価額が100万円未満であっても『時の経過によりその価値が減少しないことが明らかなもの』は減価償却資産に該当しません。」
旭課長「時の経過によりその価値が減少することが明らかな美術品等とは、どういった美術品ですかね?」
黒田「例えば、(1)会館のロビーや葬祭場のホールのような不特定多数の者が利用する場所の装飾用や展示用(有料で公開するものを除く)として取得されるものであること、(2)移設することが困難で当該用途にのみ使用されることが明らかなものであること、(3)他の用途に転用すると仮定した場合に、その設置状況や使用状況から見て美術品等としての市場価値が見込まれないものであること、などが挙げられています。」
リエ「では、この絵画の場合は(1)に該当して減価償却できるのですね。法定耐用年数は何年ですか?」
黒田「器具及び備品の室内装飾品のうちその他のものに該当するので8年ですね。」
リエ「なるほど。ありがとうございました!」