HOME コラム一覧 営業・マーケティングツールについて考えよう2

営業・マーケティングツールについて考えよう2

post_visual

報酬設定の自由化以降、過当競争が繰り広げられる戦場と化している税理士業界。そして、AIの開発が進む中、近い将来、消えてなくなる職業としても挙げられています。夢と希望、そして、将来に対する不安が入り乱れた状況。それが今、税理士の開業を取り巻く環境だと言っても過言ではありません。ただ、開業を実行に移した場合、失敗するわけにはいきません。家族の生活もあるし、老後のこともある。夢だけを見ているわけにはいかないのです。

そこで、起業コンサルタント®として活動しつつ、税理士事務所、税理士法人を開業、経営してきた経験をもとに、税理士として失敗しない開業のコツについてコラムを連載していくことにしました。このコラムが少しでも役に立ち、安定した事務所経営ができるようになる礎となれば、うれしいです。前回の続きとして、営業、マーケティングツールについて解説します。

■宣材写真(プロフィール写真)

Webなどのオンライン、名刺などのオフライン、どちらでも活用の幅が広くあるのが宣材写真(プロフィール写真)です。たまに、自撮りしたものや自動撮影機などの証明写真を使っている人を見かけますが、もったいないことです。というのも、経験上、非常に重要なアイテムだからです。

というのも、相談者からしたら、専門家に相談するというのは非常にハードルの高い行為。怖い存在でもあるのです。できれば、怖くなくてやさしくて、親身になって相談に乗ってくれて、家族に対するように一生懸命尽くしてほしいと思うものです。まだ会っていないとしたら、それを判断する大きな要素が写真なのです。

「しずる感」という言葉があります。例えば、ラーメン屋さんのホームページでは、ラーメンの写真には命を賭けて撮影します。湯気が立っていて、温かそうでおいしそうで、目の前にラーメンがあるような写真。そういう写真を「しずる感」がある写真といいます。専門家の場合、ラーメンにあたるのが専門家本人であり、専門家本人のプロフィール写真であるというわけです。

その観点でいうと重要なのが、写真が「怖くない」ということです。私の中で、NGなことがいくつかありますので、書いておきます。

・腕組みの写真
腕組みをするようにカメラマンに促されることがありますが、これはあまりおすすめしません。確かに腕組みをすれば、専門家として自信があるように見えますが、一方で怖い印象を与えてしまいます。偉そうに見えるという難点もあります。心理学的にも腕組みは防御などの感情を表し、いいものではありません。

・黒背景の写真
弁護士など、「強さ」を表すために、黒色の背景を使うケースがあります。たしかに「凄み」のようなものは伝わるかもしれませんが、一方で、怖いとか、とっつきにくいという印象を与えかねません。できれば、白や黄色系の明るい背景を使いましょう。

・素人が撮った写真を使うこと
宣材写真(プロフィール写真)といっても、いまや1万円~3万円も出せば、腕の良いカメラマンに設備の整った場所で撮影してもらうことができます。その手間やコストをケチって素人が撮った写真を使ってしまうのは非常にもったいないことです。それも、単に街の写真館に撮ってもらうのではなく、芸能人のオーディション応募や就職活動などの写真が得意な写真スタジオを見つけるべきです。

■ロゴ

ロゴに関しても同様です。プロに依頼したとしても、5万円~10万円ほどです。ずっと使っていくものですから、自分の思い入れを込めたものを作ってもらいましょう。当然ですが、この時点で事務所名がちゃんと確定していなければ、作ることができません。急いで考えましょう。

ロゴに関しては、色も重要です。ターゲット客層がどんな色合いを好みそうか、あるいは自社がどんなイメージを持ってもらいたいのか、色の研究もしてみましょう。

■キャッチコピー

前回、名刺やパンフレットの制作についてお話ししました。その際に「おや?」と思うことがあるでしょう。そう。ビジネスにはキャッチコピーが必要なのです。税理士とて同じです。

あなたの展開しようとしているサービスをひと言でいうとどんなことですか?

例えば、著者の場合、
「まるごと起業支援®」というサービス展開をしようと決め、
「あなたの起業をまるごと、全力サポートします!」
というキャッチコピーを各所に書きました。

あなたの税理士としての事業展開をどんなキャッチコピーで表しますか?

■封筒など

ロゴを作ったら、封筒もつくりましょう。
最初は市販の封筒にゴム印で、と考える人も多いかもしれません。ただ、ロゴ入りの封筒を制作しても1枚あたりの値段はそんなに高くなりません。まとまった数を発注するのであればなおさらです。角2サイズ、長3サイズ、2つのサイズの封筒を用意すればOKです。

■あいさつ状

忘れずに、あいさつ状も作っておきましょう。これに関しては特筆すべき点はありません。一般的な書式で、硬い紙か普通のA4用紙かに印刷して封書として差し出す感じです。最初は人脈からの集客が中心となるはずです。いままでお世話になってきた人脈などを辿り、送付先リストをつくりましょう。

■まとめ

いかがでしたか?思っていたよりもやることや考えることが多いなぁという印象ではないでしょうか。開業して食っていくには、営業やマーケティングが、それほど重要だということです。次回もがんばっていきましょう。

執筆者情報

profile_photo

代表者 中野 裕哲

起業コンサルV-Spiritsグループ/税理士・社労士・行政書士法人V-Spirits

起業コンサルタント®、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、
ファイナンシャルプランナー(CFP®)、1級FP技能士、宅地建物取引主任者

起業コンサルV-Spiritsグループ代表。ドリームゲート起業面談相談9年連続日本一。
多数の起業本、起業のWeb記事も執筆・監修する人気アドバイザー。
「まるごと起業支援(R)」で、あちこち相談せずとも、起業の疑問も不安も一度で解消。
著書「失敗しない起業 55の法則」「マンガでやさしくわかる起業」「図解 知識ゼロからはじめる起業の本」など。

この記事のカテゴリ

この記事のシリーズ

起業コンサルタントが教える失敗しない税理士開業のコツ

記事の一覧を見る

関連リンク

営業・マーケティングツールについて考えよう1

税務・会計に関する情報を毎週無料でお届けしています!

メルマガ登録はこちら


コラム
/column/2021/img/thumbnail/img_54_s.jpg
報酬設定の自由化以降、過当競争が繰り広げられる戦場と化している税理士業界。そして、AIの開発が進む中、近い将来、消えてなくなる職業としても挙げられています。夢と希望、そして、将来に対する不安が入り乱れた状況。それが今、税理士の開業を取り巻く環境だと言っても過言ではありません。ただ、開業を実行に移した場合、失敗するわけにはいきません。家族の生活もあるし、老後のこともある。夢だけを見ているわけにはいかないのです。そこで、起業コンサルタント®として活動しつつ、税理士事務所、税理士法人を開業、経営してきた経験をもとに、税理士として失敗しない開業のコツについてコラムを連載していくことにしました。このコラムが少しでも役に立ち、安定した事務所経営ができるようになる礎となれば、うれしいです。前回の続きとして、営業、マーケティングツールについて解説します。
2021.01.26 16:56:36