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第17回 アルバイトを正社員に転換するだけでもらえる?厚生労働省のキャリアアップ助成金 をご紹介!

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厚生労働省では公募している数十件以上の助成金が公募されています。その中でも、最も知名度が高く申請もしやすい助成金がキャリアアップ助成金です。
キャリアップ助成金は、アルバイトや派遣労働者等の非正規雇用の労働者が無期雇用・正規雇用の従業員へとキャリアアップできるようにさまざまな取組を行った企業に対して、一定の金額を支給します。助成金というと中小企業しか申請できないイメージがありますが、キャリアップ助成金では大企業にも申請資格があります。ただし、受給金額は中小企業より若干低くなります。また、「生産性要件」というものがあり、取組を実施して生産性が一定以上向上した場合、助成額が加算されます。
この助成金を設けた目的は 第一に非正規労働者の待遇を改善させるため、第二に非正規労働者の意欲を掻き立てることによって、パフォーマンス向上させて、会社の生産性を高めるためです。2020年4月1日、同じ業務をしている従業員は非正規・正規を問わず同じ賃金にするという「同一労働同一賃金」 が開始されて以来、非正規労働者も含めた積極的な働き方改革が求められるようになってきています。そのため、キャリアアップ助成金は今後ますます多くの企業の注目が集まることが想定されます。
キャリアップ助成金は以下7つのコースに分けられます。(1)非正規労働者を正社員に転換する「正社員化コース」(1人当たり原則28万5,000円)、(2) 非正規労働者の賃金規定等を改定して待遇を良くする「賃金規定等改定コース」(1企業当たり原則9万5,000円)、(3)義務である健康診断以外の一定の健康診断を設ける「健康診断制度コース」(1企業当たり原則38万円)、(4)正社員と共通した業務に応じて賃金規定を新たに改定する「賃金規定等共通化コース」(1企業当たり原則57万円)、(5)正規雇用労働者と共通の諸手当に関する制度を新たに設ける「諸手当制度共通化コース」(1企業当たり原則38万円)、(6)社会保険を適用拡大し、新たに被保険者とした非正規労働者の基本給を増額する「選択的適用拡大導入時処遇改善コース」(1人当たり原則2万9,000円)、(7)短時間労働者の週所定労働時間を5時間以上延長する「短時間労働者労働時間延長コース」(1人当たり原則22万5,000円)です。この中でも最も人気が高いのが(1)「正社員化コース」です。「アルバイトを正社員にすることで受給できる」というわかりやすさと、他のコースよりも企業の負担が少なく実施の難易度が比較的低めであることが人気の理由です。
ただし、キャリアアップ助成金では、各コースの条件に合わせた就業規則に改定する必要があります。「正社員化コース」の場合、パート社員が正社員になるためのキャリアアップ制度を就業規則に盛り込む必要があります。厚生労働省で掲載している「モデル就業規則」を参考するか、助成金の専門家である社会保険労務士にチェックしてもらうことをおすすめします。
また、キャリアアップ助成金を申請するには、まず労働組合等の意見を聴いて作成した「キャリアップ計画 」を労働局・ハローワークに提出しなければいけません。その後、申請するコースに沿って就業規則等の改定を行い、取組を6か月間行います。そして、取組後6か月の賃金の支払いを終えてから、支給申請をします。
キャリアアップ助成金の申請で最も肝となるのが「キャリアアップ計画書」の作成です。キャリアアップ計画書は「対象の非正規労働者がどのようなプランでキャリアップしていくのか」を明記したプランです。
厚生労働省のキャリアアップ助成金に関するページ から、キャリアアップ計画書の申請様式をWordもしくはPDFでダウンロードすることができます。
