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開業への道筋を想定しよう!

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せっかく税理士の資格を取ったのだから、それを活かして仕事をしていきたい。宮仕えではなく、独立して一国一城の主になりたい。何度もそんな気持ちになりつつ年月だけが過ぎ去っていく。いや、どうしてもかなえたい夢なんだ、絶対独立するんだ。そんな葛藤が続いている方も多いのではないでしょうか。あるいは、もう決意したんだ、後戻りはできない!そんな気持ちの方もいるかもしれません。

一方、報酬設定の自由化以降、過当競争が繰り広げられる戦場と化している業界。そして、AIの開発が進む中、近い将来、消えてなくなる職業として税理士も挙げられています。夢と希望、そして、将来に対する不安が入り乱れた状況。それが今、税理士の開業を取り巻く環境だと言っても過言ではありません。ただ、開業を実行に移した場合、失敗するわけにはいきません。家族の生活もあるし、老後のこともある。夢だけを見ているわけにはいかないのです。

そこで、起業コンサルタント®として活動しつつ、税理士事務所、税理士法人を開業、経営してきた経験をもとに、税理士として失敗しない開業のコツについてコラムを連載していくことにしました。このコラムが少しでも役に立ち、安定した事務所経営ができるようになる礎となれば、うれしいです。それでは一緒に見ていきましょう!

どのくらいの準備期間を置くか

税理士として開業するには、準備が大切です。時系列でどんな準備が必要か、書き出してみます。どのくらいの準備期間が必要かはあくまで目安です。また、状況により前後することもあるでしょう。あくまでざっくりとしたイメージとして捉えてください。

①提供する業務分野、ターゲット、エリアについての構想を固める(1年~6ヶ月前)
・誰に、何を、どのように提供するか
・自分の強みは何?
・他の士業など提携先はどうする?
・コンサルティング分野は提供する?提携する?
など
さらには、経営面でのメンターの確保、修業先・師匠への競業の配慮をどうするか、なども考える必要があります。

②具体的に事務所をどうするか決める(6ヶ月前~3カ月前)
税理士として開業するには、事務所を構えて、税理士会に登録する必要があります。まずはどんなスタイルのオフィスを構えるのか検討しましょう。自宅、レンタルオフィスやシェアオフィス、賃貸オフィスなどです。

③必要な機器、ソフトウェア、セキュリティについて検討する(3ヶ月前~2ヶ月前)
具体的に事務所の形が見えてきたら、そこにどんな機器を置いて、どんなソフトウェアを導入するのか、検討していきましょう。忘れがちなのが情報セキュリティです。税理士はお客様の大切なデータを預かる責任の重い仕事です。開業する以上は、セキュリティを最初からしっかりと意識しましょう。

④開業資金や生活資金について考える(3ヶ月前~2ヶ月前)
上記のように開業には事務所開設や機器やソフトウェアの導入などである程度のお金がかかります。さらには、事務所経営を安定する半年くらいの生活資金も確保しておく必要があります。そこで融資や補助金も検討しましよう。さらには今後の事業計画として売上目標を設定しておきましょう。売上目標が決まれば、自ずと今後の人員計画をどうするかも、なんとなくイメージできるはずです。

⑤集客・マーケティング・営業について考える(3ヶ月前~2ヶ月前)
売上を上げていくうえで重要なのが、集客・マーケティングの戦略です。例えば、当初は紹介営業に徹する、ホームページを作成する、ポータルサイトへの登録をする、出版を目指すなど、方法は無限にあります。提携先を開拓するというのも大事なことです。

さらには営業方法について考えましょう。例えば、無料相談を提供するとしても、こちらから訪問する、来所していただいての対面相談、ZOOMやTeamsなどのツールを使ってのオンライン相談など、組み合わせを考えれば、採用できる戦略を無限にあります。このあたりもじっくりと検討しましょう。

⑥営業、マーケティングツールの準備(2ヶ月前~1ヶ月前)
この時期になれば、具体的な営業・マーケティングの準備に忙しくなるはずです。例えば、宣材写真の撮影、ロゴデザイン、ホームページ、SNS、名刺、あいさつ状、ゴム印、封筒など、デザイン系の動きを迅速に進める必要があります。その中で、あいまいになっていた点を確定させる必要が出てくるでしょう。例えば、対応業務分野や報酬体系などです。

⑦内装工事、備品、ソフトウェア等の準備(2ヶ月~開業直前)
直前になってくれば、いよいよ準備も最終段階です。事務所の内装工事、オフィス家具やパソコンの搬入、電話工事、複合機の搬入設置、メールの設定、スケジュール管理ソフトの設定、情報セキュリティ体制の完成など、やることは盛りだくさんです。

⑧税理士会への登録、銀行口座の開設、請求書等経理の準備など(2ヶ月前~開業直前)
開業をするにあたり税理士会への登録、事業用の銀行口座の開設、請求書の発行のソフトウェアの準備など、事務的な準備も進めなければなりません。一人で全部こなすのは大変ですが、ここが踏ん張りどころです。がんばりましょう。

⑨いざ開業
いよいよ、待ちに待った開業の日。あいさつ状を出したり、知り合いなど人脈を辿ってあいさつ廻りをしたり。ホームページも正式にOPENできます。SNSなどでも積極的に発信していきましょう。みんなに応援してもらうことが大切です。

まとめ

ここまで見て来たら、資格を取ったら必ず食えるというのは幻想だとさらに確認できるはずです。一生が勉強であり、経営者として成長し続けることが大事なのです。次回からは各論に入っていきます。一緒にがんばっていきましょう!

執筆者情報

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代表者 中野 裕哲

起業コンサルV-Spiritsグループ/税理士・社労士・行政書士法人V-Spirits

起業コンサルタント®、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、
ファイナンシャルプランナー(CFP®)、1級FP技能士、宅地建物取引主任者

起業コンサルV-Spiritsグループ代表。ドリームゲート起業面談相談9年連続日本一。
多数の起業本、起業のWeb記事も執筆・監修する人気アドバイザー。
「まるごと起業支援(R)」で、あちこち相談せずとも、起業の疑問も不安も一度で解消。
著書「失敗しない起業 55の法則」「マンガでやさしくわかる起業」「図解 知識ゼロからはじめる起業の本」など。

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せっかく税理士の資格を取ったのだから、それを活かして仕事をしていきたい。宮仕えではなく、独立して一国一城の主になりたい。何度もそんな気持ちになりつつ年月だけが過ぎ去っていく。いや、どうしてもかなえたい夢なんだ、絶対独立するんだ。そんな葛藤が続いている方も多いのではないでしょうか。あるいは、もう決意したんだ、後戻りはできない!そんな気持ちの方もいるかもしれません。一方、報酬設定の自由化以降、過当競争が繰り広げられる戦場と化している業界。そして、AIの開発が進む中、近い将来、消えてなくなる職業として税理士も挙げられています。夢と希望、そして、将来に対する不安が入り乱れた状況。それが今、税理士の開業を取り巻く環境だと言っても過言ではありません。ただ、開業を実行に移した場合、失敗するわけにはいきません。家族の生活もあるし、老後のこともある。夢だけを見ているわけにはいかないのです。そこで、起業コンサルタント®として活動しつつ、税理士事務所、税理士法人を開業、経営してきた経験をもとに、税理士として失敗しない開業のコツについてコラムを連載していくことにしました。このコラムが少しでも役に立ち、安定した事務所経営ができるようになる礎となれば、うれしいです。それでは一緒に見ていきましょう!
2020.12.10 09:22:45