続、コロナに対する不都合な真実
見せかけの倒産件数
----------朝日新聞2020年4月30日----------
『コロナ関連倒産100件超す 資金枯渇、連休明け増加か』
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で倒産した企業件数が、4月末までに109件に達した。
東京商工リサーチが30日発表した。
外出自粛で売り上げが減り、中小零細を中心に資金繰りに行き詰まる企業が
増えている。
上場企業でも業績の下方修正が相次ぎ、3兆円を超す売上高と2兆円超の純利益
が失われる見通しだ。
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コロナ関連の倒産件数(廃業含む)は、こんなものではないです。
よく新聞報道される東京商工リサーチの倒産件数の基準は、負債総額1千万円以上
で、東京商工リサーチが把握できた事業者のみです。
つまり、負債が少なく自主廃業する場合や、そもそも東京商工リサーチ等が
把握できない、小さいレストランや商店街のお肉屋さんなどは上記の数字に
入っていません。
新聞報道される倒産件数(廃業含む)の数十倍が、真実の数字でしょう。
これは、税理士事務所をしていてリアルに中小企業を見ていての実感としても
そうです。
本当のテレワーク数
----------日本経済新聞2020/5/25----------
『その仕事「対面」必要ですか? コロナの経験生かせ』
新型コロナウイルスの感染拡大は経済をどう変えていくだろうか。
外出自粛は解除されつつあるが、フェイス・ツー・フェイス(F2F)へのこだ
わりを見直す動きは奔流になりつつある。
日本で立ち遅れてきたデジタルトランスフォーメーション(DX)が加速する
可能性がある。
(中略)
企業も「実験」に直面している。
経団連が4月に1470社を対象にテレワークの実施状況を調べたところ、回答企業の従業員の66%、約76万人がテレワークや在宅勤務をしていることがわかった。
密閉・密集・密接という「3密」回避がコロナ禍への最重要対策となった影響が大きい。
きっかけがコロナ対策でも、F2Fをデジタルに切り替えると意外な効用に気づき、定着する可能性がある。
「対面でないとできない」という前提が、かなり疑わしいことが明らかになるからだ。
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「経団連が4月に1470社を対象にテレワークの実施状況を調べたところ、回答企業の従業員の66%、約76万人がテレワークや在宅勤務」ときくと、周囲の会社をみたときに、違和感ないですか。
9人の会社であれば、出社が3人になります。
90人の会社であれば、出社が30人になります。
900人の会社であれば、出社が300人になります。
そんなこと、中小企業で可能なのでしょうか。
もちろん、元々営業系の会社で直行直帰に近い方や、IT系の会社でテレワークでもそれほど支障がない方などおられます。
一方、接客業や製造現場の方、書類確認がいる総務経理系の方などは、どうやっても完全にテレワークとはならないでしょう、やるとしても部分になるのではないでしょうか、効率も落ちます。
上記の記事のカラクリは、経団連1470社というのは、当然ですが経団連加入会社のみで構成されていて、会社名をあげれば例えばトヨタ自動車(株)やパナソニック(株)などです。
では、中小企業ではどれくらい実際、テレワークが進んでいるのでしょうか。
あまり報道されませんが、例えば下記のような感じだと思われます。
もちろん、業種業態によりけりですが。
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デルとEMCジャパンは4月27日、2020年3月に全国の中小企業(従業員数1~99人)の経営者及び会社員2197人に対して実施したテレワークに関する調査結果を発表した。
これによると、テレワークを導入していない中小企業は9割近くを占め、業種別では運輸業が導入率が最も低かった。
テレワークの導入状況を尋ねたところ、「導入していないが、検討している」が14%、「導入しておらず、検討もしていない」が73%であり、調査時点でテレワークを導入していないという企業が87%に上った。
https://news.mynavi.jp/article/20200428-1025302/
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大阪商工会議所は12日、時差出勤やテレワーク(在宅勤務)の導入、子育て中の従業員の休暇取得促進など、新型コロナウイルスの感染拡大防止に向けた企業の対応状況に関する緊急調査結果を公表した。
大手企業では対応が進む一方、中小企業では人手不足やIT化の遅れなどを背景に対応が進まない現状が浮き彫りになった。
調査は489社を対象に実施し、有効回答率は56.2%(275社)。手洗いや消毒液設置などの感染予防は8割超の企業が行っているが、政府が奨励する「時差出勤」は大企業(資本金3億円超)は83%が取り組んでいるのに対し、中小企業(同3億円以下)は20.7%にとどまった。
テレワークも大企業は54.7%が実施している一方、中小企業は9.5%だった。
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2003/16/news044.html
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企業買収が増え寡占化が進む、下克上の面も
----------日本経済新聞2020/5/23----------
『危機で加速 寡占の歴史』
新型コロナウイルス危機で、市場の寡占化が進むとの懸念が米欧を中心に強まっている。
経営が傾いた企業を体力のある大手が買うとの見方からで、危機収束まで買収を制限する案まで出ている。
だが買収が倒産を防ぎ雇用を守るのも事実。
独禁当局はどう向き合うのか。
(中略)
2008年の金融危機の後も世界のM&Aは加速した。
危機直後こそ金額は減ったが、15年には過去最高を更新し、件数は一貫して堅調を保った。
株価下落や低金利を背景に安値での企業買収が活発化した証しだ。
この間、市場の寡占化は進んだ。
米欧研究者の18年の分析では、米産業の75%で寡占率が20年前より上昇。
特に金融危機後は企業数の減少も相まって寡占が加速した。
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コロナ禍で大変な状況になっている会社が存在している反面、それらの会社をグループの一員として迎え入れようと買収を検討している会社も多数おられます。
こういった動きを否定する見方も理解しますが、買収してくれる会社が存在しているから、雇用が守られ経済が守られている側面があるのも事実ですので、簡単に善悪で論じることは難しいのかもしれません。
ただ、業界ごとに寡占化が進むのは気になるところです。
また、現在借金が少ない会社やスタートアップ企業は、軽いフットワークで攻めに転じることが出来ますので、withコロナ、afterコロナにおいて、一部の業界で、下克上が起こる可能性もあると思います。