キャリアアップ計画の記載欄は、(1)キャリアアップ計画期間、(2)キャリアアップ計画期間中に講じる措置の項目、(3)対象者、(4)目標、(5)目標を達成するために講じる措置、(6)キャリアアップ計画全体という項目があります。
「(1)キャリアアップ計画期間」には、キャリアアップ計画の実施予定期間を記載します。各コースが指定する実施期間に合わせて、3年~5年くらいの期間を設定しましょう。「(2)キャリアアップ計画期間中に講じる措置の項目」は選択式になっており、「正社員化コース」等7つのコースから実施するものを選択します。複数のコースを選択できます。そして、選択したコースについて、いつ頃実施予定なのかも記載します。
「(3)対象者」は対象の非正規労働者の情報を記載します。個人名を記載する必要はありませんが、その非正規労働者がいつ頃入社して、どの部署に所属していて、雇用形態はどうなっているのかを明記しましょう。また、複数名記載することができますが、どのコースをどの非正規労働者が受けるのかわかるように記載しましょう。
「(4)目標」には、対象の非正規労働者について、キャリアアップ計画の実施によってどのような目標を達成するのかをコースごとに明記します。たとえば正社員化コースの場合、「対象者に対し、正規雇用、無期雇用及び短時間正社員への転換を図る」等と記載しましょう。「(5)目標を達成するために講じる措置」には、(4)で記載した目標を達成するための施策をコースごとに記載します。たとえば正社員化コースの場合、「転換の制度を就業規則等に規定し、面接試験を行ったうえで転換を判断する」などと記載します。そして、「(6)キャリアアップ計画全体の流れ」には、(5)で記載した施策を具体的にどのように進めていくのかを記載します。たとえば正社員化コースの場合、「雇用転換の制度を就業規則に規定し、面接試験等を行い、正規雇用、無期雇用及び短時間正社員への転換を行う」と記載します。記載方法で不明点があれば、労働局かハローワークに問い合わせるか、社会保険労務士からアドバイスを仰ぎましょう。

執筆者情報

株式会社ナビット

わたしたち株式会社ナビットは補助金・助成金情報検索サイト「助成金なう」を運営しております。
「助成金なう」では官公庁や地方自治体、財団・協会で公示されている全国各地の補助金・助成金を検索できます。また、顧客にとって最適な補助金・助成金のご提案、補助金・助成金に関する疑問をわかりやすく解説するサービスなども行っております。
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厚生労働省では公募している数十件以上の助成金が公募されています。その中でも、最も知名度が高く申請もしやすい助成金がキャリアアップ助成金です。キャリアップ助成金は、アルバイトや派遣労働者等の非正規雇用の労働者が無期雇用・正規雇用の従業員へとキャリアアップできるようにさまざまな取組を行った企業に対して、一定の金額を支給します。助成金というと中小企業しか申請できないイメージがありますが、キャリアップ助成金では大企業にも申請資格があります。ただし、受給金額は中小企業より若干低くなります。また、「生産性要件」というものがあり、取組を実施して生産性が一定以上向上した場合、助成額が加算されます。この助成金を設けた目的は 第一に非正規労働者の待遇を改善させるため、第二に非正規労働者の意欲を掻き立てることによって、パフォーマンス向上させて、会社の生産性を高めるためです。2020年4月1日、同じ業務をしている従業員は非正規・正規を問わず同じ賃金にするという「同一労働同一賃金」 が開始されて以来、非正規労働者も含めた積極的な働き方改革が求められるようになってきています。そのため、キャリアアップ助成金は今後ますます多くの企業の注目が集まることが想定されます。キャリアップ助成金は以下7つのコースに分けられます。