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不動産取得税の仕組みと計算

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1.納税義務者

 不動産(土地・家屋)を取得した個人及び法人

(注)
◎不動産取得税の課税
 不動産取得税は不動産の取得権の取得に対して課される税ですから、取得の方法が有償であると無償であると、また、取得の原因が売買、贈与、交換などの別を問いません。そして、登記の有無も問いません。
◎配偶者控除(贈与税)と不動産取得税等
 贈与税の配偶者控除を受けた場合であっても、不動産取得税ではこのような控除制度はないので、贈与税が課せられない範囲での不動産の取得であっても不動産取得税は課税されます。
 なお、登録免許税も同様に課税されます。

2.課税標準

 取得した「不動産の価格」によります。
(注)「不動産の価格」とは
・土地や家屋の売買、贈与、交換などの場合……固定資産課税台帳に登録された価格
・家屋を新築、増改築した場合……固定資産評価基準により評価した価格

3.課税標準の特例

 床面積が50㎡(新築の戸建以外の貸家住宅は、40㎡)以上240㎡以下の住宅を取得した場合には、申告により、次に掲げる区分に応じ、それぞれに掲げる金額を課税標準から控除することができます。
⑴ 新築住宅の場合……1戸につき、1,200 万円
⑵ 既存住宅の場合……1戸につき、取得した住宅の新築時に課税標準から控除するものとされていた価格
⑶ 認定長期優良住宅の場合……1戸につき1,300万円(平成21年6月4日から令和2年3月31 日までの新規取得)

(イ)  上記(2)の既存住宅は、新築後の経過期間が20 年(一定の耐火建築物は25 年)以内である等の要件を満たすものを、自己の居住用の住宅として取得した場合に限り、適用されます。
(ロ)  上記(1)(2)(3)の宅地及び宅地に比準して評価する土地(市街化区域農地など)について平成18 年1月1日から令和3年3月31 日の間に取得した場合は価格の2分の1が課税標準額とされる課税標準の軽減措置が設けられています。

4.税率

区分 標準税率 適用期日
・住宅・住宅用地
・商業地等(非住宅用地)
3%(本則4%) 平成18 年4月1日〜
 令和3年3月31 日
・店舗・事務所等(非住宅家屋) 4%(本則) 平成20 年4月1日〜

5.非課税の範囲

◎非課税とされる主なもの
① 国・地方公共団体等による不動産の取得
② 日本郵政株式会社、日本放送協会、宗教法人、学校法人、社会福祉法人等の本来の用に供するための不動産の取得
③ 相続・法人の合併又は分割等形式的な所有権の移転等による不動産の取得
④ その他

6.免税点

 課税標準となるべき額が次の額に満たないものは課税されません。

区分 不動産の価格
土地 10 万円

新築・増改築 一戸につき23 万円
その他(売買・贈与など) 一戸につき12 万円

7.特定の住宅用地等の取得に係る減額措置

 下記(イ)(ロ)の要件を満たす住宅用地等を取得した場合には、申告により、次の①又は②で計算した額のいずれか多い方の額が税額から控除されます。

45,000 円
土地の課税標準額/土地の面積(㎡)×[住宅の床面積(※)×2]×税率(3%)
※200㎡を限度

(イ) 新築住宅用地の場合の要件

(a) 土地取得日から2年以内(その土地の取得が平成20 年4 月1 日から令和2年3 月31 日までに行われたときは3 年以内、やむを得ない事情がある場合は4 年以内)にその土地の上に住宅(先の3.課税標準の特例の適用を受けられるもの)を新築した場合等
(b) 土地取得日前1年以内にその土地の上に住宅を新築していた場合
(c) 新築未使用の特例適用住宅及びその敷地をその住宅の新築後1年以内に取得した場合

(ロ) 既存住宅用地の場合の要件

(a) 土地取得日から1年以内にその土地上に既存住宅等(〈課税標準の特例〉の適用を受けられるもの。減額措置の適用を受けない(イ)の新築住宅を含む。(b) も同じ)を取得した場合
(b) 土地取得日前1年以内にその土地の上に住宅を新築していた場合

8.居住用超高層建築物に係る課税

概要 「居住用超高層建築物」の居住用の専有部分の取得があった場合において、その評価額を専有部分の床面積割合によってあん分して得た額に相当する価格の家屋の取得があったものとして課する不動産取得税については、専有部分の床面積を、住戸の所在する階層の差違による床面積当たりの取引単価の変化の傾向を反映するための補正率(階層別専有床面積補正率)により補正します。
居住用超高層建築物 高さが60m を超える建築物のうち、複数の階に住戸が所在しているものをいいます。
階層別専有床面積補正率 「居住用超高層建築物」の1 階を100 とし、階が一増すごとに、これに10 を39 で除した数を加えた数値とします。
適用時期 平成29 年4月1日以後に新築された居住用超高層建築物(同日前に最初の売買契約が締結された住戸を含むものを除く)の平成30 年4月1日以後の取得に対して課すべき不動産取得税について適用されます。

9.納期

 納税通知書に定められた期日


 このコンテンツの内容は、平成31年4月20日現在の法令等によっています。

資料提供(出典)

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令和元年版 税務・労務ハンドブック

発行日:2019年6月7日
発行元:株式会社 清文社
規格:B6判 788頁

公認会計士・税理士 井村登、公認会計士・税理士 馬詰政美、公認会計士・税理士 菊地弘、特定社会保険労務士 佐竹康男、特定社会保険労務士 井村佐都美 著

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 不動産(土地・家屋)を取得した個人及び法人(注)◎不動産取得税の課税 不動産取得税は不動産の取得権の取得に対して課される税ですから、取得の方法が有償であると無償であると、また、取得の原因が売買、贈与、交換などの別を問いません。そして、登記の有無も問いません。◎配偶者控除(贈与税)と不動産取得税等 贈与税の配偶者控除を受けた場合であっても、不動産取得税ではこのような控除制度はないので、贈与税が課せられない範囲での不動産の取得であっても不動産取得税は課税されます。 なお、登録免許税も同様に課税されます。
2020.03.30 10:29:10