電子マネー決済手数料に係る消費税
リエ「黒田さん。こんにちは。ちょっとよろしいですか。」
黒田「リエちゃん、こんにちは。もちろんいいですよ。どうしました?」
リエ「電子マネー決済の手数料に関して、知り合いのお店から相談されたことなんですが、入金明細を確認すると決済手数料の一部に消費税がかかっていたそうなんです。私もクレジットカードなど決済手数料は非課税だと思っていたので、なんで課税されているのか分からなくて。」
黒田「なるほど。電子マネーといっても今はクレジットカードや交通系IC、LINE Payなどいろんな種類がありますよね。リエちゃんが言うように、クレジットカードの決済手数料は非課税です。消費税法や消費税基本通達では、売掛金その他の金銭債権の譲渡は非課税とされていますが、クレジットカードによる決済はお店側が消費者に対して代金を請求できる権利(金銭債権)を信販会社に譲渡し、その譲渡代金を受けとるという金銭債権の譲渡であると考えられているためです。IDやQUICKPAYなどもこれに該当しますが、この時にかかる決済手数料の消費税は非課税になります。」
リエ「そうですよね! それは分かっていたのですが、なんで課税されているのか……。」
黒田「おそらくそれは、交通系ICやLINE Payなどの決済に係る手数料だからだと思います。これらの電子マネーは事前にお金をチャージしておきますよね。それはあくまで現金を電子マネーに変えただけで、商品を購入した際は現金で購入するのと同様になります。つまり交通系ICなどで支払を受けた時点で、現金をもらったのと同じ扱いになります。ということは、お店側には消費者に対する金銭債権自体が発生しないことになります。」
リエ「金銭債権の譲渡によって代金をもらっているわけではないから課税されるんですね。でも代金は信販会社などから入ってきますよね?」
黒田「その通りです。お店側は消費者に対する金銭債権が発生しないのでクレジットカードのように金銭債権を譲渡して代金をもらうことはできませんから、その代わりに新しく信販会社に請求できる権利を取得します。その請求に対して支払いが行われ、その際に発生する手数料という考え方なため、課税になります。」
リエ「ということは、クレジットカードのように商品を購入し後日引き落とされ支払う形式のものは金銭債権が発生していて、その譲渡によって得る代金に対する手数料だから非課税ということですね。一方で交通系ICなどの前もってチャージしておくなど前払形式のものは、金銭債権は発生せずに新たに発生した債権の回収に係る手数料であるから課税ということですね。」
黒田「そういうことになります。ちなみにクレジットカードでも決済代行会社が間に入っている場合は、システム利用料のような名目になり課税になる場合がありますので、契約内容や明細をしっかり確認したほうがいいと思います。」
リエ「黒田さんありがとうございます!」