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第11回 最大940万円を受給可能?働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)とは?

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勤務間インターバルは終業時間と始業時間に一定の休息時間を設ける制度であり、働きた改革の一環として注目を浴びています。そして厚生労働省では、中小企業による勤務間インターバルの導入を促進するため、「働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)(以下「インターバル助成金」)」を設けています。中小企業が時間外労働の削減等働き方改革に資する取組を行った上で勤務間インターバルを就業規則等に導入すると、取組にかかった費用が助成されます。今回はこの「インターバル助成金」について解説します。
支給対象となるには、(1)「勤務間インターバルを導入していない(以下「新規導入」)」、(2)「9時間未満の勤務間インターバルを既に導入している(以下「時間延長」)」、(3)「9時間以上の勤務間インターバルを導入しているが適用労働者が半数以下である(以下「適用範囲拡大」)」ことが条件となります。
また、「「年5日の年次有給休暇の確実な取得」を就業規則に盛り込んでいること」も要件となります。2019年4月より改正労働基準法が施行され、年に10日以上の有休が付与される労働者に対して、毎年5日の有休を取得させなければならなくなりました。まだ対応していない企業はインターバル助成金の交付申請前に、就業規則を変更して労働局に届け出る必要があります。
「インターバル助成金」に交付申請して採択されると、実際にインターバル制度を導入することになるのですが、その前に以下の取組を1つ以上行う必要があります。
「1.労務管理担当者に対する研修」「2.労働者に対する研修、周知・啓発」「3.外部専門家(社会保険労務士、中小企業診断士など) によるコンサルティング」「4.就業規則・労使協定等の作成・変更」「5.人材確保に向けた取組」「6.労務管理用ソフトウェアの導入・更新」「7.労務管理用機器の導入・更新」「8.デジタル式運行記録計(デジタコ)の導入・更新」「9.テレワーク用通信機器の導入・更新」「10.労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新」です。働き方改革になるのであれば幅広い取組が対象になります。
この取組を行った後、就業規則か労働協約に「9時間以上11時間未満」か「11時間以上」の勤務間インターバルを盛り込みます。「新規導入」の場合は「9時間以上11時間未満」で上限80万円、「11時間以上」で上限100万円が助成されます。「時間延長」の場合は「9時間以上11時間未満」で上限40万円、「11時間以上」で上限50万円です。「適用範囲拡大」の場合は勤務間インターバルの適用労働者数が全体の半数を超えれば支給され、助成額は「時間延長」の場合と同じです。
補助率はどの場合も原則3/4ですが、常時使用の労働者数30名以下の企業が上記取組6~10を行った場合は4/5に引き上がります。ただし、取組にかかる経費は30万円を超える必要があります。
さらに勤務間インターバル導入とともに従業員の賃金額の引上げを行った場合、助成額が加算されます。引上げ率(3%か5%)と対象人数(30人まで)で加算額は変わり、30人の従業員の賃金を5%引上げた場合、最大240万円が加算されます。つまり合計で最大340万円が支給されることになります。
交付申請の締切は2020年11月30日までですが、大変人気があるため、締切前に予算がなくなってしまう可能性もあります。そのため、なる早で申請することをおすすめします。
そして、この「インターバル助成金」を申請して支給決定を受けると、「人材確保等支援助成金(働き方改革支援コース)」を申請することができます。
この助成金は「働き方改革によって減少した生産性を補うための人材確保」を支援するもので、指定期間内に労働者を新たに雇うと、1人当たり60万円(最大10名)が支給されます。つまりインターバル助成金と合わせて最大940万円を受給することができます。ただし、対象労働者数の算定方法が「指定期間後の労働者数-指定期間前の労働者数」であるため、指定期間内に離職者がいると、その分対象労働者数が減少します。また、新たに雇った労働者は最低1年以上継続雇用する必要があります。
人材不足に悩んでいる企業はこの助成金の申請も念頭に置いて「インターバル助成金」の申請を検討することをおすすめします。

働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)
支給対象となる
中小企業
・以下のいずれかに該当
 (1)「勤務間インターバルを導入していない」
 (2)「9時間未満の勤務間インターバルを既に導入している」
 (3)「9時間以上の勤務間インターバルを導入しているが
    適用労働者が半数以下である」
・「年5日の年次有給休暇の確実な取得」を就業規則等
  に取り入れている 等
支給対象
となる取組
・外部専門家によるコンサルティング
・就業規則・労使協定等の作成・変更
・労務管理用ソフトウェアの導入・更新
・テレワーク用通信機器の導入・更新
・労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新 等
助成率 取組にかかった経費の原則3/4以内
上限額 最大100万円
※賃金の引上げを行うと最大240万円加算
人材確保等支援助成金
(働き方改革支援コース)
インターバル助成金の支給決定後に申請可能。
労働者を新たに雇うと、1人当たり60万円(最大10名)支給。

