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「見える化」と「見せる化」

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皆さんの事務所は「見せる化」に取り組んでいますか?
「見える化」ではなく「見せる化」です。

事務所の理念や所長先生の方針、個々人の目標などを期首に発表したり、
スケジュールをクラウドで共有したり、業務進捗をエクセル等で管理するなど、
様々な情報の「見える化」に取り組んでいる事務所は多いかと思います。

実際に私がこれまでお伺いした事務所でも
これらの「見える化」に取り組んでいる事例はよく見聞きします。
さらに最近では「生産性(付加価値÷労働時間)もスタッフ全体で共有しているよ!」
という事務所もチラホラみかけます。

しかしその多くの情報は果たして本当に「見えている」でしょうか?

期首に立てた目標は日々の業務から、すぐに忘れさられ、
自分の進捗はエクセルに更新するが、他人の進捗には目が留まらない。
報告書は書くがファイリングしているだけで誰も活用しない。
顧客からのクレームやヒヤリハットは所長先生と担当者間だけで共有されるのみ。
生産性もシステムで分析して公開はされているが、見ているのは先生だけ。

これでは「(見ようと思えば)見える化」であり、せっかくの情報が活かされません。
「見える化」をした後に重要なのは「見せる化」です。
私が実際に見た事例を2つご紹介します。

【進捗管理】
 進捗管理は管理面ではエクセル等で一覧性・網羅性を持って管理されるべきです。
 しかし「見せる化」となるとさらに工夫が必要です。

 ある事務所ではチームごとにデスクの島があり、
 その島ごとにモニターが天井に設置されていました。
 そこには確定申告の残件数や、進捗状況などが大きく表示されています。

 モニターでは設置費用がかかりますので、
 他の事務所では進捗管理表を紙に大きく印刷して貼り出すことで代用されていました。
 更新はクラウド上の進捗管理ですが、それを毎日貼り出しているようです。
 リアルタイムに更新はされませんがイヤでも目に留まる工夫がされています。

 日に日に減っていく件数や塗りつぶされていくグラフで
 達成感を得られたり、遅れている人をサポートしたり、
 島ごとの競争心から作業スピードが上がるなど心理的な効果があるようです。

【報告書】
 報告書は記録して溜めておくことが目的となりがちですが、
 その情報を活かすために「見せる化」が必要です。

 お客様からの喜びの声やクレーム・ヒヤリハットを報告書として綴じておくだけでなく、
 必ず目に留まる扉や壁に貼り出している事務所がありました。
 そうすることで今まで読まれなかった報告書が、
 朝、事務所に来た時やお昼休憩の時に読まれて、自然と話題に出るようになったそうです。

どちらの事例も(見ようと思えば)見える情報を、
見に行こうする意思がなくても必ず目に留まる形で「見せる化」されています。
皆さんの事務所でも「見せる」ものを絞り込んで、その情報がより活かされる
「見せる化」の組織作りを取り組んでみてはいかがでしょうか。

執筆者情報

株式会社名南経営コンサルティング

1966年開業の佐藤澄男税理士事務所(現・税理士法人名南経営)を祖業としたコンサルティングファーム「名南コンサルティングネットワーク」の中核企業。ネットワークでは、経営に関わるあらゆる専門家を抱え、中堅・中小企業を対象に、企業経営をワンストップでサポートして信用・実績を積み重ね、多くのクライアントをもつ。総スタッフ数569名(2019年7月1日現在)。同社は生産性向上を目的に開発したクラウドシステムMyKomonを使った会計事務所支援のほか、戦略的経営計画策定支援などの経営コンサルティング、経営者・後継者・経営幹部の育成指導、人事労務コンサルティングを得意分野とする。

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皆さんの事務所は「見せる化」に取り組んでいますか?「見える化」ではなく「見せる化」です。事務所の理念や所長先生の方針、個々人の目標などを期首に発表したり、スケジュールをクラウドで共有したり、業務進捗をエクセル等で管理するなど、様々な情報の「見える化」に取り組んでいる事務所は多いかと思います。実際に私がこれまでお伺いした事務所でもこれらの「見える化」に取り組んでいる事例はよく見聞きします。さらに最近では「生産性(付加価値÷労働時間)もスタッフ全体で共有しているよ!」という事務所もチラホラみかけます。しかしその多くの情報は果たして本当に「見えている」でしょうか?期首に立てた目標は日々の業務から、すぐに忘れさられ、自分の進捗はエクセルに更新するが、他人の進捗には目が留まらない。報告書は書くがファイリングしているだけで誰も活用しない。顧客からのクレームやヒヤリハットは所長先生と担当者間だけで共有されるのみ。生産性もシステムで分析して公開はされているが、見ているのは先生だけ。これでは「(見ようと思えば)見える化」であり、せっかくの情報が活かされません。「見える化」をした後に重要なのは「見せる化」です。私が実際に見た事例を2つご紹介します。【進捗管理】 進捗管理は管理面ではエクセル等で一覧性・網羅性を持って管理されるべきです。 しかし「見せる化」となるとさらに工夫が必要です。 ある事務所ではチームごとにデスクの島があり、 その島ごとにモニターが天井に設置されていました。 そこには確定申告の残件数や、進捗状況などが大きく表示されています。 モニターでは設置費用がかかりますので、 他の事務所では進捗管理表を紙に大きく印刷して貼り出すことで代用されていました。 更新はクラウド上の進捗管理ですが、それを毎日貼り出しているようです。 リアルタイムに更新はされませんがイヤでも目に留まる工夫がされています。 日に日に減っていく件数や塗りつぶされていくグラフで 達成感を得られたり、遅れている人をサポートしたり、 島ごとの競争心から作業スピードが上がるなど心理的な効果があるようです。【報告書】 報告書は記録して溜めておくことが目的となりがちですが、 その情報を活かすために「見せる化」が必要です。 お客様からの喜びの声やクレーム・ヒヤリハットを報告書として綴じておくだけでなく、 必ず目に留まる扉や壁に貼り出している事務所がありました。 そうすることで今まで読まれなかった報告書が、 朝、事務所に来た時やお昼休憩の時に読まれて、自然と話題に出るようになったそうです。どちらの事例も(見ようと思えば)見える情報を、見に行こうする意思がなくても必ず目に留まる形で「見せる化」されています。皆さんの事務所でも「見せる」ものを絞り込んで、その情報がより活かされる「見せる化」の組織作りを取り組んでみてはいかがでしょうか。
2020.09.30 11:40:06