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事務所のあり方について考える

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皆様、佰食屋というお店をご存知でしょうか?
京都で肉寿司・すき焼き・ステーキ丼の専門店を3店舗展開し、
その名の通り100食限定で商品を提供するというコンセプトを持ったお店です。

この売上を追求しないというユニークな会社の起業のきっかけは、
会社員時代に自分が売上をあげても思うように給料はあがらず、
「何のために働いているんだろう」と思ったことがきっかけだそうです。

今回は、「皆様の事務所の人口が減る。価値観が多様化する」という時代に
一体どんな会社を創っていくべきか?を検討するための事例として、
佰食屋を取り上げてみたいと思います。

佰食屋を開店するに際し、まず考えたことは「本当に働きたい会社」を
創るということです。そして、一番最初に思い浮かんだことは
「家族みんなで揃って晩御飯を食べられること」だそうで、それを
実現できる会社として佰食屋というコンセプトが考え出されました。

オープン当初は、100食どころか20食さえ売れない苦しい時代等
紆余曲折あったそうですが、100食限定にすることで、

・佰食売れば、早く帰れるというご褒美がある。
⇒プライベートの充実。飲食では異例の超ホワイト企業へ。
14時等早く売切れれば、掃除・翌日の仕込み等クオリティーを
上げる仕事をし、17時過ぎに退社。

・売る数が決まっているので、廃棄ロスがほとんどない。
⇒原価率を上げることもでき、高品質のものをお客様に提供できる。

・数量を限定することでプレミアム感が生まれる。
⇒限定が来店動機につながる。また、従業員も100食という
ゴールがあるので、モチベーション高く仕事ができる。

・売上至上主義からの解放。売上は決まっている。
⇒KPI等数値管理が行き過ぎた会社で散見される「会社のため」
「上長に評価してもらうため」会社と上長のご機嫌取りが仕事にならず、
もっと楽しく働けるように、お客様に喜んでもらえるようにという意識になる。

・売る商品が限定されているので、誰でもできる。
⇒やる気に満ちた人を雇う必要がないため採用が容易。
また、商品数が少なくオペレーションもシンプルなため、
顧客の細やかな部分に対応した接客(肉のカット等)にまで配慮が可能に。

等のメリットが生まれたそうです。

ちなみに、1店舗当たりの年商は3,000万ほどだそうですが、
美味しいものを食べてほしい⇒原価率50%以上。
イレギュラーがあっても対応できるようにしたい⇒少し多めの人員配置。
人件費も高め⇒百貨店並みの給料。
ということもあり、ほとんど儲からないそうです。

正直、私が良い経営として学んだこととは真逆の部分も多いですが、
社会人としての経験や今までみた様々な会社を思い返すと「確かに!」
とうなずかざるを得ない部分も多々あります。

皆さんも本当に何を望んで起業したのか?そして、今の形が実現する
のにふさわしい形か?規模はどうか?提供商品数はどうか?従業員は
幸福か?等自分の実現したかったものが実現できているか?を考える
きっかけに一度、佰食屋のビジネスモデルを研究してみることをお勧めします。

執筆者情報

株式会社名南経営ソリューションズ

1966年開業の佐藤澄男税理士事務所(現・税理士法人名南経営)を祖業としたコンサルティングファーム「名南コンサルティングネットワーク」の中核企業。ネットワークでは、経営に関わるあらゆる専門家を抱え、中堅・中小企業を対象に、企業経営をワンストップでサポートして信用・実績を積み重ね、多くのクライアントをもつ。総スタッフ数569名(2019年7月1日現在)。同社は生産性向上を目的に開発したクラウドシステムMyKomonを使った会計事務所支援のほか、戦略的経営計画策定支援などの経営コンサルティング、経営者・後継者・経営幹部の育成指導、人事労務コンサルティングを得意分野とする。

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皆様、佰食屋というお店をご存知でしょうか?京都で肉寿司・すき焼き・ステーキ丼の専門店を3店舗展開し、その名の通り100食限定で商品を提供するというコンセプトを持ったお店です。この売上を追求しないというユニークな会社の起業のきっかけは、会社員時代に自分が売上をあげても思うように給料はあがらず、「何のために働いているんだろう」と思ったことがきっかけだそうです。今回は、「皆様の事務所の人口が減る。価値観が多様化する」という時代に一体どんな会社を創っていくべきか?を検討するための事例として、佰食屋を取り上げてみたいと思います。佰食屋を開店するに際し、まず考えたことは「本当に働きたい会社」を創るということです。そして、一番最初に思い浮かんだことは「家族みんなで揃って晩御飯を食べられること」だそうで、それを実現できる会社として佰食屋というコンセプトが考え出されました。オープン当初は、100食どころか20食さえ売れない苦しい時代等紆余曲折あったそうですが、100食限定にすることで、・佰食売れば、早く帰れるというご褒美がある。⇒プライベートの充実。飲食では異例の超ホワイト企業へ。14時等早く売切れれば、掃除・翌日の仕込み等クオリティーを上げる仕事をし、17時過ぎに退社。・売る数が決まっているので、廃棄ロスがほとんどない。⇒原価率を上げることもでき、高品質のものをお客様に提供できる。・数量を限定することでプレミアム感が生まれる。⇒限定が来店動機につながる。また、従業員も100食というゴールがあるので、モチベーション高く仕事ができる。・売上至上主義からの解放。売上は決まっている。⇒KPI等数値管理が行き過ぎた会社で散見される「会社のため」「上長に評価してもらうため」会社と上長のご機嫌取りが仕事にならず、もっと楽しく働けるように、お客様に喜んでもらえるようにという意識になる。・売る商品が限定されているので、誰でもできる。⇒やる気に満ちた人を雇う必要がないため採用が容易。また、商品数が少なくオペレーションもシンプルなため、顧客の細やかな部分に対応した接客(肉のカット等)にまで配慮が可能に。等のメリットが生まれたそうです。ちなみに、1店舗当たりの年商は3,000万ほどだそうですが、美味しいものを食べてほしい⇒原価率50%以上。イレギュラーがあっても対応できるようにしたい⇒少し多めの人員配置。人件費も高め⇒百貨店並みの給料。ということもあり、ほとんど儲からないそうです。正直、私が良い経営として学んだこととは真逆の部分も多いですが、社会人としての経験や今までみた様々な会社を思い返すと「確かに!」とうなずかざるを得ない部分も多々あります。皆さんも本当に何を望んで起業したのか?そして、今の形が実現するのにふさわしい形か?規模はどうか?提供商品数はどうか?従業員は幸福か?等自分の実現したかったものが実現できているか?を考えるきっかけに一度、佰食屋のビジネスモデルを研究してみることをお勧めします。
2021.03.30 17:36:26