執筆者情報

株式会社ナビット

わたしたち株式会社ナビットは補助金・助成金情報検索サイト「助成金なう」を運営しております。
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勤務間インターバルは終業時間と始業時間に一定の休息時間を設ける制度であり、働きた改革の一環として注目を浴びています。そして厚生労働省では、中小企業による勤務間インターバルの導入を促進するため、「働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)(以下「インターバル助成金」)」を設けています。中小企業が時間外労働の削減等働き方改革に資する取組を行った上で勤務間インターバルを就業規則等に導入すると、取組にかかった費用が助成されます。今回はこの「インターバル助成金」について解説します。支給対象となるには、(1)「勤務間インターバルを導入していない(以下「新規導入」)」、(2)「9時間未満の勤務間インターバルを既に導入している(以下「時間延長」)」、(3)「9時間以上の勤務間インターバルを導入しているが適用労働者が半数以下である(以下「適用範囲拡大」)」ことが条件となります。また、「「年5日の年次有給休暇の確実な取得」を就業規則に盛り込んでいること」も要件となります。2019年4月より改正労働基準法が施行され、年に10日以上の有休が付与される労働者に対して、毎年5日の有休を取得させなければならなくなりました。まだ対応していない企業はインターバル助成金の交付申請前に、就業規則を変更して労働局に届け出る必要があります。「インターバル助成金」に交付申請して採択されると、実際にインターバル制度を導入することになるのですが、その前に以下の取組を1つ以上行う必要があります。「1.労務管理担当者に対する研修」「2.労働者に対する研修、周知・啓発」「3.外部専門家(社会保険労務士、中小企業診断士など) によるコンサルティング」「4.就業規則・労使協定等の作成・変更」「5.人材確保に向けた取組」「6.労務管理用ソフトウェアの導入・更新」「7.労務管理用機器の導入・更新」「8.デジタル式運行記録計(デジタコ)の導入・更新」「9.テレワーク用通信機器の導入・更新」「10.労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新」です。働き方改革になるのであれば幅広い取組が対象になります。この取組を行った後、就業規則か労働協約に「9時間以上11時間未満」か「11時間以上」の勤務間インターバルを盛り込みます。「新規導入」の場合は「9時間以上11時間未満」で上限80万円、「11時間以上」で上限100万円が助成されます。「時間延長」の場合は「9時間以上11時間未満」で上限40万円、「11時間以上」で上限50万円です。「適用範囲拡大」の場合は勤務間インターバルの適用労働者数が全体の半数を超えれば支給され、助成額は「時間延長」の場合と同じです。補助率はどの場合も原則3/4ですが、常時使用の労働者数30名以下の企業が上記取組6~10を行った場合は4/5に引き上がります。ただし、取組にかかる経費は30万円を超える必要があります。さらに勤務間インターバル導入とともに従業員の賃金額の引上げを行った場合、助成額が加算されます。引上げ率(3%か5%)と対象人数(30人まで)で加算額は変わり、30人の従業員の賃金を5%引上げた場合、最大240万円が加算されます。つまり合計で最大340万円が支給されることになります。交付申請の締切は2020年11月30日までですが、大変人気があるため、締切前に予算がなくなってしまう可能性もあります。そのため、なる早で申請することをおすすめします。そして、この「インターバル助成金」を申請して支給決定を受けると、「人材確保等支援助成金(働き方改革支援コース)」を申請することができます。この助成金は「働き方改革によって減少した生産性を補うための人材確保」を支援するもので、指定期間内に労働者を新たに雇うと、1人当たり60万円(最大10名)が支給されます。つまりインターバル助成金と合わせて最大940万円を受給することができます。ただし、対象労働者数の算定方法が「指定期間後の労働者数-指定期間前の労働者数」であるため、指定期間内に離職者がいると、その分対象労働者数が減少します。また、新たに雇った労働者は最低1年以上継続雇用する必要があります。人材不足に悩んでいる企業はこの助成金の申請も念頭に置いて「インターバル助成金」の申請を検討することをおすすめします。
2020.07.02 17:28:18