中堅中小企業をサポート。専門士業のスペシャリスト集団【名南コンサルティングネットワーク】
強みは士業のネットワーク
大河内氏： 名南コンサルティングネットワークの歴史は1966年、創業者の佐藤澄男が税理士事務所を開業したことからスタートしました。佐藤は創業当初から、一般的な税務にとどまらず、中小企業の経営者のあらゆる悩みにお応えできるようにということで、税理士や公認会計士、弁護士、司法書士、行政書士、社会保険労務士、中小企業診断士など、士業のネットワークを築きあげてきました。これこそまさしく私たちの最大の強みであり、中小企業の経営・管理に必要な士業は、ほぼ全てカバーしていると自負しています。名南コンサルティングネットワークは2019年7月現在、16法人によって構成されており、スタッフ数は569人に上ります。また、中国やベトナムに進出されるお客さまに会計・税務サービスを提供するための現地法人も設立しています。
そのなかで1984年に設立された名南経営コンサルティングは、2000年にサービスを開始した会計事務所の生産性向上のためのクラウドサービス「MyKomon」のほか、企業経営コンサルティング、人事労務コンサルティングといったサービスを提供しています。「MyKomon」は会計事務所の業務支援ツールであり、顧問先とのコミュニケーションツールである「電子会議室・共有フォルダ」、スケジュール管理や日報、業務報告書、進捗管理、資料回収管理などの「グループウェア」、顧問先のための業務アプリケーション「給与計算・勤怠管理」といったメニューを通じて、会計事務所の生産性向上を後押しする仕組みです。導入件数は約2,000事務所。お客さまの８割超から「『MyKomon』の導入により労働生産性が向上した」というお声を頂戴しています。名南コンサルティンググループ各社の力を借りながら、「MyKomon」を通じてお客さまにより良い情報、コンテンツを提供し、業界全体の発展を後押ししていきたいと思っています。
名南M＆A株式会社の上場
篠田氏： 名南コンサルティングネットワークがM&A仲介業務をスタートさせたのは2001年です。団塊世代の経営者の引退増加や、それに伴う後継者不足を見据えて、株式会社名南経営コンサルティング内に企業情報部を設立し、本格的なM&A支援サービスを開始したのですが、60歳を超えても経営の舵を取り続ける経営者が少なくなかったこともあって、当初は伸び悩みました。
しかしながら、団塊世代の経営者が60代後半になり、70代に入った頃から、事業承継のためのM&Aの件数は急増。それとともに競合は増加し、中には上場するM＆A仲介業者が増えてきました。そこで、2014年に企業情報部を分社化し、「名南M&A株式会社」を設立。上場を目指す体制を整えたうえで、2019年12月、名古屋証券取引所セントレックス市場に上場しました。当社は地銀や信金など、この地域のほぼ全ての金融機関と提携していますが、2019年10月に上場が承認されて以降、これまでは私たちに関心をよせていただけなかった金融機関から提携のお声掛けをいただく機会も増えてきました。上場をきっかけとして、当社の信用力や知名度は以前とは比べものにならないほど高まっているのは間違いないと思います。
2019年のM&Aの成約件数は、公表されているだけでも全国で約4000件。2019年のM&Aの成約件数は、第三四半期までの数字で42件に上ります。売上規模100億円以未満の企業を中心に後継者不在率が高まっている今日、M&Aの件数はますます増えていくのは間違いないでしょう。東海地区で高いプレゼンスを誇る「地域M&Aカンパニー」という独自のポジションを活用するとともに、名南コンサルティンググループとしてワンストップでソリューションを提供できるという強みを最大限に発揮しながら、友好的なM&Aをサポートし、地域社会の活性化に寄与していきたいと思っています。M&A仲介において大切なのは売り手である中小企業のオーナー様の思いです。その思いを次なる経営者に確実に託すことができるよう、きめ細かな情報収集と営業活動を進めていく方針です。
ICTの積極活用
大河内氏： 名南コンサルティングネットワークでは、早くからICTの導入を積極的に進めてきました。Windows3.1日本語版のリリースされた1993年にグループウェアシステムを導入。メールや報告書を中心に顧客情報をデータベース化し、お客さまとの過去のやりとりを検索して抽出し、重要な報告書やクレームを取り出して確認することのできる仕組みを構築しました。これは私たちの大きな財産になっています。
AIによってなくなる業種として会計士・税理士業界の未来をネガティブに捉える風潮がありますが、それほど危機感は持っていません。なぜなら、名南経営コンサルティングの場合、お客さまに自計化を勧めてきたことで全業務において記帳代行が占めるウェイトは低く、中小企業経営者の意思決定をサポートする高度な税務・会計サービスを手掛けてきたからです。実際、エプソンの「Weplat財務応援R4Lite」を導入し、自計化を行なっているお客さまは、クリニックを中心に約400社あります。その内６割のお客さまがソフトに標準で搭載している「データ共有サービス」を利用されており、クラウド上でデータを共有するメリットを実感いただいています。さらに、もう1つの特徴である銀行口座やクレジットカードの利用履歴をシームレスに取り込める「金融連携サービス」を利用されているお客さまは1割程度ですが、キャッシュレスの普及と共に今後ますます増えていくと思われます。ネットバンキングやクレジットカード、POSレジからデータを定期的に取り込むだけで済むので、ヒューマンエラーの心配もなく、チェックも楽になると大変喜んで頂いています。
経営理念「自他利他」を追求し、日本経済の成長に貢献
篠田氏： われわれ名南コンサルティングネットワークの経営理念は「自利利他」です。これが意味するのは「他人に利益を与えれば、やがて自分に利益が返ってくる」ということではなく、「他人へ利益を与えることそのものが自分の利益である」ということです。この理念の実現に向けて、創業以来、一ミリたりともぶれることなく邁進してきた結果、今日まで成長を続けることができました。今後も、「自利利他」の理念を軸として、名南コンサルティングネットワークが培ってきたリソースを最大限に活用しながら、品質の高いサービスを提供していきたいと思っています。
大河内氏： 私たちのお客さまである会計事務所や税理士事務所の活躍の場が広がることは、中小企業の支援につながります。そして、中小企業の活性化はとりもなおさず、日本経済の成長を後押しすることほかなりません。これまで以上にレベルの高いサービスを提供し、成長を続けることで、日本経済の成長に寄与していきたいと考えています。そのカギを握るのは人の力です。私たちにとって人材は、唯一無二の経営資源です。したがって優れた人材の確保と育成にこれまで以上に力を入れていく方針です。また、ネットワーク全体の一体感を高めるための仕組みづくりも進めていきたいと思っています。
――2019年12月中旬、名南経営コンサルティングおよび名南M&Aの本拠地であるJPタワー名古屋の事務所に取材に伺うと、たくさんの花が飾られていました。同月２日の名南M&A株式会社の名証セントレックス上場を祝う花です。その多くは金融機関から贈られたもの。M&A仲介をワンストップで手掛ける名南M＆A、そして、同社を力強く支える名南コンサルティングネットワークに対する信頼と期待を表しているようでした。
