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老舗会計事務所を成長軌道に乗せた3代目若手税理士の経営戦略

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矢﨑誠一氏(写真)は、71年の歴史を誇る税理士法人矢崎会計事務所(東京都練馬区)の3代目所長として、事務所の成長を牽引する存在である。同氏が大手監査法人での職を辞し、事務所を承継したのは、父親である2代目所長が病に伏したためだった。承継当時、事務所は売上と顧客が減少しており、職員は低賃金にあえいでいた。そして最初に直面したのは、顧問先から寄せられるクレームの連続だった。しかし、矢﨑氏は顧問先に提供するサービスを見直して顧客満足度を高め、事務所の体制を整えて人材育成に取り組んだ。これにより矢崎会計事務所は最悪期を脱し、V字回復に成功した。現在は飲食業特化と相続対策を軸に、18名規模の事務所へと成長している。矢﨑氏はその経営手腕が評価され、会計事務所向けセミナーや相続セミナーなどに引っ張りだこの人気セミナー講師となった。今回の取材では、V字回復を成し遂げた経緯と事務所の経営戦略について、矢﨑氏にお話を伺った。
(写真撮影:市川法子)

71年の歴史を誇る 会計事務所の3代目

―― 税理士法人矢崎会計事務所は、矢﨑先生で3代目となる老舗会計事務所です。現在は順調に成長拡大されていますが、ここに至る道のりは険しいものだったと伺っています。本日は、事務所経営への取り組みについて、代表の矢﨑先生にお伺いしたいと思います。まずは、事務所の概要からご紹介いただけますか。
矢﨑 税理士法人矢崎会計事務所は、従業員が18名、顧問先が法人約200件、個人事業主約300件という規模です。祖父の代から長年、地域密着で行ってきました。練馬区の地主の皆様などとは、大変長くお付き合いをさせていただいています。私の代から徐々にマーケットを広げ、現在は都内全域に顧問先を持っています。
 顧問先のなかでは飲食業のお客様が多く、また、事務所の歴史が長いこともあって、相続案件の経験が豊富です。そのため、現在は飲食店特化と相続対策を事務所の2本柱としています。
 私自身はまだ37歳の若輩ですが、祖父や父の代からお付き合いをしているお客様の相続案件に、数多く携わらせていただきました。これは当事務所の大きな財産です。
―― 貴社開業の経緯をお聞かせいただけますか。

矢﨑 矢崎会計は開業して71年になります。戦後、私の祖父が九州から上京して運送業を始めたのですが、その後、資格を取って練馬区で開業しました。以来、ずっと同じ場所で会計事務所を営んでいます。
 私は、学生時代にイベント企画などに没頭し、将来は広告代理店で働きたいと思っていたのですが、母の急逝により人生の転機が訪れました。
 「親孝行したいときには親はなし」といいますが、そのとき初めて親のありがたさに気づきました。そして、父からそれとなく後継ぎへの思いを聞かされ、継げば父も母も喜んでくれるだろうという思いもあって、会計士の道に進むことを決断しました。
 また、私は高校時代に陸上競技に打ち込んでいたのですが、思ったような結果を残すことができず、それがずっと心に残っていました。努力は報われないという気持ちがあったと思います。しかし、難関資格である会計士になることができれば、そのようなわだかまりを払(ふっ)拭(しょく)できるのではないかとも考えました。

―― 試験勉強時代はいかがでしたか。

矢﨑 勉強を始めていきなり壁に突き当たりました。同じ専門学校に通う周りの生徒と同じように勉強しても、まったく成績は上がりませんでした。自分の力のなさに愕(がく)然(ぜん)としました。
 しかし、始めた以上は引き返すわけにもいきませんので、やり方を研究することにしました。その際、その道で既に成功を収めている方のやり方をまねして自分も成功を収めるという「マウンテンガイド理論」を活用しました。具体的には、合格体験記をむさぼるように読み、講師にアドバイスを求め、勉強方法を徹底的に研究したのです。
 また、勉強時間だけでも世界一を目指そうと考え、朝5時に起きてから夜10時まで、ほとんど勉強していました。1日10時間から16時間です。睡眠不足で能率が下がることは承知していましたが、まずは机に向かう習慣をつけることが必要だと思ったのです。世界一勉強をしていると思うことでモチベーションを保っていました。
 さらに、自らを追い詰めもしました。教材を詰めたキャリーバッグで専門学校へ通い、毎朝、学校のシャッターが開くと同時に自習室に入り、一番前に座って机に教科書を積み上げたり、二宮金次郎さながらに歩きながら勉強したりと、とにかく勉強のモチベーションを高めることをとことんやり尽くしました。
 「危ない人」だと思われたかもしれませんが(笑)、気になりませんでした。そこまで目立つことをしておいて、途中でやめたら「三日坊主」と陰で囁(ささや)かれてしまいます。そうならないようにするためには、勉強し続けるしかありません。そのような状況に、わが身を置きたかったのです。

