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コロナ対策費用の税務上の取り扱いは?

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会社が感染予防対策費用を負担した場合

あゆみ:緊急事態宣言が延長されて我慢の日が続くわね。

ケン:オリンピックも開催間近ということもあって、国も都も必死ですからね。

あゆみ:先月はテレワークの通信費とか電気代の精算方法を聞いたじゃない?今度は従業員がテレワークするときの備品や消耗品ってどういう取扱いかな?っていうことを聞きたいの。

ケン:これは、所得税法上で気を付ける必要がありますね。つまり従業員に対する給与として課税されるかどうかという問題があります。

あゆみ:それはどういう場合?

ケン:基本的には、業務に使用する場合は課税されませんが、業務以外、つまりプライベートで使用するものの場合は給与として課税されます。

マスク、消毒液などの消耗品

あゆみ:マスクの購入費用を従業員に支給した場合は?

ケン:勤務時に使用するものであれば、領収書等を従業員から提出してももらうことで精算する方法により支給する金銭は、給与にはなりません。

あゆみ:どういう場合だと給与として課税されるの?

ケン:以下の3つの場合が課税対象となります。
   ①勤務と関係なく使用するマスク等のために支給された場合
   ②従業員の家族など従業員以外に支給された場合
   ③予め支給された金銭で変換する必要がない渡切りで支給された場合

あゆみ:お金じゃなくてマスクを支給したら?

ケン:マスクでも同じです。
   勤務時に使用するために渡したものであれば給与になりません。

あゆみ:会社の方は費用になるの?

ケン:勤務時に使用するためのものであれば、費用になります。

従業員の自宅に設置する備品の購入費

あゆみ:従業員が自宅の備品を購入した場合は?

ケン:その備品が業務のために使用するものであれば、領収書等を従業員から提出してもらうことで精算する方法により支給する金銭は、給与にはなりません

あゆみ:自宅でテレワークをしている従業員には、パソコンとモニターを貸与してるけど、それはどういう取扱いになるの?

ケン:会社の備品を業務のために貸与する場合は、給与にはなりません。
   パソコン等の電気代は先月お話した方法により精算してください。

あゆみ:会社の備品を貸与ではなく従業員に上げたらどうなるの?

ケン:その場合は給与として課税されます。

あゆみ:他に給与として課税させるのってどういう場合?

ケン:上記以外だと、以下の2つの場合は給与として課税されます。
   ①勤務とは関係なく使用する電化製品などを支給した場合
   ②予め支給された金銭で変換する必要がないものを支給した場合

あゆみ:会社の経費にはなるの?

ケン:勤務時に使用するためのものであれば、費用になります。

感染が疑われる場合のホテル等の利用料など

あゆみ:先月はテレワークをレンタルオフィスでした場合の費用負担のことを聞いたじゃない?これがホテルならどうなの?

ケン:テレワークを会社が指示して、会社の規程通りに従業員に支払うものであれば給与にはなりません。

あゆみ:ホテルに直接支払った場合は?

ケン:ホテルに直接支払った場合も同様で、会社の規定通りに支払っているものであれば給与にはなりません。

あゆみ:もしね、ホテルでテレワークをして、そのまま宿泊した場合は?

ケン:宿泊は会社の業務に関係ありませんよね。
   従業員が自分の判断で宿泊した場合にその費用を会社が支給した場合は給与として課税されます。

あゆみ:もし、感染が疑われた場合にホテルに宿泊した場合は?その時の自宅からの交通費は?

ケン:この場合も、会社の規定通りに支給されていれば給与とはなりませんが、従業員自身の判断で宿泊した場合は交通費を含め給与して課税されます。
   また、予め従業員へ支給したもので会社への返還が不要とされているものも給与して課税されます。

あゆみ:会社の経費にはなる?

ケン:原則、会社の費用となります。

PCR検査費用など

あゆみ:PCR検査を受けなきゃいけない場合って、どういう取扱いなの?

ケン:会社の業務命令でPCR検査を受ける場合の費用を精算する方法により、企業が従業員に支給するものは給与にはなりません。
   テレワークの業務スペースを消毒する費用も同様です。

あゆみ:会社が直接検査機関に支払う場合は?

ケン:会社が直接検査機関に検査費用を支払う場合も同様です。

あゆみ:給与課税される場合ってどんな時?

ケン:今までの場合と同様ですが、従業員自身の判断でPCR検査を受けた場合の検査費用や消毒費用等は給与課税されます。
   また、予め会社が従業員に支給したもので、返還不要とされているものは給与課税されます。

あゆみ:会社の費用にはなる?

ケン:この場合も原則会社の費用になります。

あゆみ:こういうコロナ感染対策費用とかの取り扱いが関係なくなる日が早く来てほしいわ。

ケン:もうすぐだと思います。数年後は「そういえばコロナって大変だったね」という時代になってる
   といいですね。

執筆者情報

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清水 透

清水透税理士事務所 所長 税理士(登録番号104689)

平成18年2月税理士登録
大手税理士事務所に勤務しつつ、平成25年4月~平成28年1月の間みずほ銀行に出向。
平成28年2月独立開業
法人税・消費税・所得税・相続税の申告業務の中でも、法人オーナーに対する相続税約1億円を節税する株式承継の提案や個人の不動産オーナーに対する相続税約5,000万円を節税する提案などの経験。
また税制改正や事業承継の全国でのセミナー、全国のお客様に対し法人の株式承継対策や個人の方々の相続税対策の提案に毎日奔走中。
「気がつけばあなたも相続税?」2011.9(共著)出版
協力:株式会社実務経営サービス
https://www.jkeiei.co.jp/

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あゆみ:緊急事態宣言が延長されて我慢の日が続くわね。ケン:オリンピックも開催間近ということもあって、国も都も必死ですからね。あゆみ:先月はテレワークの通信費とか電気代の精算方法を聞いたじゃない?今度は従業員がテレワークするときの備品や消耗品ってどういう取扱いかな?っていうことを聞きたいの。ケン:これは、所得税法上で気を付ける必要がありますね。つまり従業員に対する給与として課税されるかどうかという問題があります。 あゆみ:それはどういう場合?ケン:基本的には、業務に使用する場合は課税されませんが、業務以外、つまりプライベートで使用するものの場合は給与として課税されます。
2021.06.17 17:05:50