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「RPA」自動化ロボットが会計業務を変えていく!!

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事務所の生産性、効率化に選択肢拡がる データ転記や伝票入力、判断専門要しない業務にも活用

先駆的な活動を展開する 「会計事務所RPA研究会(株)」

 「RPA」と聞いて、何を意味するのか直ぐにピンとくる税理士はどれだけいるだろうか。実は、テクノロジーの進化で最も注目されているのが、この「RPA(Robotic Process Automation)」。つまりソフトウエアのロボットによる業務の自動化。入力やコピーペースト等、毎日・毎月行われる提供業務を簡単にロボット化し、プログラマーや技術者がいなくても自分たちで業務の自動化が実現できる夢のようなツールだ。実は、会計事務所業務の中には、RPA化で自動化できる「作業」がたくさんある。
 すでにこの分野に取り組む税理士の動きも出てきており、人とロボットの協業の時代がすぐそこにやってきている。なかでも熱い視線が注がれる税理士らが立ち上げた会計事務所専門のロボット提供会社の動きを追ってみる。

税理士が設立したRPAロボット会社 電子申告関連業務も自動化

 会計事務所業務のロボット化を推進する会社が、税理士らによって本格稼働している。昨年、サン共同税理士法人(東京・港区)の朝倉歩代表社員と一般社団法人中小企業税務経営研究協会理事の大野晃税理士が、業務システム向けRPAソフト「EzRobot」の構築、導入・運用支援を行う(株)RPAソリューションズと資本提携し、会計事務所専門のRPA提供会社「会計事務所RPA研究会株式会社」(代表者=大城真哉税理士)を設立。以降、会計業界におけるRPA導入の先駆的な活動を精力的に続けている。
 これまでのRPA導入は、大掛かりなシステム導入費や運用面における専門知識がネックとなり、会計事務所には敷居が高すぎた。そのデメリットを解消し、安価で業務に役立つ自動化ツールを開発・提供している。
 同社の最大の特徴は、日本全国の有力会計事務所と提携し、要望を反映した形でRPA化できる業務メニューを順次開発、提供していくことにある。それを料理の「レシピ」に例え、「ロボットレシピ」としてプログラムを提供する。業務システム向けRPAソフト「EzRobot」の構築、導入・運用支援を行う(株)RPAソリューションズ(東京・渋谷区)がこの分野を担い、安価で業務に役立つ自動化ツールが提供される仕組みだ。
 すでに、「電子申告」や「会計処理」、「確定申告書の作成」などに関連した定型業務のRPA化に成功している。税務関連では、毎日の電子申請完了データ、エラーデータの自動配信といった業務レシピも提供。汎用的、処理が複雑なものは、RPAソリューションズが「ロボットレシピ」プログラムを提供している。
 気になる価格だが、利用形態によって異なる。入会金は5万円で、利用できる「ロボットレシピ」の数によって、①ゴールド(月額5万円)②シル税界タイムスバー(同4万円)③ブロンズ(同3万円)の各プランが選べる。例えば、ベーシックな「ブロンズプラン」では、電子申告に関連した提携業務を自動ロボット化できるレシピのみ提供される。「ゴールドプラン」においては、事務所および顧問先両方のロボットレシピが無制限で利用できる。
 現在、同社Webサイトでは、ロボット作業動画を公開しており、各税務会計ソフへの新規顧客の登録や従業員勤怠状況の入力、消費税の自動計算、定款作成などの業務の自動化の流れの一部が紹介されている。また、マスターファイルや設定手順書(取扱い説明書)が提供されるほか、実際にRPAソリューションズにて、ロボット化したい具体的な業務題材を持ち寄ってもらい、一緒にロボット化を実体験することも可能だ。

「ロボット制作」の時間とコスト削減に 全国の税理士と協力体制づくり

 すでに、「会計ソフト間におけるデータコンバートをしたい」といった要望も出ているという。同社では、RPAソフト「EzRobot」導入後間もない事務所を対象に、「ワークショップ形式」での勉強会を開催しており、基本的な操作方法をマスターし、Excelを使った簡単なロボット作成をサポート。オンライン会議システム(Zoom)を利用し、遠隔指導も実施している。代表の大城税理士は、「いずれ人手が絶対に足りなくなる、もしくは人件費の高騰が見えている中で、人に代替する手段としてRPAは大きな可能性を秘めています。多くの会計事務所に参加いただくことで、1つの事務所様では時間もコストも膨大にかかるロボット作成の作業が、スピーディーに進みます」とメリットを語る。現在、裾野を拡げる事業に邁進しており、「おそらく年内には全国で入会事務所は200を超えそうです」(同氏)と意気込む。
 RPAの事業化のベースとなったのは、サン共同税理士法人でのRPA導入の先行実績だ。同事務所では、自社開発のRPAソフトを使って業務自動化を推進。電子申告をはじめ会社設立提出書類や税務署提出書類の作成、顧客情報の入力作業、各種届出書類の作成等にRPAを活用している。
 すでにホームページでロボット作業動画を公開しており、今年中には「申告書作成の自動化」が目標にあるという。単純基本作業はロボットが行い、入力作業なども無駄な業務を徹底的に改善して他の業務に集中できる環境が整えば、クライアントに対する付加価値の高い指導が可能となり、信頼アップにもつなげられるメリットがあるという。
 こうした業務のロボット化ほか、同事務所ではペーパーレスによる電子調書対応や業務管理ツールの利用による徹底した損益管理なども展開。「社内IT化と徹底的な電子化をアピールすることで他事務所との差別化にも繋がり、職員採用面に良い影響を与えている」(朝倉氏)という。
 安価なコストで希望する自動化メニューが選べるこの仕組みは、RPAの導入を考えている事務所の人気をさらに高めそうで、会計業界におけるロボット時代の幕開けはすぐそこまで来ている。

資料提供

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2019.09.27 14:18:46