事務所の危機に直面

―― 矢﨑先生は、公認会計士の資格を取得後、大手の監査法人で勤務されたと伺っています。実家の事務所を継ぐという思いはお持ちだったと思いますが、実際に継いだのはどのようなタイミングだったのですか。

矢﨑 2代目所長である父が、病に倒れたことがきっかけです。幸い軽症で仕事は続けられたのですが、やはり、かなり無理がありました。
 ちょうどそのタイミングで、引き受けた相続案件がかなり高額な案件だったので、他の税理士先生にチェックを依頼していました。相続税を一切知らない私がその仕事を引き継いだのですが、広大地の適用論点も含め、税金としては2億円、項目としては50もの指摘事項をいただきました。
 ですから、矢崎会計での私の初仕事は、相続案件について、50ものダメ出しをひたすら食らうというものでした。

―― それは大変でしたね。

矢﨑 この経験で、相続税の大変さ、怖さを実感しました。以来、相続税の申告には全て私が携わることにして、とことん相続税の勉強をしてきました。

―― 先生が入所された当時、事務所はどのような状況だったのでしょうか。

矢﨑 P/Lを見て驚いたのですが、20年間売上は減り続け、スタッフの給料もあり得ないほど低いものでした。しかし、どうすればよいのか分からず、最初は絶望感しかありませんでした。
 そのうえ、解約やクレームの電話がひっきりなしでしたから、当時の私の主な仕事は、そのようなクレームへの対応でした。業績回復のイメージなど、まったく湧きませんでした。

―― そこからどのように事務所を立て直されたのですか。

矢﨑 私はそれまで会計士として監査法人で働いていましたから、税理士業界のことはまったく分かりませんでした。会計士と税理士の業務はまったく違いますので、本当にゼロからのスタートだったと思います。
 そこでまず、業界を知ることから始めました。ここでも、受験勉強で活用した「マウンテンガイド理論」に従い、大手の会計事務所をいくつも見学させていただき、まずはそのまねから入りました。そして徐々に、自分のやり方を確立していったのです。無知であるがゆえの吸収力が幸いし、思いのほか短期間のうちに最悪期を脱したと感じています。

自ら考えるスタッフを育てる

―― 事務所の危機を脱するためには、組織体制の変革が必要だったと伺っています。矢﨑先生はどのように取り組まれたのですか。

矢﨑 組織改革にあたっては、ドラッカーを参考にしました。組織とは、従業員個々のニーズを満たすために存在するものであり、従業員個々の成長の手段であるというところに感銘を受けました。
 そこで、その個々の想いを実現する手段になる組織を目指そうと思い、従業員の個々の想いを面談でヒアリングするところから組織改革をスタートしました。その面談の中で、全員がお客様にもっと喜んでもらいたいということを話していたので、従業員が直接お客様から感謝されるような組織をつくろうと考えました。
 そのためには、言われたことだけをやるような従業員では実現できないので、従業員が自ら考えて、お客様に寄り添った提案をしていくトレーニングをしました。

―― 具体的にどのような教育を行っているのでしょうか。

矢﨑 当事務所では、各職員の目標管理システムを導入しています。「自分の頭で考える」には、目標設定が必要だからです。自分で設定した目標を達成すれば、充実感も得られます。
 最初は、目標を管理するという行為自体を習慣化させることが目的で、徐々に目標のハードルを上げていきました。これにより、「自分の頭で考える」習慣がついていったと思います。
 特に、お客様の単価はいくらかといった売上分析を始めて、それと各職員の目標がリンクするような目標設定ができるようになってからの成長には著しいものがありました。そこから利益率が上がってきたように思います。
 やはり、KPI(重要業績評価指標)の設定は大切です。私自身の実体験から、目標を明確に設定し、スタッフと共有することはものすごく大事なことだと、お客様にお勧めしています。

