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還元ポイントを貰ったら確定申告が必要?

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リエ「最近、キャッシュレス支払いを行うとポイントがもらえるお得なサービスが増えましたよね。買い物額の20%もポイントが還元されるところもあるので私もキャッシュレス決済を始めることにしました。」

黒田「昔は、そのお店で商品の交換等に使用できるポイントカードが主なものでしたが、今は様々なお店で共通して使えるポイントや現金化できるポイント等、本当に消費者がポイントを貰えるのが当たり前の時代になりましたね。期間限定ではありますが、消費税の増税にともなってキャッシュレス決済を行った場合にポイント還元されるサービスも始まりましたからね。」

リエ「やはり同じ値段の商品ならば、ポイントが貰えるお店を選んでしまいますね。もしかして、ポイントを貰ったら所得とされるのでしょうか。」

黒田「そうですね。国税庁のHPに『企業が提供するポイントプログラムの加入者に係る所得税の課税関係について』という税務大学校の論文が掲載されています。そこには、『ポイントによって得られる特典は、資産の無償または低額譲渡、用益の無償または低額提供、債務負担等にあたり、課税されるべき経済的利益となると考えられる。』また『値引きに関しては、課税されるべき経済的利益とはされない。』と記載されています。」

リエ「お店ごとのサービスで行われている次回以降の買い物時に付与されているポイント分の値引きをしてもらえるサービスは、所得ではないと考えていいですよね。」

黒田「はい。ここでは、スタンプサービスと表現されています。問題は、様々なお店で共通して使用できるポイント等になりますね。これは、ポイント付与時に別の何らかの給付を対価の支払いを行うことなく請求できる権利の贈与を受けたと考えられるため、課税されるべき経済的利益にあたります。」

リエ「所得税の確定申告は必要になるのでしょうか。」

黒田「必要となります。ですが、ほとんどの場合が一時所得になると考えられるため、一時所得の特別控除である年間50万円までは課税の対象とはなりません。また、業務に関連して取得したポイントは事業所得、アンケート回答等の役務提供の対価として取得したポイントは雑所得になります。」

リエ「ポイント付与率1%で年間控除額の50万円を割戻すと5000万円!? いくらカードでも一年間にそんなに買い物できませんので、私には確定申告の必要はなさそうです。」

黒田「その他の一時所得がある場合には、合算して計算することになりますので注意してくださいね。ちなみに、所得とみなされるタイミングは、ポイントが付与された時ではなく、ポイントを使用した時となります。ほとんどの方が確定申告の必要はないと考えられますが、ポイントを現金化できる場合等もありますし、確定申告が必要なのだという認識をお持ちいただければよろしいかと思います。」

リエ「どのような場合に確定申告が必要になるのか明確になりましたら、また教えてください。」

監修

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税理士 坂部達夫

坂部達夫税理士事務所/(株)アサヒ・ビジネスセンター

 東京都墨田区にて平成元年に開業して以来、税務コンサルを中心に問題解決型の税理士事務所であることを心がけて参りました。
 おかげさまで弊所は30周年を迎えることができました。今後もお客様とのご縁を大切にし、人に寄り添う税務に取り組んでいきます。

メールマガジンやセミナー開催を通じて、様々な情報を発信しています。

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リエ「最近、キャッシュレス支払いを行うとポイントがもらえるお得なサービスが増えましたよね。買い物額の20%もポイントが還元されるところもあるので私もキャッシュレス決済を始めることにしました。」黒田「昔は、そのお店で商品の交換等に使用できるポイントカードが主なものでしたが、今は様々なお店で共通して使えるポイントや現金化できるポイント等、本当に消費者がポイントを貰えるのが当たり前の時代になりましたね。期間限定ではありますが、消費税の増税にともなってキャッシュレス決済を行った場合にポイント還元されるサービスも始まりましたからね。」リエ「やはり同じ値段の商品ならば、ポイントが貰えるお店を選んでしまいますね。もしかして、ポイントを貰ったら所得とされるのでしょうか。」黒田「そうですね。国税庁のHPに『企業が提供するポイントプログラムの加入者に係る所得税の課税関係について』という税務大学校の論文が掲載されています。そこには、『ポイントによって得られる特典は、資産の無償または低額譲渡、用益の無償または低額提供、債務負担等にあたり、課税されるべき経済的利益となると考えられる。』また『値引きに関しては、課税されるべき経済的利益とはされない。』と記載されています。」リエ「お店ごとのサービスで行われている次回以降の買い物時に付与されているポイント分の値引きをしてもらえるサービスは、所得ではないと考えていいですよね。」黒田「はい。ここでは、スタンプサービスと表現されています。問題は、様々なお店で共通して使用できるポイント等になりますね。これは、ポイント付与時に別の何らかの給付を対価の支払いを行うことなく請求できる権利の贈与を受けたと考えられるため、課税されるべき経済的利益にあたります。」リエ「所得税の確定申告は必要になるのでしょうか。」黒田「必要となります。ですが、ほとんどの場合が一時所得になると考えられるため、一時所得の特別控除である年間50万円までは課税の対象とはなりません。また、業務に関連して取得したポイントは事業所得、アンケート回答等の役務提供の対価として取得したポイントは雑所得になります。」リエ「ポイント付与率1%で年間控除額の50万円を割戻すと5000万円!? いくらカードでも一年間にそんなに買い物できませんので、私には確定申告の必要はなさそうです。」黒田「その他の一時所得がある場合には、合算して計算することになりますので注意してくださいね。ちなみに、所得とみなされるタイミングは、ポイントが付与された時ではなく、ポイントを使用した時となります。ほとんどの方が確定申告の必要はないと考えられますが、ポイントを現金化できる場合等もありますし、確定申告が必要なのだという認識をお持ちいただければよろしいかと思います。」リエ「どのような場合に確定申告が必要になるのか明確になりましたら、また教えてください。」
2019.10.28 16:24:28