会計ソフトの入力方法がイマイチ分からないんだけど
日々入力することの目的
あゆみ:会計ソフトに領収書とか通帳を入力してるんだけど、何をどうすればいいのかよくわからないんだけど。
ケン:試算表は見てますか?
あゆみ:試算表って何?
ケン:各勘定の借方と貸方を合計したものです。会計ソフトを使っていればボタン一つで試算表を見ることができます。
あゆみ:その試算表を見ると何が分かるの?
ケン:試算表を見ることにより今期中の「営業成績」や「財政状態」をチェックすることができます。会計ソフトの試算表では「営業成績」は損益計算書で、「財政状態」は貸借対照表という計算書で出力されます。
どちらも勘定科目で構成され、損益計算書は借方(左)が費用の勘定科目、貸方(右)が収益の勘定科目で、貸借対照表は借方(左)が資産の勘定科目、貸方(右)が負債と純資産の勘定科目です。損益計算書と貸借対照表ともに、借方と貸方の差額は当期の利益で、この利益を表示することでどちらも貸借(左と右)の金額の合計が一致します。
この「営業成績」と「財政状態」を試算表や決算書で把握することが日々会計ソフトに仕訳を入力することの目的です。
日々の現金残高と会計ソフト上の現金残高が合っているというところも重要です。
勘定科目
あゆみ:どの勘定科目がどこに配置されるのかが難しいね。私の会社はどの勘定科目を使えばいい?
ケン:決まりごとはありません。あくまでも社長さんが見て営業成績がわかることと、経営分析ができることが前提です。一般的な勘定科目については会計ソフトに設定済みで、その勘定科目で十分かと思います。もちろん追加することも可能です。
貸借対照表での資産、負債、純資産のそれぞれの勘定科目、損益計算書での収益、費用のそれぞれの勘定科目を覚えると入力が早くなります。試算表を見る機会が増えると自然と頭に入ると思いますよ。
仕訳とは?
あゆみ:仕訳もよく分からないわ。
ケン:仕訳とは、取引を借方(左)と貸方(右)に分けることを言います。ここでの取引とは一般的な取引ではなく、売り上げたとか経費を払ったなどの資産や負債などが増減するものを言います。
この借方(左)と貸方(右)は必ず一致します。
会計ソフトの場合、借方に勘定科目と金額を入力し、貸方にも勘定科目と金額を入力しますが、この借方(左)と貸方(右)の金額(の合計)を一致させてください。
借方の勘定科目は「資産の増加」、「負債の減少」、「純資産の減少」、「費用の発生」を表します。貸方の勘定科目は「資産の減少」、「負債の増加」、「純資産の増加」、「収益の発生」を表します。
一例をあげれば、商品10,000円を現金で売り上げた場合、
借方(現金)10,000 貸方(売上)10,000
となります。
この場合は、借方が「資産の増加」、貸方が「収益の発生」です。
あゆみ:お給料の仕訳もよく分からないんだけど。
ケン:お給料は税金や社会保険料、雇用保険料を差し引いた手取り金額で本人に支給します。
一例として、お給料の総額20万円、雇用保険料と社会保険料の合計が4万5千円、所得税3千円、住民税が3千円、本人への手取り額が14万9千円とすると
借方(給料手当)200,000 貸方(現預金) 149,000
(法定福利費)45,000
(預り金) 6,000
となります。
このように、借方(左)と貸方(右)どちらかまたは両方が2つ以上あるものを複合仕訳と言います。この場合も借方(左)と貸方(右)金額の合計をあわせてください。
あゆみ:少しわかってきたわ。左と右を合わせるのね。他にルールはあるの?
ケン:仕訳をするときは3つの要素を忘れないでください。「日付」と「勘定科目」と「金額」です。
会計ソフトに入力する場合は、まず「日付」を入力し、借方に「勘定科目」と「金額」を入力し、貸方に「勘定科目」と金額を入力し、取引の内容を「摘要」欄に入力してください。一部例外はありますが、大部分の仕訳が片方は収益若しくは費用、もう片方は資産若しくは負債という仕訳になると思います。
クラウドサービス
あゆみ:入力する時間をなるべく短くしたいんだけど
ケン:クラウドサービスを利用すれば、銀行の通帳やPOSレジのデータを取り込み自動で仕訳を作成してくれます。また、領収書をスキャンするとその領収書から勘定科目を自動的に選択して仕訳を作成する機能もあります。
このサービスを利用して気を付けることは自動で作成された仕訳が正しいかどうかをチェックすることです。
あゆみ:それでも自動で作成してくれるのはいい機能ね。検討してみるわ。