―― 矢﨑先生自身も目標管理に取り組まれているそうですね。

矢﨑 はい。これは「チーム竜巻」という活動を通じて管理しています。「チーム竜巻」は、毎月朝7時に若手経営者で集まって、経営者の行動目標シートの1カ月間の進(しん)捗(ちょく)を報告し合う会です。
 零細企業の経営者は、プレイングプレジデントとして竜巻のような業務に忙殺され、本来やらなければいけない経営がおろそかになってしまいがちです。私も例外ではなく、日々の竜巻にのみ込まれ、経営者としてやるべきことが後回しになっていると感じていました。また、スタッフの行動目標は管理できていますが、私自身の行動目標を監視し、管理する場はありませんでした。
 そこで、同じように共感してくれる若手経営者と、それぞれの会社の経営目標を達成するために、進捗を報告してもらう会をつくったのです。おかげさまで目標達成を管理できるようになり、大変有意義です。

―― 事務所のスタッフの話に戻りますが、スタッフの成長の成果はどのような形で出ていますか。

矢﨑 当初は、新規のお客様は基本的に私が取ってきていましたので、それを他のスタッフに引き継ぐことができず、苦戦していました。しかし、商談などのロールプレイング研修を積極的に行った結果、今では、ホームページからのお問い合わせをそのまま、スタッフに任せられるようになってきました。事務所拡大の体制が整ってきたと感じています。
 また、個人目標を達成するためには、事務所全体の課題にも取り組まなければなりません。そこで、事務所全体の優先順位の高い課題を解決するために、業務改善チーム、税務品質チーム、マーケティングチーム、個人目標管理チームという4つのプロジェクトチームをつくっています。スタッフにはそのなかのどれかひとつに所属してもらって、各チームで月1回ミーティングを行い、課題の解決にあたってもらっています。日常業務以外にこれをやるわけですが、皆嫌がらず、積極的に取り組んでくれています。

MAS監査やコンサルティングはやらない

―― 矢﨑先生が目指す事務所の理想像、経営理念についてお伺いします。

矢﨑 私が最も大事にしているのは、スタッフの皆さんの幸せです。そしてお客様に対しては、目の前の課題に対する最適解を見つけ、ご支援することを使命としています。
 ただし、そのような支援を、自分たちだけで全部やらないことを目指しています。会計事務所が無理をして何でもやるのではなく、適切な専門家と連携する。それこそがお客様の幸せの最大化につながります。ですから、当事務所ではMAS業務やコンサルティング業務は一切やっていません。
 こうした思いは、「笑顔を結ぶ幸せの懸け橋」という経営理念として掲げ、経営計画書を通じて、社内でも共有しています。また、どうしてこのような経営理念を掲げることになったのかという、私が入社してからのこれまでの経緯、スタッフやお客様に対する私の思いをパラパラ漫画に込めて、動画としてホームページに掲載しています。

―― MAS監査やコンサルティングは、会計事務所の付加価値業務として注目されています。貴社が取り組まない理由について、もう少し詳しくお聞かせください。

矢﨑 矢崎会計がMAS監査や経営コンサルティングといった業務を行わないことに決めたのは、もちろん熟慮のうえです。
 最大の理由は、当事務所のスタッフのことを考えたためです。彼らは、コンサルティングがやりたくて入所したわけではありません。やりたくないことを無理強いしたら、いたずらにつらい思いをさせてしまいます。
 また、コンサルティングに取り組むからにはある程度の案件を確保する必要がありますが、お客様のなかにはコンサルティングのニーズがないところもたくさんあります。そこへ無理やり売り込むことがよいことなのか、私は疑問を感じていました。
 ただし、お客様のためになりたい、役に立ちたいという思いは、私のなかに強烈にあります。
 コンサルティングをやらずにお客様の役に立つにはどうすればよいのか。それを実現する方法は、お客様が必要としているときに、必要な情報を提供することです。
 世の中に情報はあふれており、なおかつネット上で簡単に手に入ります。しかし、自分に必要な情報がどれなのか見極めることは、情報があふれすぎて難しくなっています。
 これは「パラパラ漫画」にも少し入っていますが、例えば不渡りの危機に直面したときにどうすればよいのか、銀行交渉が難航したときにどうすればよいのか、ネットを調べればいろいろな方法が載っています。しかし、情報が氾濫しているため、自分にとって最適な選択肢がどれなのかは、容易には分かりません。
 お客様がそのような状況に陥っていたら、会計事務所はありすぎる情報のなかから本当にお客様に必要な情報を取捨選択し、提供しなければなりません。
 当事務所の顧問料は決して安くはありません。それでも契約を継続していただいていることに感謝と誇りを持って、私はお客様への情報提供に努めています。
 矢崎会計の一番の武器はこの情報といってよいと思います。ですから私は、常にいろいろなところにアンテナを張っていなければなりません。私が収穫してくる情報が、矢崎会計の力の源になるからです。

