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退職所得課税の適正化について~令和3年度税制改正大綱

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リエ「住宅ローン控除以外にも私たちに関係しそうな税制改正案は出ていますか。」

黒田「退職所得課税の適正化を図ることを目的とし、従業員の退職金に対しても改正が行われるようです。」

リエ「どのような内容でしょうか。」

黒田「従業員に関しても特定役員退職手当等と同じように短期間の退職金には制限を設けますといった内容になります。」

リエ「特定役員退職手当等は、平成25年以降の退職金から変更となりましたよね。」

黒田「そうですね。勤続年数が5年以下である役員等が受け取る退職金のうち、その役員等としての勤続年数に対応する退職金は、特定役員退職手当等に該当し、退職所得控除が行われた後の支給額に対して2分の1を乗じる計算ができなくなりました。」

リエ「従業員に対しても勤続年数5年以下の退職金に対しては2分の1を乗じることができなくなるのでしょうか。」

黒田「少しだけ従業員のほうが優遇されています。勤続年数が5年以下で特定役員退職金等に該当しないもの(短期退職所得等)に係る退職所得の金額の計算につき、退職所得控除後の金額のうち300万円を超える部分については、退職所得の金額の計算上2分の1とする措置を適用できないと記載されています。」

リエ「300万円超となった部分が改正の対象となるのですね。」

黒田「中小企業において勤続年数5年以下の従業員に支給する退職金が、退職所得控除額後で300万円を超過するケースは稀なケースかもしれません。」

リエ「弊所では実務的に影響はありませんね。」

黒田「この改正は、令和4年分以後の所得税について適用するとされています。想定される計算式は次の通りとなります。」
 ※勤続年数5年、退職金600万円の場合の課税対象額
  600万円-40万円×5年=400万円
  300万円×1/2+(400万円-300万円)=250万円

リエ「頑張って今回の改正を気にしなければならないほど退職金が支給される会社にしたいですね。」

監修

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税理士 坂部達夫

坂部達夫税理士事務所/(株)アサヒ・ビジネスセンター

 東京都墨田区にて平成元年に開業して以来、税務コンサルを中心に問題解決型の税理士事務所であることを心がけて参りました。
 おかげさまで弊所は30周年を迎えることができました。今後もお客様とのご縁を大切にし、人に寄り添う税務に取り組んでいきます。

メールマガジンやセミナー開催を通じて、様々な情報を発信しています。

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リエ「住宅ローン控除以外にも私たちに関係しそうな税制改正案は出ていますか。」黒田「退職所得課税の適正化を図ることを目的とし、従業員の退職金に対しても改正が行われるようです。」リエ「どのような内容でしょうか。」黒田「従業員に関しても特定役員退職手当等と同じように短期間の退職金には制限を設けますといった内容になります。」リエ「特定役員退職手当等は、平成25年以降の退職金から変更となりましたよね。」黒田「そうですね。勤続年数が5年以下である役員等が受け取る退職金のうち、その役員等としての勤続年数に対応する退職金は、特定役員退職手当等に該当し、退職所得控除が行われた後の支給額に対して2分の1を乗じる計算ができなくなりました。」リエ「従業員に対しても勤続年数5年以下の退職金に対しては2分の1を乗じることができなくなるのでしょうか。」黒田「少しだけ従業員のほうが優遇されています。勤続年数が5年以下で特定役員退職金等に該当しないもの(短期退職所得等)に係る退職所得の金額の計算につき、退職所得控除後の金額のうち300万円を超える部分については、退職所得の金額の計算上2分の1とする措置を適用できないと記載されています。」リエ「300万円超となった部分が改正の対象となるのですね。」黒田「中小企業において勤続年数5年以下の従業員に支給する退職金が、退職所得控除額後で300万円を超過するケースは稀なケースかもしれません。」リエ「弊所では実務的に影響はありませんね。」黒田「この改正は、令和4年分以後の所得税について適用するとされています。想定される計算式は次の通りとなります。」 ※勤続年数5年、退職金600万円の場合の課税対象額  600万円-40万円×5年=400万円  300万円×1/2+(400万円-300万円)=250万円リエ「頑張って今回の改正を気にしなければならないほど退職金が支給される会社にしたいですね。」
2020.12.21 16:13:23