HOME コラム一覧 第18回 令和3年度に新設される中小企業庁の補助金とは?

第18回 令和3年度に新設される中小企業庁の補助金とは?

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2020年12月15日の閣議決定を受け、経済産業省が取りまとめた「令和2年度第3次補正予算案の事業概要」が公表されました。その中の中小企業政策では、ものづくり補助金やIT導入補助金等の大型の補助金や新設の補助金について言及されています。そこで今回は令和3年度の中小企業庁の補助金についてご紹介します!
中小企業政策に使われる予算2兆2,300億円のうち、民間金融機関を通じた利子補給などは8,400億円、ものづくり補助金・IT導入補助金・小規模事業者持続化補助金の3大人気補助金は2,300億円、防災や再生支援などは126億円となります。そして、残りの1兆1,485億円については、新しい補助金に予算が使われます。
その新しい補助金とは「中小企業等事業再構築促進事業」です。ポストコロナ・ウィズコロナにおける中⼩企業等の事業再構築を支援する補助金です。新分野への進出、業態転換、事業・業種転換等を通じた規模の拡大・事業再構築に関する取組全般を支援します。具体的な取組としては、「店舗経営をしていた小売業者がECサイトやサブスクを新たに始める」、「製造業の町工場が技術を生かして医療機器製造も始める」等が挙げられます。まだ正式に公募されていないので変更が入る可能性がありますが、今後大いに期待できる補助金です。
現時点(2021年1月22日現在)での申請要件は、「申請前の直近6カ月間のうち、売上高が低い3カ月の合計売上高がコロナ以前の同3カ月の合計売上高と比較して10%以上減少していること」、「自社の強みや経営資源を活かしつつ、経産省が示す「事業再構築指針」に沿った事業計画を策定すること」、「補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加、または従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加の達成」です。従業員の賃上げも必須となっており、単なる経営難の企業救済だけではなく、事業を通じた成長を求める補助金と言えます。
補助対象経費は、建物費、建物改修費、設備費、システム購入費、外注費(加工、設計等)、研修費(教育訓練費等)、技術導入費(知的財産権導入に係る経費)、広告宣伝費・販売促進費(広告作成、媒体掲載、展示会出展等)等です。業態転換や新分野進出に必要な経費であれば、対象範囲は幅広いです。尚、人件費や旅費は対象外となります。
補助上限額や補助率は中小企業か中堅企業かによって細かく分かれます。中小企業の定義は中小企業庁のHPに記載されていますが、中堅企業については明確な定義がまだ記載されていません。「中小企業より大きく大企業より小さい企業」という位置づけになるかと想定されます。
中小企業の場合、「通常枠」は補助額100万円~ 6,000万円であり、補助率は2/3です。「卒業枠(組織再編、新規設備投資、グローバル展開のいずれかを目指す企業を支援する特別枠)」は、補助額6,000万円超~1億円、補助率は2/3です。
中堅企業の場合、「通常枠」は補助額100万円~ 8,000万円、補助率は1/2です。尚、補助額4,000万円超の場合は補助率1/3となります。「グローバルV字回復枠(直近6カ⽉間のうち前年同期比15%以上減少していて、且つグルーバル展開を目指す企業を支援する特別枠)」については、補助額8,000万円超~1億円、補助率は1/2となります。
また、ものづくり補助金・IT導入補助金・小規模事業者持続化補助金も「低感染リスク型ビジネス枠」という新型コロナ対策向けの新たな枠が設けられる予定です。こちらは新型コロナウイルス感染症の流行を受けて、新たなビジネスモデルへの転換に向けた中⼩企業の取組を支援するものです。退陣接触の減少に資する新サービスの開発、業務の非対面化のためのシステム導入、ポストコロナに向けた新たな商材拡販等が対象となります。「業態転換」「新分野進出」という意味では上記の「再構築送信事業」と同じですが、こちらは売上減少の要件がありません。
ものづくり補助金は補助額100万円~1000万円、補助率2/3、IT導入補助金は補助額30万円〜450万円、補助率2/3、小規模事業者持続化補助金は補助上限額100万円、補助率3/4となります。いずれも通常枠より補助率がアップしています。
緊急事態宣言も再度発せられ、令和3年度も引き続き新型コロナウイルス感染症対策による影響を受けることが想定されます。上記の補助金を積極的に活用して、コロナ禍による経済危機を乗り切りましょう。

名称

中小企業等事業再構築促進事業

ものづくり補助金・IT導入補助金・小規模事業者持続化補助金 低感染リスク型ビジネス枠

概要

新分野への進出、業態転換、事業・業種転換等を通じた規模の拡大・事業再構築に関する取組全般を支援

新型コロナウイルス感染症の流行を受けて、新たなビジネスモデルへの転換に向けた中⼩企業の取組を支援

申請要件

・申請前の直近6カ月間のうち、売上高が低い3カ月の合計売上高がコロナ以前の同3カ月の合計売上高と比較して10%以上減少していること

・補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加、または従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加の達成 等