―― 矢﨑先生は先ほど、会計事務所が何でもやるのではなく、適切な専門家と連携するべきだと仰っていましたが、専門家の紹介も、情報提供のひとつですか。

矢﨑 仰るとおりです。当事務所には、士業はもちろん、保険、不動産管理、補助金、助成金、販促物作成、クラウドサービスなど、幅広い分野で100を超える提携先があります。これらの提携先と協力し、お客様にはあらゆる分野の相談に対し、ベストアドバイスを提供しています。
 税務分野でも、より高度な専門知識が必要な場合は、お客様のためにプライドを捨てて、他の会計事務所さんをご紹介することもあります。

―― 情報提供といえば、矢﨑先生はセミナー講師として、多方面でご活躍ですね。

矢﨑 おかげさまで、先日もある税理士法人さんから、「会計事務所の組織改革」について講師の依頼を受けました。最近ではこうした会計事務所向けのセミナーだけでなく、飲食店向けのセミナーや相続セミナーなど、頼まれるテーマに広がりが出てきました。
 現在は外部から頼まれて講師を務める場合がほとんどですが、今後は地域の経営者の皆様のためにも、積極的に発信していきたいと思っています。

―― そのほかに取り組まれていることはありますか。

矢﨑 会計事務所として70年以上やってこられたのは、ここ練馬のおかげだと思っています。また、練馬を大切に経営してほしいという父の願いがありました。ですから、地域貢献にも力を入れています。
 とりわけ一番力を入れていきたいのが、練馬野菜の普及活動です。練馬は東京23区で最大の農地面積を有しているのですが、練馬野菜のことを練馬住民でもあまり知らないし、飲食店でも利用がまだまだ少ないのです。
 そこで、練馬野菜フォトコンテストに事務所としてエントリーし、優勝してフェイスブックでPRしたり、練馬野菜を使った練馬の飲食店を増やすために、物流の問題を解決する取り組みをしたりしています。
 また、当事務所では地域のグルメマップも作っています。お客様のことをスタッフに知ってもらいたいという思いから、顧問先様のお店で飲食したスタッフに補助金を出すなど、利益還元の制度も実施しています。これは、スタッフにもお客様にも大変喜ばれています。

時代の変化に積極的に適応

―― 話題は変わりますが、会計業界にもAIが台頭してきました。仕事の環境は大きく変わり始めていますが、矢﨑先生は業界の未来をどう占っていますか。

矢﨑 矢崎会計では現在、約20のクラウドサービスを利用しています。業界のなかでも比較的クラウド化が進んでいる事務所ではないかと思います。AIもRPAも怖くありません。むしろ、できるだけ早く共存できる体制を整えていきたいと考えています。

