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第27回 低感染リスク型ビジネス枠も登場!ものづくり補助金の最新情報!

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中小企業庁から通年で公募されている「ものづくり補助金」は中小企業による新製品・新サービス開発や生産プロセスの改善を支援する最も人気が高い補助金の1つです。2021年はポストコロナに向けた新しい取組を支援する低感染リスク型ビジネス枠が新しく設けられ、コロナ禍で影響を受けた企業の支援という色合いが強くなっています。今回はものづくり補助金の最新情報について解説します。
対象者は例年通り中小企業と小規模事業者、及び一部の特定非営利活動法人となります。尚、2021年から「公募開始時点において、直近3年間の各事業年度における課税所得の年平均額15億円を超える中小企業等は対象外」との要件も加わりました。つまり、コロナ禍でも売上が大きい事業者は支援する必要がないと見做され、対象外となります。
ものづくり補助金は2つの型と2つの枠に分かれます。まず「型」は一般型とグローバル型があります。一般型は革新的な製品やサービス開発、生産プロセスの改善を支援するものであり、採択事例としては「伝統郷土菓子の冷凍商品化による拡販・ブランド力アップ」「中小企業の生産性向上を実現するRPAプラットフォームサービスの開発」「クラウド化の促進による障がいを持つ児童への支援強化事業」等があります。補助上限額1000万円、補助率2分の1となります。
グローバル型は海外への直接投資や国内のインバウンド市場開拓等、その名の通りグローバル展開を視野に入れた革新的な事業を支援するものであり、補助上限額3000万円、補助率2分の1となります。また、事業実施期間は12カ月間となり一般型の10カ月間より長いのも特徴です。
次に「枠」ですが、「通常枠」と「低感染リスク型ビジネス枠」があります。通常枠は上述の一般型・グローバル型の取組を指しますが、低感染リスク型ビジネス枠は対人接触を減らすための革新的な製品・サービス開発、生産プロセス改善を支援します。「経営コンサルティングのスマホアプリによる非対面式WEBサービス化」「遠隔操作技術を活用した完全非対面型空間PCR検査技術の確立」「人気洋菓子店のカット包装工程自動化による低感染での生産性向上」等の採択事例があります。尚、グローバル型に低感染リスク型ビジネス枠はありません。
低感染リスクビジネス枠で申請した場合、補助率は2/3にアップします。また、低感染リスク型ビジネス枠で採択されなかった場合、通常枠で優先的に採択されるとのことです。さらに、通常枠では対象とならない広告宣伝・販売促進にかかる経費も補助対象として認められます。新しく始めようと検討している事業が新型コロナ対策に関連するのであれば、低感染リスク型ビジネス枠にチャレンジしてみましょう。
主な提出書類は事業計画書(10ページ程)、賃金引上げ計画の表明書等です。「賃金引上げ計画」とある通り、補助金の申請者は、「事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加」「給与支給総額を年率平均1.5%以上増加」「事業場内最低賃金 (事業場内で最も低い賃金)を地域別最低賃金+30円以上」という賃上げ要件を満たす、3~5年の事業計画を策定し従業員に周知しなければなりません。この要件を計画期間内に満たせない場合、受給した補助額の一部の返還を求められる場合があります。
補助対象経費は主に設備投資費です。機械装置、工具、ソフトウェア、生産設備等が対象となります。尚、設備投資のうち必ず1つは単価50万円(税抜)以上でなければなりません。また、中古設備を導入する場合、3者以上の事業者から相見積を取らなければなりません。他には、専門家経費・外注費・クラウドサービス利用費等が対象となります。尚、人件費、土地・建物の取得費用は対象外となります。
審査では主に技術面、事業化面、政策面の3つの面から申請書を評価します。技術面では事業の革新性、目標・課題の明確性が評価されます。事業化面では実施体制、スケジュール、費用対効果の妥当性が評価されます。政策面では地域経済への効果、感染リスク低減の効果(低感染リスク型ビジネス枠のみ)等が評価されます。
そして加点項目も審査で評価されます。加点項目は、成長加点(経営革新計画の取得)、政策加点(創業、または創業後5年以内)、災害等加点(事業継続力強化計画の認定取得)、賃上げ加点(給与支給総額年率平均2%以上増加、且つ地域別最低賃金+60円以上)の4つです。政策加点と賃上げ加点を満たす事業者は限られてしまいますが、成長加点・災害等加点については比較的容易であり、どの事業者も達成可能なため、補助金申請と同時に経営革新計画・事業継続力強化計画にも取り組んでおきましょう。
募集は通年で受け付けており、2~3カ月単位で締切が設けられます。今後のスケジュールとしては、7次締切:2021年8月17日、8次締切:2021年11月頃、9次締切:2022年2月頃となります。
今回のものづくり補助金は「15億円超の課税所得の企業は対象外」等要件が若干厳しくなりましたが、その一方で補助率がアップする低感染リスク型ビジネス枠が新設される等、コロナ禍に対応した新事業に対して優先的に採択されるようになっています。コロナ禍でも果敢に新事業にチャレンジしたいという方は是非申請を検討してください!