・売上減少要件なし

・ものづくり・IT導入補助金は賃上げ要件あり

補助額

中小企業

通常枠:補助額100万円~ 6,000万円、補助率2/3で

卒業枠:補助額6,000万円超~1億円、補助率2/3

中堅企業

通常枠:補助額100万円~ 8,000万円、補助率

※補助額4,000万円超の場合、補助率1/3 グローバルV字回復枠:補助額8,000万円超~1億円、補助率1/2

ものづくり補助金

補助額100万円~1000万円、補助率2/3

IT導入補助金

補助額30万円〜450万円、補助率2/3

小規模事業者持続化補助金

補助上限額100万円、補助率3/4

執筆者情報

株式会社ナビット

わたしたち株式会社ナビットは補助金・助成金情報検索サイト「助成金なう」を運営しております。
「助成金なう」では官公庁や地方自治体、財団・協会で公示されている全国各地の補助金・助成金を検索できます。また、顧客にとって最適な補助金・助成金のご提案、補助金・助成金に関する疑問をわかりやすく解説するサービスなども行っております。
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2020年12月15日の閣議決定を受け、経済産業省が取りまとめた「令和2年度第3次補正予算案の事業概要」が公表されました。その中の中小企業政策では、ものづくり補助金やIT導入補助金等の大型の補助金や新設の補助金について言及されています。そこで今回は令和3年度の中小企業庁の補助金についてご紹介します!中小企業政策に使われる予算2兆2,300億円のうち、民間金融機関を通じた利子補給などは8,400億円、ものづくり補助金・IT導入補助金・小規模事業者持続化補助金の3大人気補助金は2,300億円、防災や再生支援などは126億円となります。そして、残りの1兆1,485億円については、新しい補助金に予算が使われます。その新しい補助金とは「中小企業等事業再構築促進事業」です。ポストコロナ・ウィズコロナにおける中⼩企業等の事業再構築を支援する補助金です。新分野への進出、業態転換、事業・業種転換等を通じた規模の拡大・事業再構築に関する取組全般を支援します。具体的な取組としては、「店舗経営をしていた小売業者がECサイトやサブスクを新たに始める」、「製造業の町工場が技術を生かして医療機器製造も始める」等が挙げられます。まだ正式に公募されていないので変更が入る可能性がありますが、今後大いに期待できる補助金です。現時点(2021年1月22日現在)での申請要件は、「申請前の直近6カ月間のうち、売上高が低い3カ月の合計売上高がコロナ以前の同3カ月の合計売上高と比較して10%以上減少していること」、「自社の強みや経営資源を活かしつつ、経産省が示す「事業再構築指針」に沿った事業計画を策定すること」、「補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加、または従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加の達成」です。従業員の賃上げも必須となっており、単なる経営難の企業救済だけではなく、事業を通じた成長を求める補助金と言えます。補助対象経費は、建物費、建物改修費、設備費、システム購入費、外注費(加工、設計等)、研修費(教育訓練費等)、技術導入費(知的財産権導入に係る経費)、広告宣伝費・販売促進費(広告作成、媒体掲載、展示会出展等)等です。業態転換や新分野進出に必要な経費であれば、対象範囲は幅広いです。尚、人件費や旅費は対象外となります。補助上限額や補助率は中小企業か中堅企業かによって細かく分かれます。中小企業の定義は中小企業庁のHPに記載されていますが、中堅企業については明確な定義がまだ記載されていません。「中小企業より大きく大企業より小さい企業」という位置づけになるかと想定されます。中小企業の場合、「通常枠」は補助額100万円~ 6,000万円であり、補助率は2/3です。「卒業枠(組織再編、新規設備投資、グローバル展開のいずれかを目指す企業を支援する特別枠)」は、補助額6,000万円超~1億円、補助率は2/3です。中堅企業の場合、「通常枠」は補助額100万円~ 8,000万円、補助率は1/2です。尚、補助額4,000万円超の場合は補助率1/3となります。「グローバルV字回復枠(直近6カ⽉間のうち前年同期比15%以上減少していて、且つグルーバル展開を目指す企業を支援する特別枠)」については、補助額8,000万円超~1億円、補助率は1/2となります。また、ものづくり補助金・IT導入補助金・小規模事業者持続化補助金も「低感染リスク型ビジネス枠」という新型コロナ対策向けの新たな枠が設けられる予定です。こちらは新型コロナウイルス感染症の流行を受けて、新たなビジネスモデルへの転換に向けた中⼩企業の取組を支援するものです。退陣接触の減少に資する新サービスの開発、業務の非対面化のためのシステム導入、ポストコロナに向けた新たな商材拡販等が対象となります。「業態転換」「新分野進出」という意味では上記の「再構築送信事業」と同じですが、こちらは売上減少の要件がありません。ものづくり補助金は補助額100万円~1000万円、補助率2/3、IT導入補助金は補助額30万円〜450万円、補助率2/3、小規模事業者持続化補助金は補助上限額100万円、補助率3/4となります。いずれも通常枠より補助率がアップしています。緊急事態宣言も再度発せられ、令和3年度も引き続き新型コロナウイルス感染症対策による影響を受けることが想定されます。上記の補助金を積極的に活用して、コロナ禍による経済危機を乗り切りましょう。
2021.01.25 18:06:32