内装、備品、ソフトウェア等の準備
起業コンサルタント®として活動しつつ、税理士事務所、税理士法人を開業、経営してきた経験をもとに、税理士として失敗しない開業のコツについてコラムを連載するこの企画。開業を決意するところから、どんなことを構想し、何を準備すればいいのか、毎週、論じてきました。前回までの営業・マーケティングの部分は、開業2~3ヶ月前くらいには方向性を決めておきたいところです。そのあとするべきことは、事務所自体や実際の仕事をする環境の具体的な準備です。それでは一緒に見ていきましょう!
■内装工事
開業の2ヶ月前、1ヶ月前となってくれば、いよいよ準備も最終段階です。まずは、事務所の内装工事など、ハード面の準備は終わっていますか?自宅で開業する場合はそれほど準備も要らないはずですが、賃貸オフィスで開業する場合などは、いろいろと準備も必要です。
内装工事を業者に頼んで依頼するとしたら、設計やパースでの提案、スケジュール決定など、かなりの時間を要します。早めに動いておくことをおすすめします。もちろん外部や入り口の看板工事も考える必要があります。この段階で、ロゴなどのデータはできあがっている必要があります。
■オフィス家具
デスクやチェア、書庫、打ち合わせテーブル、応接セットなどのオフィス家具も構想し、発注する必要があります。せっかく新調するのですから、色やデザインも統一し、来客があったときに見栄えのするものを揃えたいところです。もちろん、予算との兼ね合いになりますが、前述の内装工事と統一感をもってデザインするには、ひとつの業者に全てを任せてしまうのがベターです。先に予算を伝え、予算感に応じたものを一式準備してもらうというのが良いでしょう。
■電話工事、複合機の搬入設置
電話工事、LAN工事、複合機の設置もしなければなりません。前述のように、オフィス家具の業者に内装も含めて依頼するのであれば、複合機の購入や設置、電話やLANの工事についても一式、任せてしまうのが一番確実です。特に要注意なのが、電話工事です。NTTの工事については、工事スケジュールが混み合っていることが多く、工事までにかなりの時間がかかるのが通例です。しかも、オフィス家具や複合機の搬入スケジュールと電話工事のタイミングをうまく合わせる必要があります。このあたり全般を任せられるような信頼できる業者を探すことが先決といえます。
■パソコンの準備
パソコンについても同様です。開業初日からパソコンを使えるようにしておくには、インターネットやWifi環境がきっちりと整備されていることが必須です。上記のスケジュールをよく確認のうえ、パソコンやネット環境も完璧に準備しましょう。このあたりは自分でできる人とできない人に分かれると思います。自信がない場合は、上記の業者なのか、他の専門業者なのか、とにかく一括してお願いしてしまったほうが確実といえます。
■業務用ソフト、メールの設定、スケジュール管理ソフトの設定
パソコンを設置したところで、会計ソフトや申告書作成用ソフトなど、業務用のソフトウェアの準備が完了しなければ、業務はできません。早めに導入する業務ソフトを決定したうえで、発注しておくことをおすすめします。
メールの設定も同様です。事務所のホームページを作成し、そのドメインをメールアドレスとして使うのであれば、少なくともドメイン取得やレンタルサーバーの設定などを早めに進めることが必要となります。自分でできる人は別ですが、誰かに頼むのであれば、早めに打ち合わせしたうえで、どんどん進めていきましょう。また、昨今であれば、メール以外にもLINEやチャットワーク、Slack、Facebookメッセンジャーなど、お客様の希望に応じて、連絡手段を柔軟に対応する税理士も増えています。このたりの対応を決めるとともに、事務所用のアカウントを取得して準備するなど、イマドキの対応も求められるでしょう。
スケジュールの管理にどんなソフトを使うのかも重要です。昔のように手帳に書き込んで、というよりもスケジュール管理ソフトを使うのが得策です。休みの日も含め、外出先からどんな環境でもスケジュール確認できるという効能があります。従業員が入ってきたとき、すんなりとスケジュール管理できるような体制をあらかじめ作っておくという意味もあります。
■情報セキュリティ体制の完成
最後に忘れがちなのが、情報セキュリティ体制です。以前、詳しく論じましたが、税理士という顧客の機密情報を預かる責任の重い仕事をする以上、怠ってはいけない論点です。どんな体制で取り組んでいくのか決定し、確実に実行しましょう。
■まとめ
いかがだったでしょうか?当たり前のような箇所ですが、意外と見落としている論点もあったのではないでしょうか。このあたりまでくれば、開業に向けたラストスパートです。がんばっていきましょう。