前受金をもらっている商品のキャンセル料の仕訳と消費税
リエ「黒田さん、教えてください。お客様より、ご注文頂いた商品のキャンセルをさせてほしいと言われました。12万円の商品を1月10日に注文を頂き、その際に前受金10万円を頂いていて、以下の仕訳をしています。」
1/10 (借方) 現金 100,000 / (貸方) 前受金 100,000
リエ「キャンセル料として前受金の10%に相当する10,000円を頂いて、差額を返金したのですが、どのように仕訳処理すればいいでしょうか? また、キャンセル料についても、消費税はかかるのですか?」
黒田「キャンセル料は、お客様より受け取る金額になるため、『雑収入』等の収益の科目を使う事になります。
また、仕訳を計上する日付ですが、キャンセルの申し出があり、実際に返金をした日付となります。例えば、10月1日に提供する予定だった商品を5月1日にキャンセルの申し出があり、返金した場合、10月1日でなく、5月1日となります。
キャンセル料は、原則として、それが確定した日に計上すべきものです。そのため、雑収入等に計上するのは、キャンセルの申し出があった日と考えます。」
リエ「今回は、5月10日にご連絡がありその日の内に現金で返金しました。」
黒田「わかりました。その場合、以下のような仕訳になります。」
5/10 (借方) 前受金 90,000 / (貸方) 現金 90,000
(借方) 前受金 10,000 / (貸方) 雑収入10,000
黒田「また、キャンセル料にかかる消費税ですが、キャンセル料は、本来受ける予定だった利益を受けられないことに対する損害賠償金であり、消費税のかからない取引となります。
損害賠償金は、消費税のかかる取引の一部要件と一般的にされる、商品の売買やサービス提供等の対価には該当しないとされていますので、原則として消費税はかからないものとされています。対価を得て行う取引とは、例えば、商品を販売した際に、金銭などの給付をその商品を提供したことに対して受ける取引を指します。そのため、キャンセル料についても、消費税はかかりません。
ただし、キャンセル料について、キャンセルする際の手数料として、具体的な内容を明細に記載する場合、それらの手数料の部分については消費税がかかります。例えば、航空会社で飛行機をキャンセルして、手数料と他のキャンセル料が区分して明細に書いてある場合などが、この事例に該当します。
ですが、今回のように、キャンセル料の内訳を明記せず、お客様に請求をする場合は、不課税となります。」
リエ「キャンセル料という名目でも、手数料等として明記したうえで頂く場合には、その手数料等は課税取引となり、手数料等の明記が無ければ全体が不課税取引となるということですね。普段のキャンセルはそれほどなかったので、あまり意識していなかったのですが、社会状況等でキャンセルが重なり、今回は気になってしまいました。
消費税について、ひとつひとつの額は少なくても、いくつかのキャンセルがある場合、多くなってしまうので、注意が必要ですね。
ありがとうございました。」