法人税の中間申告
事業年度の半分を過ぎたということは?
あゆみ:今年も早いもので半分が過ぎましたね。
ケン:そうですね。社長の会社は12月決算ですから今期の半分が過ぎたことにもなりますね。
ということは、法人税の中間申告をする時期がやってきました、ということになります。
あゆみ:法人税って年1回の申告でよかったんじゃないの?
ケン:基本的にはすべての法人は中間申告をしなければならないとされています。
ただし、中間申告書に記載される金額が10万円以下の場合や、決算日が到来していない新設法人などは中間申告をしなくていいとなっています。
あゆみ:中間申告書に記載される金額が10万円って、どうやって計算するの?
ケン:法人税の確定申告書に記載された法人税の額を12(前事業年度の月数)で割って6を掛けた金額が10万円以下かどうかで判断します。
あゆみ:じゃ、確定申告書に20万円って記載されていたら、半分だと10万円で10万円以下だから中間申告はいらないってこと?
ケン:大まかな考え方はそれでいいですが、厳密には、確定申告書に記載された金額を先に12で割ってそのあと6を掛けます。その金額の百円未満を切り捨てます。この金額が10万円以下であれば中間申告はしなくてよい、となります。
あゆみ:先に12で割るんだ。
そしたら、確定申告書の法人税額が500,000円だと12で割って6を掛けると249,999円で端数が出るから、百円未満切り捨てだと100円安くなるのね。
ケン:その通りです。
ただ、中間申告は確定申告の前払いの性格を有していますので、1年間を通しては同じ金額を申告・納付していることとなります。
あゆみ:私、去年設立して前期は丸々12か月ないけど、12で割るの?
ケン:ひと月に満たない端数はこれを一月とする、とされています。あゆみ社長の会社は12で割ることになります。
中間申告書の提出時期
あゆみ:法人税の中間申告書っていつ提出するの?
ケン:その事業年度が開始されてから6月を経過してから2か月以内とされています。
例えば、12月決算の場合は8月末、3月決算の場合は11月末までです。
あゆみ:中間申告書をその期限までに提出できなかった場合はどうなるの?
ケン:提出期限において前年度の実績による中間申告書を提出したとみなされます。
あゆみ:え?じゃ、提出しなくてもいいってことじゃない?
ケン:実はそうなんです。
中間申告書を提出しなくても中間申告額を納付だけすればいいんです。
納付もしなければ、その納付期限から延滞税が計算されます。
仮決算による中間申告
あゆみ:ちょっと思ったんだけど、法人税の中間申告の納付額って前期の確定申告の法人税額から計算されるって言ったわよね。
今回のコロナみたいに今は調子悪くて前期の法人税額で計算した中間申告の納付が納められないってときはどうするの?
ケン:中間申告には、前期の法人税額から納付額を計算する方法と仮決算による方法とがあります。
仮決算とは、6か月を一の事業年度とみなして決算処理することを言います。
今回の新型コロナ感染症の影響がある場合、事業年度開始の日から6か月間の売上と経費を計算して、法人税額を計算します。
あゆみ:そうすることによって、利益がマイナスだった場合は中間申告で納税額はゼロということね。
ケン:はい、その通りです。
その場合は、仮決算による中間申告書の提出が必須となりますので、ご注意ください。
新型コロナウイルス感染症の影響がある場合
あゆみ:新型コロナウイルス感染症の影響がある場合、申告期限が延長されるとかあったじゃない?中間申告も同じ取り扱い?
ケン:はい、同様に延長される措置が取られています。
あゆみ:どうすればいいの?
ケン:中間申告書の上の枠外に、「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」と記載すればよいこととなっています。
あゆみ:もしその影響で遅れた場合は、その文言を書かないと、延滞税やら何とか税やらがかかってしまうってことね。
ケン:中間申告については、先程申し上げた通り、申告しなくても「申告期限で申告があったものとみなす」こととなっていますので、無申告加算税はかかりませんが、延滞税はかかります。
新型コロナウイルス感染症の影響で納付が遅れる場合は、前述の文言を忘れずに記載してください。
あゆみ:わかったわ。
ケン:あゆみ社長の会社はまだ消費税の納税義務はありませんが、消費税も中間申告があります。
それは後程・・・。