慰労金やお見舞金を貰った場合の所得税の取扱い
リエ「黒田さん、ちょっと伺いたいことがあるんですがいいでしょうか。」
黒田「はい、どういったことでしょうか。」
リエ「友人が介護施設で働いているのですが、国から新型コロナウイルス関連の慰労金を貰えることになったようです。それで、その慰労金に税金がかかるかどうかということと、その友人はご主人の扶養になっているので、この慰労金収入でご主人の扶養から外れたりしないかを心配しているみたいです。その辺りの取扱いについて教えて貰えますでしょうか。」
黒田「わかりました。恐らくその慰労金は、厚生労働省が管轄している新型コロナウイルス感染症対応従事者慰労金だと思いますが、そうであればその慰労金は非課税所得となりますし、非課税所得ですので配偶者控除や扶養控除の要件である所得金額にも影響しません。」
リエ「ちなみに他の給付金はどのような取扱いになっているのでしょう。」
黒田「税務上の取扱いについては、国税庁のホームページに『新型コロナウイルス感染症に関連する税務上の取扱い関係』として公表されていますが、特別定額給付金や子育て世代への臨時特別給付金などは非課税とされていて、持続化給付金や家賃支援給付金などは課税されるものとなっています。」
リエ「そうなんですね。例えば、勤務する会社から従業員に対して見舞金といった名目で支給した場合はどうなるんでしょうか。」
黒田「一定の要件に該当すればそれも非課税とされます。その件についても先ほど申し上げたホームページ上に記載されていますが、主な要件として、(1)心身又は資産に加えられた損害につき支払いを受けるものであること、(2)支給額が社会通念上相当であること、(3)役務の対価たる性質を有していないことといったものがあります。」
リエ「理解はできますが、曖昧な要件ですね。」
黒田「やむを得ないところですが、確かに曖昧ですよね。それもあってホームページでは、いくつかの具体例も記載されていますから、もし支給の検討をされるのであれば、そちらを確認された方がいいでしょう。」
リエ「この状況下で精神的に負担がかかっていることを考慮して、従業員にお見舞金を支給するというのは認められるのでしょうか。」
黒田「恐らく無理でしょうね。緊急事態宣言下においても、感染の危険が高い場所で働かなければならない医療従事者のようなケースであれば認められると思いますが、一般的な会社では、従業員本人や家族が実際に感染してしまったケースでなければ、お見舞金が非課税になることはないと思われます。基本的には、それぞれの会社で定めている、従業員に対する慶弔規程にあてはめて支給対象者や支給金額を決定すべきですね。」
リエ「なるほど、コロナウイルスだからといって特別な取扱いがされるわけではないんですね。当社の従業員やその家族が感染した場合にはお見舞金の支給もあり得ますので、ホームページや規程を確認しておきます。」