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提供するサービスの構想を固めよう

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税理士として開業することを決めたら、最初にすることは、提供するサービスの内容を固めることです。例えば、どんな業務分野までカバーするのか、それぞれのターゲット層はどんな属性か、営業エリアはどこからどこまでか、どのような手段で提供するのかといったことです。このあたりがぼやけてしまうと、先行するその他大勢の税理士の中で埋没し、成功は遠くなってしまうでしょう。大事なところなので、一緒にじっくりと検討していきましょう。

提供するサービスの構想

①提供する業務分野
まず、過去の経験などを照らし合わせながら、どんな業務分野までカバーするのかを考えましょう。
例えば
・中小企業の税務顧問や申告と相続関係の業務
といった「業務範囲」をある程度絞った決め方もあります。

さらには
・個人事業主の確定申告専門
・資産税専門
のように専門分野をかなり絞った決め方もありえます。
その場合、「やらない」と決めて、バッサリと切り捨てる分野もあるということです。

逆に、
・税理士として相談される可能性があるなら、基本的には全ての分野を引き受ける
という考え方もあります。ただ、開業エリアや競合の状況にもよりますが、「何でもできる」ということは「面」で押していく展開のため、ターゲット層が競合他社と比較したとき、一つひとつが弱く映る可能性があります。「得意分野」という「点」で押していく場合、ターゲット層からみて競合よりも強くて魅力的に映る可能性があるのです。一方では「絞りすぎたら怖い」というような悩みも生じることでしょう。このあたりをよく考えましょう。

業務分野が決まったら、その業務分野の中でどんなサービスメニューをそれぞれいくらくらいの価格帯で提供するかを考えましょう。細かいことはすぐに決めなくても、開業までにじっくりと決めればOKです。

②ターゲット層
次にターゲット層を具体的に想定します。
例えば、中小企業だとしたら、
・売上○○○○万円~●●●●万円規模、従業員○○人くらいの規模、創業○○年程度の企業
・建設業、○○業、○○業を中心とするが、○○業に関しては基本的にはやらない
・女性社長を中心とする
などです。

なにも一つだけに絞る必要はありません。メインターゲットとサブターゲットというような形で、複数のターゲット層を想定することも、もちろんOKです。大事なのは、イメージしておくということです。

ここが大事なのは、例えば、事務所のホームページをつくるにしても、ターゲット層がハッキリしていなければ、その人達に「刺さる」デザインや色合い、メッセージなどを発信できない=魅力的に映らないということです。しっかりと考えましょう。

③どのように提供するか
次にどのような形でサービスを提供するのかを固めていきましょう。
例えば、
・訪問を中心とするのか、事務所に来所していただくのが中心か、ZOOMやTeamsなどのオンラインを中心とするのか
・営業エリアは地元だけを中心にするのか、近隣県までなのか、全国のお客様を相手にするのか
などです。

このことは、オフィスのあり方とも関係するし、販促や集客などマーケティングや営業活動をどうするのかとも関係します。じっくりと考えましょう。

さらに
・自分の強みは何か?それを活かせているか?
・他の士業など提携先はどうする?
・コンサルティング分野はどうする?提供する?誰かと提携する?
・どのタイミングでスタッフを雇用するか、あるいはずっと雇用しないで一人で運営するか
など考えるべきことはたくさんあります。

まだまだ時間はありますから、細かいことは少しずつ固めていきましょう。

修業先や師匠への配慮

大事なことのひとつに、修業先・師匠への配慮をどうするかがあります。ここまで来ることができたのも、過去の修業先や師匠のおかげ。完全にバッティングする営業エリアや業務分野でガチンコ対決するという事態は避けたいところです。

例えば、私の場合、以下のようなことを決めました。

・修業時代のお客様には辞めたあと、一切手を出さない。
・お客様に限らず、修行時代に知り合った人脈には、自分からは絶対に連絡したり、アプローチしたりしない。
・辞めたあと、1年間だけは積極的な宣伝活動はしない。

などです。
私としての美学に反するし、辞めたときにどう振る舞うか、周りは見ているからです。また、いままでの人脈だけを頼るようでは、この先思いやられると思ったからというのもあります。こうしたことは個人個人の価値観に寄りますが、少なくとも方向性は考えておく必要があります。

経営面でのメンターの確保

税理士として「先生」と呼ばれる立場だとしても、「経営者」としては、まだまだ未熟かもしれません。また、会計や税金の知識や経験が豊富だとしても、ブランディング、マーケティングや集客に関しては全くの未経験、そんなことも多いでしょう。だとしたら、誰かに相談できるような体制を構築しておくのが賢明です。餅屋は餅屋。今後の事務所経営の成功のためには、周りを固めることが重要なのです。
もちろん、私も開業したい士業の方からのご相談は多数受けております。迷ったら、いつでもご相談ください。熱意をもって開業したい方には時間を惜しみません。

執筆者情報

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代表者 中野 裕哲

起業コンサルV-Spiritsグループ/税理士・社労士・行政書士法人V-Spirits

起業コンサルタント®、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、
ファイナンシャルプランナー(CFP®)、1級FP技能士、宅地建物取引主任者

起業コンサルV-Spiritsグループ代表。ドリームゲート起業面談相談9年連続日本一。
多数の起業本、起業のWeb記事も執筆・監修する人気アドバイザー。
「まるごと起業支援(R)」で、あちこち相談せずとも、起業の疑問も不安も一度で解消。
著書「失敗しない起業 55の法則」「マンガでやさしくわかる起業」「図解 知識ゼロからはじめる起業の本」など。

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税理士として開業することを決めたら、最初にすることは、提供するサービスの内容を固めることです。例えば、どんな業務分野までカバーするのか、それぞれのターゲット層はどんな属性か、営業エリアはどこからどこまでか、どのような手段で提供するのかといったことです。このあたりがぼやけてしまうと、先行するその他大勢の税理士の中で埋没し、成功は遠くなってしまうでしょう。大事なところなので、一緒にじっくりと検討していきましょう。
2020.12.10 09:23:34