  ものづくり補助金
一般型 グローバル型
通常枠

補助上限額1000万円

補助率2分の1

補助上限額3000万円

補助率2分の1

低感染リスク型

ビジネス枠

補助上限額1000万円

補助率3分の2

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執筆者情報

株式会社ナビット

わたしたち株式会社ナビットは補助金・助成金情報検索サイト「助成金なう」を運営しております。
「助成金なう」では官公庁や地方自治体、財団・協会で公示されている全国各地の補助金・助成金を検索できます。また、顧客にとって最適な補助金・助成金のご提案、補助金・助成金に関する疑問をわかりやすく解説するサービスなども行っております。
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中小企業庁から通年で公募されている「ものづくり補助金」は中小企業による新製品・新サービス開発や生産プロセスの改善を支援する最も人気が高い補助金の1つです。2021年はポストコロナに向けた新しい取組を支援する低感染リスク型ビジネス枠が新しく設けられ、コロナ禍で影響を受けた企業の支援という色合いが強くなっています。今回はものづくり補助金の最新情報について解説します。対象者は例年通り中小企業と小規模事業者、及び一部の特定非営利活動法人となります。尚、2021年から「公募開始時点において、直近3年間の各事業年度における課税所得の年平均額15億円を超える中小企業等は対象外」との要件も加わりました。つまり、コロナ禍でも売上が大きい事業者は支援する必要がないと見做され、対象外となります。ものづくり補助金は2つの型と2つの枠に分かれます。まず「型」は一般型とグローバル型があります。一般型は革新的な製品やサービス開発、生産プロセスの改善を支援するものであり、採択事例としては「伝統郷土菓子の冷凍商品化による拡販・ブランド力アップ」「中小企業の生産性向上を実現するRPAプラットフォームサービスの開発」「クラウド化の促進による障がいを持つ児童への支援強化事業」等があります。補助上限額1000万円、補助率2分の1となります。グローバル型は海外への直接投資や国内のインバウンド市場開拓等、その名の通りグローバル展開を視野に入れた革新的な事業を支援するものであり、補助上限額3000万円、補助率2分の1となります。また、事業実施期間は12カ月間となり一般型の10カ月間より長いのも特徴です。次に「枠」ですが、「通常枠」と「低感染リスク型ビジネス枠」があります。通常枠は上述の一般型・グローバル型の取組を指しますが、低感染リスク型ビジネス枠は対人接触を減らすための革新的な製品・サービス開発、生産プロセス改善を支援します。「経営コンサルティングのスマホアプリによる非対面式WEBサービス化」「遠隔操作技術を活用した完全非対面型空間PCR検査技術の確立」「人気洋菓子店のカット包装工程自動化による低感染での生産性向上」等の採択事例があります。尚、グローバル型に低感染リスク型ビジネス枠はありません。低感染リスクビジネス枠で申請した場合、補助率は2/3にアップします。また、低感染リスク型ビジネス枠で採択されなかった場合、通常枠で優先的に採択されるとのことです。さらに、通常枠では対象とならない広告宣伝・販売促進にかかる経費も補助対象として認められます。新しく始めようと検討している事業が新型コロナ対策に関連するのであれば、低感染リスク型ビジネス枠にチャレンジしてみましょう。主な提出書類は事業計画書(10ページ程)、賃金引上げ計画の表明書等です。「賃金引上げ計画」とある通り、補助金の申請者は、「事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加」「給与支給総額を年率平均1.5%以上増加」「事業場内最低賃金 (事業場内で最も低い賃金)を地域別最低賃金+30円以上」という賃上げ要件を満たす、3~5年の事業計画を策定し従業員に周知しなければなりません。この要件を計画期間内に満たせない場合、受給した補助額の一部の返還を求められる場合があります。補助対象経費は主に設備投資費です。機械装置、工具、ソフトウェア、生産設備等が対象となります。尚、設備投資のうち必ず1つは単価50万円(税抜)以上でなければなりません。また、中古設備を導入する場合、3者以上の事業者から相見積を取らなければなりません。他には、専門家経費・外注費・クラウドサービス利用費等が対象となります。尚、人件費、土地・建物の取得費用は対象外となります。審査では主に技術面、事業化面、政策面の3つの面から申請書を評価します。技術面では事業の革新性、目標・課題の明確性が評価されます。事業化面では実施体制、スケジュール、費用対効果の妥当性が評価されます。政策面では地域経済への効果、感染リスク低減の効果(低感染リスク型ビジネス枠のみ)等が評価されます。そして加点項目も審査で評価されます。加点項目は、成長加点(経営革新計画の取得)、政策加点(創業、または創業後5年以内)、災害等加点(事業継続力強化計画の認定取得)、賃上げ加点(給与支給総額年率平均2%以上増加、且つ地域別最低賃金+60円以上)の4つです。政策加点と賃上げ加点を満たす事業者は限られてしまいますが、成長加点・災害等加点については比較的容易であり、どの事業者も達成可能なため、補助金申請と同時に経営革新計画・事業継続力強化計画にも取り組んでおきましょう。募集は通年で受け付けており、2~3カ月単位で締切が設けられます。今後のスケジュールとしては、7次締切:2021年8月17日、8次締切:2021年11月頃、9次締切:2022年2月頃となります。今回のものづくり補助金は「15億円超の課税所得の企業は対象外」等要件が若干厳しくなりましたが、その一方で補助率がアップする低感染リスク型ビジネス枠が新設される等、コロナ禍に対応した新事業に対して優先的に採択されるようになっています。コロナ禍でも果敢に新事業にチャレンジしたいという方は是非申請を検討してください!
2021.06.23 17:01:28