(1)非正規労働者を正社員に転換する「正社員化コース」(1人当たり原則28万5,000円)、(2) 非正規労働者の賃金規定等を改定して待遇を良くする「賃金規定等改定コース」(1企業当たり原則9万5,000円)、(3)義務である健康診断以外の一定の健康診断を設ける「健康診断制度コース」(1企業当たり原則38万円)、(4)正社員と共通した業務に応じて賃金規定を新たに改定する「賃金規定等共通化コース」(1企業当たり原則57万円)、(5)正規雇用労働者と共通の諸手当に関する制度を新たに設ける「諸手当制度共通化コース」(1企業当たり原則38万円)、(6)社会保険を適用拡大し、新たに被保険者とした非正規労働者の基本給を増額する「選択的適用拡大導入時処遇改善コース」(1人当たり原則2万9,000円)、(7)短時間労働者の週所定労働時間を5時間以上延長する「短時間労働者労働時間延長コース」(1人当たり原則22万5,000円)です。この中でも最も人気が高いのが(1)「正社員化コース」です。「アルバイトを正社員にすることで受給できる」というわかりやすさと、他のコースよりも企業の負担が少なく実施の難易度が比較的低めであることが人気の理由です。ただし、キャリアアップ助成金では、各コースの条件に合わせた就業規則に改定する必要があります。「正社員化コース」の場合、パート社員が正社員になるためのキャリアアップ制度を就業規則に盛り込む必要があります。厚生労働省で掲載している「モデル就業規則」を参考するか、助成金の専門家である社会保険労務士にチェックしてもらうことをおすすめします。また、キャリアアップ助成金を申請するには、まず労働組合等の意見を聴いて作成した「キャリアップ計画 」を労働局・ハローワークに提出しなければいけません。その後、申請するコースに沿って就業規則等の改定を行い、取組を6か月間行います。そして、取組後6か月の賃金の支払いを終えてから、支給申請をします。キャリアアップ助成金の申請で最も肝となるのが「キャリアアップ計画書」の作成です。キャリアアップ計画書は「対象の非正規労働者がどのようなプランでキャリアップしていくのか」を明記したプランです。厚生労働省のキャリアアップ助成金に関するページ から、キャリアアップ計画書の申請様式をWordもしくはPDFでダウンロードすることができます。キャリアアップ計画の記載欄は、(1)キャリアアップ計画期間、(2)キャリアアップ計画期間中に講じる措置の項目、(3)対象者、(4)目標、(5)目標を達成するために講じる措置、(6)キャリアアップ計画全体という項目があります。「(1)キャリアアップ計画期間」には、キャリアアップ計画の実施予定期間を記載します。各コースが指定する実施期間に合わせて、3年~5年くらいの期間を設定しましょう。「(2)キャリアアップ計画期間中に講じる措置の項目」は選択式になっており、「正社員化コース」等7つのコースから実施するものを選択します。複数のコースを選択できます。そして、選択したコースについて、いつ頃実施予定なのかも記載します。「(3)対象者」は対象の非正規労働者の情報を記載します。個人名を記載する必要はありませんが、その非正規労働者がいつ頃入社して、どの部署に所属していて、雇用形態はどうなっているのかを明記しましょう。また、複数名記載することができますが、どのコースをどの非正規労働者が受けるのかわかるように記載しましょう。「(4)目標」には、対象の非正規労働者について、キャリアアップ計画の実施によってどのような目標を達成するのかをコースごとに明記します。たとえば正社員化コースの場合、「対象者に対し、正規雇用、無期雇用及び短時間正社員への転換を図る」等と記載しましょう。「(5)目標を達成するために講じる措置」には、(4)で記載した目標を達成するための施策をコースごとに記載します。たとえば正社員化コースの場合、「転換の制度を就業規則等に規定し、面接試験を行ったうえで転換を判断する」などと記載します。そして、「(6)キャリアアップ計画全体の流れ」には、(5)で記載した施策を具体的にどのように進めていくのかを記載します。たとえば正社員化コースの場合、「雇用転換の制度を就業規則に規定し、面接試験等を行い、正規雇用、無期雇用及び短時間正社員への転換を行う」と記載します。記載方法で不明点があれば、労働局かハローワークに問い合わせるか、社会保険労務士からアドバイスを仰ぎましょう。
2020.11.24 16:49:02