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教えてください! 家賃支援給付金について(2)

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リエ「黒田さんこんにちは。7月14日から家賃支援給付金の申請が始まりましたね! 以前(6月9日掲載)、概要は教えてもらったのですが、確認も兼ねて詳細を教えていただけますか?」

黒田「もちろんいいですよ。」

リエ「まず対象者要件ですが、令和2年5月~12月の売上高において『いずれか1ヵ月の売上高が前年同月比で50%以上減少していること』もしくは『連続する3ヵ月の売上高が前年同期比で30%以上減少していること』というのが一つありますよね。」

黒田「その通りです。その他に『令和2年4月1日において資本金の額等が10億円未満であること』、『令和1年12月31日以前から事業収入を得ていて、今後も事業継続の意思があること』、『他人の土地・建物を使用していることの対価として、賃料の支払いを行っていること』のすべてにあてはまる中小企業等が対象になります。ちなみに、資本金や出資金の額が定められていない場合には常時使用する従業員の数が2千人以下の中小企業等であることが要件になります。」

リエ「令和2年1月~3月の間に設立した事業者は対象にならないんですか?」

黒田「それについては対象となる方向で検討されており、申請要領は準備が整い次第、公表されるそうです。そして気になる給付額は、法人と個人事業者で上限は異なりますが、申請時の直近1ヵ月以内に支払った金額に基づいて計算される給付額が支給されます。法人は月額賃料75万円以下の部分について3分の2(月額上限50万円)、月額賃料75万円超の部分について3分の1(月額上限50万円)が支給され、最大支給額は100万円×6ヵ月=600万円となります。一方個人事業者の場合は月額賃料37万5千円以下の部分について3分の2(上限25万円)、月額賃料37万5千円超の部分について3分の1(上限25万円)が支給され、最大支給額は50万円×6ヵ月=300万円となります。ちなみに個人事業者が住居兼事務所として賃料を支払っている場合には、賃料として税務申告している部分のみ給付の対象となります。」

リエ「最大支給額が適用されるのは複数事業所を有する場合のみ、というのは撤廃されたんですか?」

黒田「はい、撤廃されたようです。したがって事業所が一つしかなくても、法人なら月額賃料が225万円以上で最大支給額の600万円が給付され、個人事業主なら月額賃料112万5千円以上で最大支給額の300万円が給付されることになります。」

リエ「なるほど。申請をするにあたってどんな書類を用意すればいいですか?」

黒田「これも法人と個人事業者で若干異なりますが、どちらにも共通して必要なものが『賃貸借契約書』、『直前3ヵ月分の支払賃料実績を証明できる書類(領収書や振込明細書など)』、『売上高の減少を証明する書類(売上が減少した月・期間の売上台帳など)』、『受信通知(e-Taxによる電子申告を行っている場合)』、『通帳のコピー(表紙と1・2ページ目の両方)』になります。これに加えて法人は『平成元年分の法人税確定申告書別表一』、『法人事業概況説明書』、が必要になり、個人事業者は『平成元年分の所得税確定申告書第一表』、『月別売上の記入のある平成元年分の所得税青色申告決算書』、『本人確認書類(運転免許証や個人番号カードなど)』が必要になります。」

リエ「ということは持続化給付金の申請時の書類に賃貸借契約書と支払賃料実績を証明する書類があれば大丈夫ということですね!」

黒田「基本的にはそれで問題ありません。ただし、リエちゃんが最初に言っていた通り、売上減少要件の対象は令和2年5月~12月の売上高ですので、持続化給付金の申請を4月以前の売上高で行っている場合は、売上高の減少を証明する書類を該当月に差し替える必要がありますし、売上台帳など必要箇所に分かるように印をつける必要があります。その他にも地方公共団体から賃料に充てるための支援を受けている場合には、その給付された支援額と家賃支援給付算定額の合計額が、対象となる賃料の6倍を超える部分に関しては減額となりますし、転貸のための賃料または代表取締役や親会社等の実質的に同一者に支払う賃料、配偶者や一親等内の親族等との賃貸借契約による賃料等は給付額の算定に用いることはできないなどの注意点があります。また売上高に連動して賃料が変動する場合などは、申請日の直前1ヵ月分として支払った賃料の額と令和2年3月に賃料として支払った額を比較し、低い金額を給付金の算定基礎とするようです。」

リエ「会社がその社長から賃借している場合は難しそうですね。ちなみにこの申請期間は令和3年1月15日までですよね?」

黒田「その通りです。要件に当てはまる申請者は、その期間内であればいつでも申請を行うことができるので、直前1ヵ月以内の賃料の値下げや免除を受けている場合には、元の水準に戻った段階で申請を行うことで、元の水準での給付金を受け取ることができます。」

リエ「ということは、賃料を値下げしてもらっていて資金にも比較的余裕がある場合は、急がずに様子を見た方がよさそうですね! ありがとうございました!」

監修

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税理士 坂部達夫

坂部達夫税理士事務所/(株)アサヒ・ビジネスセンター

 東京都墨田区にて平成元年に開業して以来、税務コンサルを中心に問題解決型の税理士事務所であることを心がけて参りました。
 おかげさまで弊所は30周年を迎えることができました。今後もお客様とのご縁を大切にし、人に寄り添う税務に取り組んでいきます。

