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モットーは明るく元気、事務所の経営を支えた言葉と競技経験【税理士法人 中央総研】

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会社員から税理士事務所を開業

中央総研は、愛知本部・名古屋本部・滋賀本部、そして私たち三重本部の4つの事務所からなる税理士法人です。1983年に個人で事務所を立ち上げ、その後2003年に志を同じくする税理士・会計士で中央総研を設立しました。今はこのような形態は珍しくありませんが、当時は取材も多かったですね。

現在三重本部のスタッフ数は30名、新卒採用も積極的に行っております。お客様の数は個人の方も含めて約750件あります。そのうち三重のお客様が4割、おとなりである愛知のお客様が6割です。

大学は横浜市立大学商学部経済学科でしたが、学生のころから税理士を目指していたわけではありません。大学時代はヨット部に所属しており、ヨットのプロを目指していました。その後いったんは会社員として富士通に就職しましたが、三重に戻って開業したいと考え、税理士試験を受験し合格しました。

開業してはじめのうちは、お客様の獲得にとても苦労しましたね。夏目漱石の「草枕」の冒頭に「智(ち)に働けば角が立つ。情に棹(さお)させば流される。意地を通おせば窮屈(きゅうくつ)だ。とかくに人の世は住みにくい」とありますが、まさにそのような心境です。どの資格者もそうだとは思いますが、開業して継続していくのは私にとって大きなチャレンジでした。

お客様に存在を知ってもらうために

開業して初めのうちは「なぜ私の事務所にはお客様が来ないのだろう」と不思議に思っていたのですが、しばらくして「地域の人たちが、まだ私の存在を知らないだけなのだ」と気づきました。そこで自分を知ってもらおうと飛び込んだのがJC(日本青年会議所)です。JCで創業者や二代目・三代目の方々とネットワークをつくることで、依頼をいただけるようになりました。

また1年半前までは、銀行に対して税務会計をテーマにした講演・講義を行っていました。最初は出版社の方からの紹介でしたが、「同じ話をぜひうちでも」と依頼を受け、リピートにつながっていきました。中部・近畿地方はもちろん、九州、四国、中国地方の銀行や農協からも依頼があります。多いときには1週間続けて広島、香川、徳島、神戸の銀行へ……なんてこともありました。もちろん九州や四国で講演することで直接現地のお客様が増えるわけではありませんが、このような積み重ねがお客様の信頼につながっていったように思います。

当事務所は医業経営分野に強みがあります。最初は銀行からドクターを紹介していただくことが多かったですね。しかしあるときから紹介が少なくなりました。銀行に理由を尋ねてみると「銀行に融資を申し込みに来た時点で、税理士が決まっているケースが増えた」というのです。そこでさらに医薬品卸業、医療機器販売業、医院開業に強い建築士や不動産業の方々ともネットワークを築くことで、ドクターのお客様が増えていきました。おかげさまでお客様にとても恵まれています。

他事務所との差別化というものは特に考えておらず、いかに税務・財務のサポートが必要なお客様に自分たちの存在が届くか、そしてお役に立てるかを考えています。当事務所ではお客様に最新の情報をお伝えし、経営をサポートするため、スタッフへの研修はもちろん、お客様向けの研修も積極的に毎年実施。4月にはホテル花水木のコンベンションホールでセミナーを開催しています。今年は『消費税率10%へ引上げ&2019年度税制改正』というテーマで実施しました。税法は3月に変わりますので、すぐにその翌月には講演会を開き、お客様にお伝えするよう努めています。

また毎年のように改正が発生する税法に対応するため、法人税・相続税の国税局OBの税理士4名に顧問をお願いしています。特に法改正後はお客様からの問い合わせが増えますが、何かあったときにすぐに来ていただけるのは心強いですね。

ヨットの経験が事務所の経営に生きる

昨今は働き方改革という言葉をよく目にします。もちろん当事務所でも産業医と連携して取り組んでおりまして、たとえば月に1度、スタッフを集め「どうすれば効率よく仕事をすすめられるか」「どうすれば残業を削減できるか」というのを話し合う会議の場を設けています。

