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マイホーム資金贈与に係る非課税枠の拡充

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リエ「黒田さん、こんにちは。マイホームを取得するために金銭を贈与してもらった場合に一定の金額が非課税になるといった話を聞いたのですが、詳しく教えてもらえますか?」

黒田「はい。“住宅取得等資金贈与の非課税の特例”のことですね。当該制度は、以前からありましたが、消費税の増税に伴って拡充がなされており、贈与税が最大で3000万円まで非課税となります。」

リエ「どのような人が対象になるのでしょうか?」

黒田「当該制度の対象となるのは、マイホームの取得等のために父母や祖父母から資金の贈与をうけ、翌年3月15日までに居住をした人です(注.1)。」

リエ「最大で3000万円でしたら、かなりの金額ですよね。」

黒田「はい。3000万円の非課税を受けることができるのは、消費税率10%が適用される『良質な住宅用家屋(注2)』に係る住宅取得等資金贈与で、平成31年4月から令和2年3月までの間に契約を締結した当該住宅等の取得等に限ります。それ以降の契約締結になりますと令和2年4月から令和3年3月までは1500万円まで、令和3年4月から令和3年12月までは1200万円までが非課税限度となります(注3)」

リエ「受贈者ごとに制度の適用があるのでしょうか?」

黒田「そうなんです。そのため、例えば、20歳以上の孫が3人いるケースで、それぞれ要件を満たすことにより、贈与者の財産を9000万円まで非課税で、贈与することができます。これは、大きな相続対策となります。」

リエ「ありがとうございます。とても大きな制度ですね。勉強になりました。」

注1.住宅取得等資金贈与の非課税特例の主な要件
1)贈与者  親・祖父母などの直系尊属であること
2)受贈者  贈与年1月1日現在で20歳以上である子・孫などの贈与者の直系卑属であること 
3)所得制限 贈与年の受贈者の合計所得金額が2000万円以下であること
4)適用対象 居住用の住宅の新築、中古住宅(敷地含む)の取得、増改築等であり、贈与年の翌年3月15日までに当該贈与された金額の全額を新築等に充てること
5)床面積  床面積が50平方メートル以上240平方メートル以下、かつその家屋の床面積の2分の1以上が受贈者の居住用であること
6)居住等要件 贈与年の翌年3月15日までに、その家屋に居住するか、同日以後遅滞なくその家屋に居住することが確実であることが見込まれること
7)申告要件 贈与年の翌年3月15日までに、一定の書類を添付して税務署に贈与税の申告をすること

注2.良質な住宅用家屋とは、一定の条件を満たす省エネルギー性・耐震性を備える家屋
のことをいいます。

注3.「良質な住宅用家屋」以外で消費税10%が適用される一般住宅に係る住宅取得等資金贈与は、その住宅用家屋の取得等に係る契約締結日に応じて非課税枠は以下の通りとなります。
 1)平成31年4月~令和2年3月までは2500万円まで
 2)令和2年4月~令和3年3月までは1000万円まで
 3)令和3年4月~令和3年12月までは700万円まで

監修

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税理士 坂部達夫

坂部達夫税理士事務所/(株)アサヒ・ビジネスセンター

 東京都墨田区にて平成元年に開業して以来、税務コンサルを中心に問題解決型の税理士事務所であることを心がけて参りました。
 おかげさまで弊所は30周年を迎えることができました。今後もお客様とのご縁を大切にし、人に寄り添う税務に取り組んでいきます。

メールマガジンやセミナー開催を通じて、様々な情報を発信しています。

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リエ「黒田さん、こんにちは。マイホームを取得するために金銭を贈与してもらった場合に一定の金額が非課税になるといった話を聞いたのですが、詳しく教えてもらえますか?」黒田「はい。“住宅取得等資金贈与の非課税の特例”のことですね。当該制度は、以前からありましたが、消費税の増税に伴って拡充がなされており、贈与税が最大で3000万円まで非課税となります。」リエ「どのような人が対象になるのでしょうか?」黒田「当該制度の対象となるのは、マイホームの取得等のために父母や祖父母から資金の贈与をうけ、翌年3月15日までに居住をした人です(注.1)。」リエ「最大で3000万円でしたら、かなりの金額ですよね。」黒田「はい。3000万円の非課税を受けることができるのは、消費税率10%が適用される『良質な住宅用家屋(注2)』に係る住宅取得等資金贈与で、平成31年4月から令和2年3月までの間に契約を締結した当該住宅等の取得等に限ります。それ以降の契約締結になりますと令和2年4月から令和3年3月までは1500万円まで、令和3年4月から令和3年12月までは1200万円までが非課税限度となります(注3)」リエ「受贈者ごとに制度の適用があるのでしょうか?」黒田「そうなんです。そのため、例えば、20歳以上の孫が3人いるケースで、それぞれ要件を満たすことにより、贈与者の財産を9000万円まで非課税で、贈与することができます。これは、大きな相続対策となります。」リエ「ありがとうございます。とても大きな制度ですね。勉強になりました。」注1.住宅取得等資金贈与の非課税特例の主な要件1)贈与者  親・祖父母などの直系尊属であること2)受贈者  贈与年1月1日現在で20歳以上である子・孫などの贈与者の直系卑属であること 3)所得制限 贈与年の受贈者の合計所得金額が2000万円以下であること4)適用対象 居住用の住宅の新築、中古住宅(敷地含む)の取得、増改築等であり、贈与年の翌年3月15日までに当該贈与された金額の全額を新築等に充てること5)床面積  床面積が50平方メートル以上240平方メートル以下、かつその家屋の床面積の2分の1以上が受贈者の居住用であること6)居住等要件 贈与年の翌年3月15日までに、その家屋に居住するか、同日以後遅滞なくその家屋に居住することが確実であることが見込まれること7)申告要件 贈与年の翌年3月15日までに、一定の書類を添付して税務署に贈与税の申告をすること注2.良質な住宅用家屋とは、一定の条件を満たす省エネルギー性・耐震性を備える家屋のことをいいます。注3.「良質な住宅用家屋」以外で消費税10%が適用される一般住宅に係る住宅取得等資金贈与は、その住宅用家屋の取得等に係る契約締結日に応じて非課税枠は以下の通りとなります。 1)平成31年4月~令和2年3月までは2500万円まで 2)令和2年4月~令和3年3月までは1000万円まで 3)令和3年4月~令和3年12月までは700万円まで
2020.02.03 16:41:25