―― AIに人間の仕事を奪われるという可能性はありませんか。

矢﨑 AIはあくまでも機械ですから、合理的な判断や提案をするものです。しかし、人間の本質は非合理的なものだと思います。「分かっちゃいるけど、やめられない」ということが、誰にでもありますよね(笑)。
 私たちがサービスを提供する相手、つまり経営者は生身の人間であり、非合理的な存在であることは未来も変わらないと思います。
 AIは、人間の非合理的な部分を理解できないと聞いています。ですから、経営者相手のサービスは、AIだけでは成立しないのです。
 中小企業の経営者は、返報性の原理など、意思決定に必ず情が絡みます。そういった非合理的な生身の人間の気持ちに私たちがきちんと寄り添っていくことが重要になるでしょう。
 今後、AIはさらに進化し、担う業務が増えていくでしょう。しかしそれでも、私を含め、スタッフ全員が人間力に磨きをかけ、寄り添うサービスを展開していけば、お客様が離れていくことはないと確信しています。
 ただ、やはり大事なのは、ダーウィンの進化論ではありませんが、変化に対応する力を持つことで、それがある事務所が生き残っていくのだと思います。変化に対応する力は、選択肢を多く持つことにより実現できます。したがって、選択肢を多く持つために、常日頃からの情報収集が重要になるのです。
 実はしばらく前に、昭和57年生まれの弁護士、会計士、税理士、司法書士、弁理士、行政書士、社労士、建築士などの士業の先生方と「昭和57年の士業会」通称「ゴーナナ会」を結成し、月1回集まっています。現在では、25名ほどのコミュニティーになりました。個々で仕事を紹介したり、士業としての生き方を相談したりできる関係を築いています。
 この会は、「GO7」つまり、幸運(ラッキーセブン)な道をわれわれ57が切り開いて行く(GO)という気持ちで、将来の士業界を背負っていく存在になれればと思っています。まだまだ30代半ばで経験値不足も多いですが、同い年に生まれた士業同士で切磋琢磨して力を合わせていけば、AI時代を乗り越えていけると信じています。

―― 今後の抱負をお聞かせいただけますか。

矢﨑 練馬地域ナンバーワン奪還が眼前の目標です。そしてスタッフの皆さんが、自分の家族に事務所や仕事を誇れるような矢崎会計でありたいと思っています。そのために、やりがいを持ったり、成長したりすることができる環境づくりに力を入れていくつもりです。

―― 最後に、読者の皆様にメッセージをお願いします。

矢﨑 私はこの時代に税理士になったことは、幸運なことだったと思っています。なぜなら、今は会計事務所が変化を求められる時代だからです。
 以前のように記帳代行と申告業務を淡々とこなしているだけでは、事務所の売上を維持できなくなってきました。
 私自身、どうやってお客様の気持ちをつかんだらよいのか、会計事務所の新しいビジネスモデルとはどのようなものか、人材教育をどうしていけばよいのか、思考に思考を重ねています。 
 人間は、思考することで成長します。そして成長を実感したときに味わう自己充実感が、人間にとって最大の喜びだと思います。
 今の税理士には思考を求められる場面がふんだんにあります。税理士は、いまだかつてないほどやりがいのある、楽しい職業へと変化しました。
 困難と喜びが同時にあるこの時代を、皆さんと力を合わせて乗り越えていきたいと思います。

―― 本日は、大変貴重なお話をありがとうございました。税理士法人矢崎会計事務所のさらなるご発展を祈念いたします。

執筆者情報

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株式会社実務経営サービス

株式会社実務経営サービスは、会計事務所の成長や発展をご支援している会社です。税理士の先生方を対象とする勉強会「実務経営研究会」の運営、各種セミナー・カンファレンスの企画、会計事務所経営専門誌「月刊実務経営ニュース」の発行を事業の柱としています。おかげさまで2018年に、創業20周年を迎えることができました。

「月刊実務経営ニュース」は、成長の著しい会計事務所、優れた顧問先支援を実践している税理士を取材・紹介し、会計業界の発展に貢献することを目指しています。おもな読者は全国の会計事務所の所長や職員の皆様で、全国に約3万件あるといわれている会計事務所の約1割にご購読いただいています。最新号を無償で読むことができる「Web版実務経営ニュース」もありますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。

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矢﨑誠一氏(写真)は、71年の歴史を誇る税理士法人矢崎会計事務所(東京都練馬区)の3代目所長として、事務所の成長を牽引する存在である。同氏が大手監査法人での職を辞し、事務所を承継したのは、父親である2代目所長が病に伏したためだった。承継当時、事務所は売上と顧客が減少しており、職員は低賃金にあえいでいた。そして最初に直面したのは、顧問先から寄せられるクレームの連続だった。しかし、矢﨑氏は顧問先に提供するサービスを見直して顧客満足度を高め、事務所の体制を整えて人材育成に取り組んだ。これにより矢崎会計事務所は最悪期を脱し、V字回復に成功した。現在は飲食業特化と相続対策を軸に、18名規模の事務所へと成長している。矢﨑氏はその経営手腕が評価され、会計事務所向けセミナーや相続セミナーなどに引っ張りだこの人気セミナー講師となった。今回の取材では、V字回復を成し遂げた経緯と事務所の経営戦略について、矢﨑氏にお話を伺った。(写真撮影:市川法子)
2020.01.28 19:24:52