ただ単純に時間を削れば質が上がるかというと、そうではありませんよね。質は落とさずに効率を上げるにはどうすればよいか、そこでITの出番です。エプソンの製品では、「財務顧問 R4」、「給与・法定調書顧問 R4」、「電子申告顧問 R4」を導入しています。交流がある徳島の事務所の先生からすすめてもらったことと、処理がスムーズでサクサクと動くとスタッフからの評判もよかったのが決め手でした。またこれからAI技術が仕訳などの会計処理の自動化にどう影響を与えるかにも注目しており、エプソンの製品にも期待しています。

開業して20年以上、大変なこともありましたが、それを乗り越えてきた原動力は何かというと、大学時代に経験したヨットが大きいですね。風の動きや波の動き……風にも強風・順風・微風といろいろあります。風も呼吸をしているんですよね。その息吹を肌で感じ取り、臨機応変に対応する。仕事もそうですよね。いかに相手の心の機微を感じ取られるかが大切です。そして即座に反応するための筋力も必要。それらの力を培ったのがヨットだと考えています。
当事務所のモットーは「念ずれば花開く」「明るく元気で素直」です。「念ずれば花開く」は、仏教詩人である坂村真民(さかむら・しんみん)さんの直筆を事務所に飾っています。また「明るく元気で素直」については「明(めい)・元(げん)・素(そ)」の言葉から来ています。これはMG(MQ戦略ゲーム)の開発者である西順一郎先生に教えていただいたものです。このような先生方に助けられながら、事務所を経営してまいりました。スタッフにもよく話をしています。

明・元・素は明るく元気で素直、その反対が暗(あん)・病(びょう)・反(たん)で、暗く病気がちで反抗的という意味です。ただ私自身は「明・元・素」よりも「明・元・反」だと考えています。今の時代。素直さも大事ですが、反骨精神・骨っぽさがある「明・元・反」くらいでちょうどよいのではないでしょうか。

――笹谷所長はとても好奇心にあふれるエネルギッシュな方でした。また、取材のため事務所を訪れたときに印象的だったのが、20年経っていると思えないほど事務所の中が美しく清潔な状態を保たれていることでした。若いスタッフの教育もスリッパの揃え方やトイレットペーパーの整え方など徹底していらっしゃるとのこと。この基本を大切にする姿勢もまた、長く地元の皆さまから信頼されている秘訣といえそうです。

税理士法人 中央総研

設立:2003年1月8日
代表:笹谷俊道
従業員数:30名
事務所:三重県桑名市大福406-1
URL: https://sasaya-kaikei.tkcnf.com/
コンセプト:桑名市内に事務所を構え、東海3県を中心とするお客様からのお問い合わせにスピーディに対応。いかにお客様のお役に立つかを常に考え、成長・発展を支えます。

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中央総研は、愛知本部・名古屋本部・滋賀本部、そして私たち三重本部の4つの事務所からなる税理士法人です。1983年に個人で事務所を立ち上げ、その後2003年に志を同じくする税理士・会計士で中央総研を設立しました。今はこのような形態は珍しくありませんが、当時は取材も多かったですね。現在三重本部のスタッフ数は30名、新卒採用も積極的に行っております。お客様の数は個人の方も含めて約750件あります。そのうち三重のお客様が4割、おとなりである愛知のお客様が6割です。大学は横浜市立大学商学部経済学科でしたが、学生のころから税理士を目指していたわけではありません。大学時代はヨット部に所属しており、ヨットのプロを目指していました。その後いったんは会社員として富士通に就職しましたが、三重に戻って開業したいと考え、税理士試験を受験し合格しました。開業してはじめのうちは、お客様の獲得にとても苦労しましたね。夏目漱石の「草枕」の冒頭に「智(ち)に働けば角が立つ。情に棹(さお)させば流される。意地を通おせば窮屈(きゅうくつ)だ。とかくに人の世は住みにくい」とありますが、まさにそのような心境です。どの資格者もそうだとは思いますが、開業して継続していくのは私にとって大きなチャレンジでした。
2020.04.02 17:03:57