残業食事代の実費精算の課税関係
リエ「当社は、残業や休日出勤をする従業員に対して食事を手配しないので、従業員自身に食事を調達してもらい後日実費精算するようにしています。この場合の給与課税について教えてください。」
黒田「所得税法基本通達36-24では、使用者が勤務時間外の外勤務をさせた場合に支給する食事については、実費弁償的なものとして取り扱われることから給与として課税しなくても差し支えないとされています。ご質問の場合は、会社が食事を現物で支給するのではなく、従業員が自分で購入等した食事代を領収書等により実費精算した際に会社から支払われる金銭が給与課税の対象になるかを現実に即して考えると、領収書等で実費精算している場合は、会社が直接支払いをしていませんが、実態として会社が直接支払う現物支給と同視できることから給与課税されません。」
リエ「単に従業員が立替払いを行ったことになるわけですね。その場合、福利厚生費として処理して構いませんよね。」
黒田「そういうことになりますね。」
リエ「では、在宅勤務で残業した場合でも、従業員が食事を購入するなどし、実費精算した場合に支払われる金銭の取扱いは、オフィス勤務と同様の扱いになりますか。」
黒田「そうですね。通達(所得税法基本通達36-24)では、通常の勤務時間外における勤務としてこれらの勤務を行った者についての取扱いでありますので、在宅勤務もオフィス勤務と同様に適切な時間管理がきちんと行っていること、通常の勤務時間と勤務時間外の線引きが適正にできていることが必要になります。」
リエ「なるほど、在宅勤務の場合は、時間管理をどのようにするかルールを決める必要がありますね。」
黒田「そういうことになりますね。オフィス勤務の場合の勤怠管理はタイムカード等で管理できますが、リエちゃんのおっしゃる通り在宅勤務の出勤時と退勤時及び残業等の勤務時間外の管理方法について明確な規定を作成しておく必要がありますね。」
リエ「残業食事代の金額ですが、税務上の定めがあるのですか。」
黒田「特に定めは無く社会通念上相当な額であれば良いとされています。」
リエ「分かりました。」