法人税の申告と納付
法人税はいつまでに申告?
あゆみ:私のところは12月決算じゃない?法人税の申告書っていつまでに提出?
ケン:法人税の申告書の提出は「事業年度終了の日(決算日)の翌日から2月以内に税務署長に確定した決算に基づいた申告書を提出しなければならない」と法人税法で定められています。
したがって、あゆみ社長の会社は2月末日までに提出しなければいけません。
あゆみ:「確定した決算」ってどういうこと?
ケン:株主総会での決議を言います。法人税の申告書には「決算確定の日」を記載する欄があり、株主総会開催日を記載します。
あゆみ:私の会社の定款には「株主総会は決算日から3か月以内に開催」となっているけど、それでも2カ月以内に提出しなきゃいけないの?
ケン:その場合、「申告期限の延長の特例の申請書」を提出すれば、あゆみ社長の会社は3月末までに法人税申告書を提出すればいいことになります。
法律上は、会社の事情に合わせて2カ月から4カ月までの間で延長できることになっています。都道府県、市区町村への届出の提出も同じような規定になっています。
法人税はいつまでに納付?
あゆみ:法人税の納税も3月末まででいいの?
ケン:いいえ、納税は2月末までにしなければいけません。
その点は注意しなければいけないところです。申告書の提出期限は延長できますが、納期限の延長はできません。
あゆみ:じゃ、決算が確定してないのに法人税だけ納めなきゃいけないのね。
ケン:そういうことになります。申告期限の延長が提出されている会社は決算日から2カ月の間に見込納付と言って、納付額を見込みで納付します。
あゆみ:じゃ、その見込額が少ない場合にはどうなるの?
ケン:少ない分を納付することになりますが、その少ない納付分には利子税がかかります。
したがって、決算が確定できていない会社の場合には納付額を多めに見込んで納付している会社が多いです。
申告書への自署押印
あゆみ:法人税の申告書って自分で名前を書いて自分で判子を押印するって聞いたことがあるわ
ケン:以前はそうでしたが、今はそうではなくなりました。
あゆみ:あ、そうなの?なんか、自分で名前書いて自分で判子押すってプレッシャーというかなんかすごい責任を感じて。。。
ケン:今年から大法人については電子申告が義務化されます。
それに伴い、書面の申告書も代表者の名前を記載し、経営の責任者が押印していればよい、という規定に改正されました。
あゆみ:じゃ、基本的には判子だけでいいのね?
ケン:はい、大丈夫です。
ただ、申告書は私が電子申告にて提出しますので、あゆみ社長には会社の保存用の申告書に判子を押していただくだけになります。
あゆみ:あー、よかった。
法人税の電子申告
あゆみ:その「大法人について電子申告が義務化」ってどういうこと?
ケン:電子申告とは申告書を書面で提出することではなく、インターネットを利用してデータで申告書を提出することを言います。
これが大法人の法人税の申告については、令和2年4月開始事業年度の申告から義務化されます。
中小法人については、電子申告の義務化はされていませんので、書面で提出することが可能ですが、インターネットを利用した電子申告の方が事務処理的なことも踏まえても楽に提出することができます。
あゆみ:法人税の申告書をデータで提出して、銀行から「これでは税務署の受付印がないからダメです」なんて言われない?
ケン:そこはご安心ください。
データを送信した際に、「受け付けました」という証明書のような「メール詳細」が国税庁から送信されてきます。それを添付することで、税務署の受付印の代用ができます。ほとんどすべての銀行で受け入れられています。
法人税の電子納付
あゆみ:法人税の納付とかはインターネットバンキングとかでできないの?
ケン:できますよ。
現状、インターネットバンキングかダイレクト納付という方法であれば、金融機関等へ出向かなくても納付することが可能です。
インターネットバンキングによる納付については、インターネットバンキングができる状態であればすぐできます。
ダイレクト納付をする場合には、事前に税務署に「国税ダイレクト方式電子納税依頼書兼国税ダイレクト方式電子納税届出書」を提出しなければなりません。また手続きに時間がかかりますので、早めの対処が必要です。
あゆみ:都民税とかはどうなの?
ケン:それも国税と同様にできます。
令和1年10月から地方税共通納税システムが導入されて、全都道府県、全市区町村に対してもインターネットバンキングかダイレクト納付による税金の納付が可能となりました。
インターネットバンキングによる納付については、国税と同様にインターネットバンキングができる状況であればすぐできます。
ダイレクト納付をする場合には、地方税共通納税システムのポータルサイトで手続きをした上で、用紙を印刷しそれを金融機関へ送付することが必要で、こちらも利用できるまでに時間がかかりますので、早めの対処が必要です。
あゆみ:ということは、税金の申告と納付はパソコンですべてできるってことね。仕事も効率的にできるわね。
ケン:はい。こういう便利なものは利用した方がいいですね。