年末調整ってどうすればいいの?
年末調整とは?
あゆみ:税務署からこんな分厚い大きな封筒が届いたんだけど。
ケン:年末調整の封筒ですね。「年末調整のしかた」という分厚い冊子と「源泉所得税の納付書」、「源泉徴収簿」、「扶養控除申告書」、「配偶者控除申告書」、「保険料控除申告書」が同封されていると思います。
あゆみ:年末調整って給与をもらっている人の年間の所得税を計算するんでしょ?
ケン:その通りです。毎月給与からは源泉所得税が差し引かれます。1月から12月まで差し引かれた源泉所得税の金額と1月から12月までの給与の総額から計算した所得税の額を比較し、徴収しすぎていたら本人に還付をし、徴収不足の場合は12月分の給与から徴収して過不足分を調整することを年末調整といいます。
源泉所得税納付書の書き方
あゆみ:税務署に源泉所得税を納めるときはどうするの?
ケン:「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を税務署に提出していれば7月から12月分までの源泉所得税、提出していなければ12月分の源泉所得税の合計額から本人に還付した分を「年末調整による超過税額」欄に記入して差し引き、本人から徴収した分を「年末調整による不足税額」欄に記入して加算した金額を納付します。
このとき、本人に還付をした金額の方が多く納付額が0円以下となった場合には、納付額が0円として税務署に納付書を提出します。
マイナスになった分は翌1月分もしくは翌1月分から6月分までの源泉所得税の合計額から差し引きます。
年末調整で最初にやること
あゆみ:12月分の給与で所得税を還付したり徴収したりするために、何からやればいいの?
ケン:まずは、「扶養控除申告書」、「配偶者控除申告書」と「保険料控除申告書」の「給与の支払者の名称」欄、「給与の支払者の法人番号」と「給与の支払者の所在地」欄に会社の名称、法人番号、住所をそれぞれ記載します。横判があればそれを押印してください。その記載した「扶養控除申告書」と「配偶者控除申告書」、「保険料控除申告書」を従業員に渡してください。
あゆみ:渡してどうするの?
ケン:「扶養控除申告書」には自分の住所、氏名、生年月日と印鑑を押印し、扶養親族の氏名、生年月日を記入してもらってください。
「配偶者控除申告書」も同様です。自分の住所、氏名、を記入し、配偶者の氏名、生年月日と配偶者の見積もりの所得の総額を記入してもらってください。
「保険料控除申告書」は住所、氏名を記入し、保険会社から送付された生命保険料控除証明書、地震保険料控除証明書を添付の上、保険会社、保険の種類、契約期間、支払った保険料の額をそれぞれの該当箇所に記入してもらってください。
あゆみ:書いてもらったらどうするの?
ケン:年末調整を行うときまでに回収します。具体的には12月分の給与の計算をするときです。
扶養控除申告書
あゆみ:扶養控除申告書は、入社のときにみんなに書いてもらってるわ。
ケン:はい、それでOKです。
税務署から送付された封筒に同封されている「扶養控除申告書」だけ「令和2年分」となっていてあとの申告書は「令和元年分」となっていると思います。
つまり、入社時に書いてもらった「扶養控除申告書」は「令和元年分」で、今回従業員に書いてもらう「扶養控除申告書」は「令和2年分」です。
これは、この扶養控除申告書の提出があった従業員は源泉所得税が源泉所得税額表の甲欄の金額となり、扶養控除申告書提出がない人は乙欄の金額となることを意味します。
したがって、こちらの会社にしか勤務していない方は全員「扶養控除申告書」を提出していただくことになります。
配偶者控除申告書
あゆみ:配偶者控除申告書で気を付けることは?
ケン:名前を書く欄の下に、給与をもらっている本人の合計所得金額を記載する欄があります。合計所得金額が1,000万円超の場合は、配偶者のパートでの給料が103万円以下であっても配偶者控除を受けることができませんのでご注意ください。
また、配偶者控除申告書は下から2段目の「合計所得金額の見積りの計算表」から記入していくと配偶者控除、配偶者特別控除の金額を計算しやすくなります。
保険料控除申告書
あゆみ:保険料控除申告書で気を付けることは?
ケン:「生命保険料控除」の欄は保険会社から送付された証明書で証明されているのが「一般の生命保険料」なのか「個人年金保険料」なのか、その中で「新制度」なのか「旧制度」なのか、もしくは「介護医療保険料」なのかを間違わずに記載することが重要です。
また、その年に国民健康保険料や国民年金を支払っている場合や、小規模企業共済、適格退職年金等もこの申告書を使用して年末調整することになりますので、これらの支払いがある方は申告書に記載して下さい。
保険料控除申告書が従業員から提出されたら、記載内容が証明書と合っているか確認してください。
年末調整の計算
あゆみ:これらの申告書で年末調整の計算をするんでしょ?実際はどういう手順で行うの?
ケン:従業員からこれらの申告書を集めたら、源泉徴収簿に1月から12月までのお給料と賞与をすべて記載し、それぞれの申告書で計算した扶養控除や配偶者控除、生命保険料控除、地震保険料控除、社会保険料控除を右側の該当欄に記載をしてその人の年税額を計算します。その年税額とその年の源泉徴収税額を比べて徴収税額が多い場合は還付をし、徴収税額が少ない場合は12月分のお給料から徴収します。
あゆみ:手書きだと面倒ね。給与計算ソフトでもできるの?
ケン:もちろんできます。
給与計算ソフトの場合は、申告書に記載された事項を年末調整の処理の際に入力します。あとは自動で計算してくれます。
また、源泉徴収票も同時に印刷してくれますので便利です
あゆみ:自分で給与計算を始めたら少しは楽になるわね。