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(買う=購買)と(支払う=決済)のプロセスを明確にしておくことで収益改善は最短で進む

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実は多くの企業がコストは下がると分かっていながら実行していない

前回のコラム(第1回)にも記載した通り、費用は直接費と間接費の2つに分けられます。直接費は原価に反映され金額も大きいため、選任部署の担当者がおり、経営陣も含めて注視してコストを1円でも安くするために活動をしているのが一般的です。一方、間接材は直接材と比較して金額も小さく、総務や経理が“兼務”して管理しているケースがほとんどです。また契約の更新スパンが1年、3年、5年、7年という形で中長期であるため、価格に関してあまりモニタリングされず、更新時や外部の営業などから指摘されてその存在に気付いた。というケースも少なくありません。また通常の業務の合間に実施しているため、仮に「すぐにコスト削減ができる」と分かっていても、通常の業務との兼ね合いとの天秤に掛けられて、適切な期間に実行がなされなかったり、実行をする事を見送ったりする場合があります。

担当者には多く情報があるが、実行に至らない理由

では、なぜ担当者には「コスト削減できる」という情報が集まりながらも進められないのか?
その背景には大きく分けると下記の3点が考えられます。

①コスト削減を実行するにあたっての交渉、契約切替えまでのプロセスと工数が不明な場合があるため、今の業務を優先して、踏み込んで進められない。
②明確なコスト削減額の達成基準や期限が設定されていないため、いつまでどのくらいをゴールとして進めていいかが分からない。
③実際に金額が下がると分かっていても金額が小さいと会社全体の中長期の利益より足元の業務を優先させてしまうため進められない。

以上の事から、コスト削減は進めたいけれども上記のような背景があって担当者が進められない。という状態になっている場合があります。
だからこそ兼務での担当者がいる場合は、最終判断者と①~③までの判断基準を予め摺合せをして、明確にしておく事が大切です。
これが日々営業電話や紹介を含め、様々なコスト削減に関する情報が集まっている会社への機会ロスを無くす一つの方法です。

購買と決済のプロセスと納期が明確でないとサプライヤも本気の価格を出さない

間接材を提供しているサプライヤのほとんどが大手です。販売方法は直接販売と代理店販売に分かれるのですが、9割以上が代理店販売を実施しています。
そのため、直接販売も含めて仕切り値以上の価格は出さないような仕組みになっており、単純な見積書を並べての比較購買だけのコスト削減には限界があります。
ではコスト削減効果を最大化させるためにはどのような方法があるか?3つの視点から考えてみましょう。
①購買プロセスを明確にする
 「誰が」「どのように」「どのくらいの削減額を達成させるため」といったプロセスを明確にして進める。
②決済プロセスと期限を明確にする
 決済についても「いつまでに」「誰が」「どのように決定するか」を明確にして、サプライヤ側にも共有しておく。
③今接触のある窓口の代理店の立ち位置を確認する
 ①②のプロセスを明確にした際に、サプライヤ側へ交渉できる立場なのかどうかを確認する。代理店の中には2次店、3次店まで派生している場合もあり、そもそも仕切り値が高く、踏み込んだ価格交渉の余地が無い場合がある。

なぜ、①②上記の確認と構築が必要かというと、サプライヤ側でも担当者から上席へ向けての決済プロセスがあるためです。
また、サプライヤ側は大手が多いことから決済プロセスがしっかりと整備されています。そのため、①②が決定していない一般顧客へ向けての踏み込んだ価格を出す事は大きなリスク(上席の承認を得たのに失注してしまう)を取る事となり、仕切り値以上の価格は出さない。という判断になっているのです。
だからこそ、価格交渉をする際は①②③を確認・決定して進めていくと、より生産性の高いコスト削減が行えるでしょう。

執筆者情報

執行役員  赤名 武志

ゼネラル・パーチェス株式会社
ソリューション事業部

2019年3月より販管費のコスト削減を担当。これまでにオーダーメイド型の大企業のコストコンサルティングから高圧電力の単価削減や複合機などのオフィス機器全般のコスト削減など、大企業から中小企業まで様々な業種・業界を担当。

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前回のコラム(第1回)にも記載した通り、費用は直接費と間接費の2つに分けられます。直接費は原価に反映され金額も大きいため、選任部署の担当者がおり、経営陣も含めて注視してコストを1円でも安くするために活動をしているのが一般的です。一方、間接材は直接材と比較して金額も小さく、総務や経理が“兼務”して管理しているケースがほとんどです。また契約の更新スパンが1年、3年、5年、7年という形で中長期であるため、価格に関してあまりモニタリングされず、更新時や外部の営業などから指摘されてその存在に気付いた。というケースも少なくありません。また通常の業務の合間に実施しているため、仮に「すぐにコスト削減ができる」と分かっていても、通常の業務との兼ね合いとの天秤に掛けられて、適切な期間に実行がなされなかったり、実行をする事を見送ったりする場合があります。
2021.06.03 16:46:07