メールマガジンやセミナー開催を通じて、様々な情報を発信しています。

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リエ「黒田さんこんにちは。7月14日から家賃支援給付金の申請が始まりましたね! 以前(6月9日掲載)、概要は教えてもらったのですが、確認も兼ねて詳細を教えていただけますか?」黒田「もちろんいいですよ。」リエ「まず対象者要件ですが、令和2年5月~12月の売上高において『いずれか1ヵ月の売上高が前年同月比で50%以上減少していること』もしくは『連続する3ヵ月の売上高が前年同期比で30%以上減少していること』というのが一つありますよね。」黒田「その通りです。その他に『令和2年4月1日において資本金の額等が10億円未満であること』、『令和1年12月31日以前から事業収入を得ていて、今後も事業継続の意思があること』、『他人の土地・建物を使用していることの対価として、賃料の支払いを行っていること』のすべてにあてはまる中小企業等が対象になります。ちなみに、資本金や出資金の額が定められていない場合には常時使用する従業員の数が2千人以下の中小企業等であることが要件になります。」リエ「令和2年1月~3月の間に設立した事業者は対象にならないんですか?」黒田「それについては対象となる方向で検討されており、申請要領は準備が整い次第、公表されるそうです。そして気になる給付額は、法人と個人事業者で上限は異なりますが、申請時の直近1ヵ月以内に支払った金額に基づいて計算される給付額が支給されます。法人は月額賃料75万円以下の部分について3分の2(月額上限50万円)、月額賃料75万円超の部分について3分の1(月額上限50万円)が支給され、最大支給額は100万円×6ヵ月=600万円となります。一方個人事業者の場合は月額賃料37万5千円以下の部分について3分の2(上限25万円)、月額賃料37万5千円超の部分について3分の1(上限25万円)が支給され、最大支給額は50万円×6ヵ月=300万円となります。ちなみに個人事業者が住居兼事務所として賃料を支払っている場合には、賃料として税務申告している部分のみ給付の対象となります。」リエ「最大支給額が適用されるのは複数事業所を有する場合のみ、というのは撤廃されたんですか?」黒田「はい、撤廃されたようです。したがって事業所が一つしかなくても、法人なら月額賃料が225万円以上で最大支給額の600万円が給付され、個人事業主なら月額賃料112万5千円以上で最大支給額の300万円が給付されることになります。」リエ「なるほど。申請をするにあたってどんな書類を用意すればいいですか?」黒田「これも法人と個人事業者で若干異なりますが、どちらにも共通して必要なものが『賃貸借契約書』、『直前3ヵ月分の支払賃料実績を証明できる書類(領収書や振込明細書など)』、『売上高の減少を証明する書類(売上が減少した月・期間の売上台帳など)』、『受信通知(e-Taxによる電子申告を行っている場合)』、『通帳のコピー(表紙と1・2ページ目の両方)』になります。これに加えて法人は『平成元年分の法人税確定申告書別表一』、『法人事業概況説明書』、が必要になり、個人事業者は『平成元年分の所得税確定申告書第一表』、『月別売上の記入のある平成元年分の所得税青色申告決算書』、『本人確認書類(運転免許証や個人番号カードなど)』が必要になります。」リエ「ということは持続化給付金の申請時の書類に賃貸借契約書と支払賃料実績を証明する書類があれば大丈夫ということですね!」黒田「基本的にはそれで問題ありません。ただし、リエちゃんが最初に言っていた通り、売上減少要件の対象は令和2年5月~12月の売上高ですので、持続化給付金の申請を4月以前の売上高で行っている場合は、売上高の減少を証明する書類を該当月に差し替える必要がありますし、売上台帳など必要箇所に分かるように印をつける必要があります。その他にも地方公共団体から賃料に充てるための支援を受けている場合には、その給付された支援額と家賃支援給付算定額の合計額が、対象となる賃料の6倍を超える部分に関しては減額となりますし、転貸のための賃料または代表取締役や親会社等の実質的に同一者に支払う賃料、配偶者や一親等内の親族等との賃貸借契約による賃料等は給付額の算定に用いることはできないなどの注意点があります。また売上高に連動して賃料が変動する場合などは、申請日の直前1ヵ月分として支払った賃料の額と令和2年3月に賃料として支払った額を比較し、低い金額を給付金の算定基礎とするようです。」リエ「会社がその社長から賃借している場合は難しそうですね。ちなみにこの申請期間は令和3年1月15日までですよね?」黒田「その通りです。要件に当てはまる申請者は、その期間内であればいつでも申請を行うことができるので、直前1ヵ月以内の賃料の値下げや免除を受けている場合には、元の水準に戻った段階で申請を行うことで、元の水準での給付金を受け取ることができます。」リエ「ということは、賃料を値下げしてもらっていて資金にも比較的余裕がある場合は、急がずに様子を見た方がよさそうですね! ありがとうございました!」
2020.07.27 16:26:45