会社が負担する資格取得費用の取扱い
リエ「黒田さん、こんにちは。少しお時間いいでしょうか?」
黒田「はい。もちろんです。どうしたのでしょうか?」
リエ「実は今は、社内で、デザインに関する資格取得のためのカリキュラム受講を検討しているんです。金額は、1人15万円ほどで、受講費用は会社の全額負担と考えています。対象者は役職者で、社長も含まれます。今後の業務拡大にあたって必要な資格ですが、給与課税の対象にはならないでしょうか?」
黒田「はい。会社の業務遂行上の必要に基づきその者の職務に直接必要なものでその費用が適正なものでしたら、給与課税はされません。」
リエ「そうなのですか。当該資格は、個人に属する資格ですし、社長に関しては、給与課税の対象になるかもしれないと考えていました。」
黒田「仰る通り、会社が負担する受講費用は原則として給与等に該当します。ただ、使用人等に対し技術の習得等をさせるために支給する金品についての取扱いが所得税法基本通達36-29の2にあり、これによれば、”使用者が自己の業務遂行上の必要に基づき、役員又は使用人に当該役員又は使用人としての職務に直接必要な技術若しくは知識を習得させ、又は免許若しくは資格を取得させるための研修会、講習会等の出席費用又は大学等における聴講費用に充てるものとして支給する金品については、これらの費用として適正なものに限り、課税しなくて差し支えない。”と規定されています。」
リエ「今回の受講費用は、業務遂行上必要な資格取得のための受講費用ですし、受講費用も適正な金額ですので、問題ないということですね。」
黒田「はい。そもそもこのような資格取得の目的は、使用者が使用人等にその職務遂行に必要な知識等を習得させ、職務内容の質的向上を図るためのものです。それによりその使用人等が知識等を取得したとしても、それは、使用人等が使用者のためにその職務を遂行する過程において習得する知識や社内研修等により習得する知識と本質的に異ならないと考えられますので、金額が適正であれば、特段給与課税としなくても問題ないとされているものです。」
リエ「黒田さん、ありがとうございました。あとは、頑張って資格取得をしてもらうだけですね。」