適格請求書発行事業者登録制度
Question
適格請求書発行事業者登録制度とは、どのような制度ですか。
Answer
1 適格請求書発行事業者登録制度
適格請求書発行事業者登録制度とは、仕入税額控除の仕組みの基礎となるものです。
免税事業者からの仕入れを仕入税額控除の対象としないという、区分記載請求書等保存方式との制度的な違いを支えるものです。
2 適格請求書発行事業者
「適格請求書発行事業者」とは、課税事業者であって、自ら税務署長に申請し、適格請求書を交付することのできる事業者として登録を受けた事業者をいいます(新消法57の2①~③)。
3 登録
事業者から、登録申請書の提出を受けた税務署長は、登録拒否要件に該当しない場合には、適格請求書発行事業者登録簿に法定事項を登載して登録を行い、登録を受けた事業者に対して、その旨を書面で通知することとされています(新消法57の2③④⑤⑦)。
* 特定国外事業者(事務所、事業所等を国内に有しない国外事業者)は、消費税に関する税務代理人があること等が登録の要件となります(新消法57の2⑤二)。
4 登録拒否要件
事業者が、消費税法の規定に違反して罰金以上の刑に処せられ、その執行が終わり、又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者は、登録を受けることができません(新消法57の2⑤)。
5 適格請求書発行事業者の公表
交付を受けた請求書等が適格請求書に該当することを客観的に確認できるよう、適格請求書発行事業者登録簿に登載された事項については、インターネットを通じて公表されます(新消令70の5)。
適格請求書発行事業者登録簿の登載事項は、次のとおりです(新消令70の5①)。
① 適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
② 登録年月日
③ 法人(人格のない社団等を除く)については、本店又は主たる事務所の所在地
6 登録番号の構成
登録番号の構成は、次のとおりです(インボイス通達2―3)。
区分 |
登録番号 |
---|---|
法人番号を有する課税事業者 |
「T」(ローマ字)+法人番号(数字13桁) 例:T1234567890123 |
法人番号を有しない課税事業者 (個人事業者、人格のない社団等) |
「T」(ローマ字)+数字13桁 マイナンバー(個人番号)は用いない |
* 請求書等への表記に当たり、半角・全角は問いません。
7 登録の取消し
税務署長は、次の場合に適格請求書発行事業者の登録を取り消すことができます(新消法57の2⑥)。
・1年以上所在不明であること
・事業を廃止したと認められること
・合併により消滅したと認められること
・消費税法の規定に違反して罰金以上の刑に処せられたこと
8 事業者免税点制度との適用関係
免税事業者は適格請求書発行事業者になることはできません。また、適格請求書発行事業者には、事業者免税点制度は適用されません(新消法9①、インボイス通達2―5)。
したがって、免税事業者が適格請求書等発行事業者となるためには、課税事業者を選択しなければなりません。また、適格請求書発行事業者は、基準期間における課税売上高及び特定期間における課税売上高が1,000万円以下となっても、取りやめの手続きを行わない限り、免税事業者となることはできません。
免税事業者が課税事業者となる課税期間の初日から登録事業者になろうとする場合には、その1か月前に手続きを行わなければなりません。
9 申請の受付開始
適格請求書発行事業者の申請の受付は、令和3年10月1日に開始します(平28改法附1八、44①)。
このコンテンツの内容は、令和2年2月1日現在の法令等によっています。