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【建設】経審改正案 他

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 このほど国土交通省がまとめた経営事項審査(経審)の改正案の概要は以下の通り。公布は今夏であるが、意見募集を経ることで、修正が加わる可能性がある。施行は2021年4月1日。改正案の対象は、Z点(技術力)とW点(その他の審査項目・社会性等)。

 経理状況(現行のW5)を評価する対象者に継続教育の観点を取り入れ、加点対象となる公認会計士、税理士が受講する研修を規定する。1級及び2級建設業経理士(注1)は建設業振興基金が実施する講習の受講者(注2)とする。

 (注1)建設業経理士(1・2級)と建設業経理事務士(1・2級)は共に経営事項審査の評価対象であり、名称が異なるだけで扱いは同じ。平成19年3月11日の試験以後の1・2級合格者は建設業経理士となり、それ以前の合格者は建設業経理事務士となる。

 (注2)1級及び2級建設業経理士の場合は、「登録経理試験に合格した者の知識向上を目的として振興基金が実施する講習を5年以内に受講した者」と定める。ただし16年度以前の合格者については、23年3月まで評価対象とする時限措置あり。

 建設業者による技術者・技能者の技術または技能の向上の取り組み状況(W10)を新設する。技術者点は1人当たりのCPD(継続教育)取得単位数、技能者点は建設キャリアアップシステム(CCUS)の能力評価基準の評価区分が3年以内にレベルアップした技能者の割合から算出する。技術者と技能者の比率に応じてそれぞれの取り組み状況を評価し、技術者点と技能者点を合算する。

 この10月1日施行の改正建設業法で創設される元請の監理技術者を補佐する制度に伴い、新設される補佐者を雇用する企業を評価する。監理技術者を補佐する者は「1級技士補」。現行の経審はZ1として主任技術者相当に3点、監理技術者相当に5点が付与されることから、補佐者には4点を付与する。

現行のW1では法定外労災制度への加入で最大15点を付与している。評価対象となる補償制度の提供者の内、全日本火災共済協同組合連合会(日火連)を「中小企業等協同組合法に基づき共済事業を営む者」に改め、日火連だけでなく、中小企業福祉共済協同組合連合会(中済連)なども評価対象に加える。

 なお現在、経審の受審については、新型コロナウイルス感染症対応の建設業者への影響を考慮し、一定期間の特例措置が設けられている。
 経審は、建設工事について発注者と請負契約を締結する日の1年7月前の日の直後の事業年度終了の日以降に受審しなければならないが、前述の影響を受けた建設業者について、令和2年5月29日から令和3年1月31日まで(注3)の間は、平成30年10月29日の直後の事業年度終了の日以降に受審していれば足りる。

 (注3)令和3年2月1日からは、原則のとおり1年7月前の日の直後の事業年度終了の日以降に受審しなければならないため、令和3年2月1日に間に合うよう、余裕をもって受審する必要がある。また、令和3年1月31日までの間でも直前の事業年度の経審を受審可能で、評点も有効。

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一般社団法人コンサル技連

【コラム紹介文】
一般社団法人コンサル技連(略称:CML)/代表理事 吉永茂が、全国の士業事務所の皆様に、中小企業に対する“経営助言業務”の強化を図るための様々な視点を提示します。
 得意とする建設業種特化のみならず、幅広い業種に適用できるテーマを取り上げます。
【経歴】
1942年生まれ
中央大学卒
公認会計士・税理士
建設会社勤務中、公認会計士試験に合格。監査法人勤務を経て、35歳で独立、現在に至る。
熊本学園大学会計職専門大学院 専任教授(前職)
一般社団法人コンサル技連 代表理事
税理士法人ユース会計社 会長
京都大学経営管理大学院 特命教授

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 このほど国土交通省がまとめた経営事項審査(経審)の改正案の概要は以下の通り。公布は今夏であるが、意見募集を経ることで、修正が加わる可能性がある。施行は2021年4月1日。改正案の対象は、Z点(技術力)とW点(その他の審査項目・社会性等)。 経理状況(現行のW5)を評価する対象者に継続教育の観点を取り入れ、加点対象となる公認会計士、税理士が受講する研修を規定する。1級及び2級建設業経理士(注1)は建設業振興基金が実施する講習の受講者(注2)とする。 (注1)建設業経理士(1・2級)と建設業経理事務士(1・2級)は共に経営事項審査の評価対象であり、名称が異なるだけで扱いは同じ。平成19年3月11日の試験以後の1・2級合格者は建設業経理士となり、それ以前の合格者は建設業経理事務士となる。 (注2)1級及び2級建設業経理士の場合は、「登録経理試験に合格した者の知識向上を目的として振興基金が実施する講習を5年以内に受講した者」と定める。ただし16年度以前の合格者については、23年3月まで評価対象とする時限措置あり。 建設業者による技術者・技能者の技術または技能の向上の取り組み状況(W10)を新設する。技術者点は1人当たりのCPD(継続教育)取得単位数、技能者点は建設キャリアアップシステム(CCUS)の能力評価基準の評価区分が3年以内にレベルアップした技能者の割合から算出する。技術者と技能者の比率に応じてそれぞれの取り組み状況を評価し、技術者点と技能者点を合算する。 この10月1日施行の改正建設業法で創設される元請の監理技術者を補佐する制度に伴い、新設される補佐者を雇用する企業を評価する。監理技術者を補佐する者は「1級技士補」。現行の経審はZ1として主任技術者相当に3点、監理技術者相当に5点が付与されることから、補佐者には4点を付与する。現行のW1では法定外労災制度への加入で最大15点を付与している。評価対象となる補償制度の提供者の内、全日本火災共済協同組合連合会(日火連)を「中小企業等協同組合法に基づき共済事業を営む者」に改め、日火連だけでなく、中小企業福祉共済協同組合連合会(中済連)なども評価対象に加える。 なお現在、経審の受審については、新型コロナウイルス感染症対応の建設業者への影響を考慮し、一定期間の特例措置が設けられている。 経審は、建設工事について発注者と請負契約を締結する日の1年7月前の日の直後の事業年度終了の日以降に受審しなければならないが、前述の影響を受けた建設業者について、令和2年5月29日から令和3年1月31日まで(注3)の間は、平成30年10月29日の直後の事業年度終了の日以降に受審していれば足りる。 (注3)令和3年2月1日からは、原則のとおり1年7月前の日の直後の事業年度終了の日以降に受審しなければならないため、令和3年2月1日に間に合うよう、余裕をもって受審する必要がある。また、令和3年1月31日までの間でも直前の事業年度の経審を受審可能で、評点も有効。
2020.08.06 16:40:32