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満期保険金を受け取ったときの注意点

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旭課長「黒田さん、少しお時間いいですか?」

黒田「旭課長、どうされましたか?」

旭課長「私が契約している生命保険が近々満期を迎えるので保険金を受け取るのですが、税金のことがよくわからないので教えてもらえますか?」

黒田「保険の満期金ですね。まず、保険料の負担者と保険金の受取人が誰であるかにより、受取人に課される税金の種類が異なります。保険料の負担者と保険金の受取人が同一の場合は、所得税の課税対象となります。保険料の負担者と保険金の受取人が異なる場合は、贈与税の課税対象となります。」

旭課長「私の場合、保険料の負担も保険金の受取人も私本人の契約となっています。」

黒田「でしたら今回の満期保険金は、所得税の課税対象となります。さらに満期保険金は受取方法によって所得の区分が異なります。満期保険金を一括で受け取った場合は一時所得、満期保険金を分割で年金のように受け取った場合は雑所得となります。」

旭課長「所得の区分が違うということは、所得金額の計算方法が異なりますね。」

黒田「はい、そうです。一括で受け取った場合は、受け取った満期保険金から今までに支払った保険料を差し引き、さらに一時所得の特別控除額50万円を差し引いた金額が一時所得となります。そして一時所得の場合、所得税の課税対象となるのは、この金額をさらに1/2にした金額です。年金で受け取る場合は、その年中に分割で受け取った保険金からその金額に対応する払込保険料を差し引いた金額が雑所得となります。」

旭課長「一括で受け取ったほうが、一時所得の特別控除額50万円を差し引けるし、さらに課税の対象はその特別控除額を引いた残りの金額の1/2になるから納税額が低くなりそうですね。」

黒田「所得税は、この一時所得または雑所得のほかに、給与所得等を合わせた総所得金額によって税率が決まります。総所得金額が多いほど税率が高くなりますので、この一時所得で総所得金額が増え、税率が変わるケースもあります。したがって、一時金で受け取った場合と年金で受け取った場合のどちらの方法が有利なのかを試算したほうがいいですね。ちなみに、年金の受給期間が選択できる契約である場合、受給期間を5年にする場合と10年にする場合では、負担税額が異なることもありますのでご注意ください。あと、年金で受け取った場合は、受け取った保険金からその金額に対する払込保険料を引いた金額が25万円以上の場合には、その金額に10.21%を乗じた所得税及び復興特別所得税が源泉徴収されます。」

旭課長「はい、わかりました。どちらが有利か試算をして、保険金の受け取り方法を決めたいと思います。有難うございました。」

監修

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税理士 坂部達夫

坂部達夫税理士事務所/(株)アサヒ・ビジネスセンター

 東京都墨田区にて平成元年に開業して以来、税務コンサルを中心に問題解決型の税理士事務所であることを心がけて参りました。
 おかげさまで弊所は30周年を迎えることができました。今後もお客様とのご縁を大切にし、人に寄り添う税務に取り組んでいきます。

メールマガジンやセミナー開催を通じて、様々な情報を発信しています。

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旭課長「黒田さん、少しお時間いいですか?」黒田「旭課長、どうされましたか?」旭課長「私が契約している生命保険が近々満期を迎えるので保険金を受け取るのですが、税金のことがよくわからないので教えてもらえますか?」黒田「保険の満期金ですね。まず、保険料の負担者と保険金の受取人が誰であるかにより、受取人に課される税金の種類が異なります。保険料の負担者と保険金の受取人が同一の場合は、所得税の課税対象となります。保険料の負担者と保険金の受取人が異なる場合は、贈与税の課税対象となります。」旭課長「私の場合、保険料の負担も保険金の受取人も私本人の契約となっています。」黒田「でしたら今回の満期保険金は、所得税の課税対象となります。さらに満期保険金は受取方法によって所得の区分が異なります。満期保険金を一括で受け取った場合は一時所得、満期保険金を分割で年金のように受け取った場合は雑所得となります。」旭課長「所得の区分が違うということは、所得金額の計算方法が異なりますね。」黒田「はい、そうです。一括で受け取った場合は、受け取った満期保険金から今までに支払った保険料を差し引き、さらに一時所得の特別控除額50万円を差し引いた金額が一時所得となります。そして一時所得の場合、所得税の課税対象となるのは、この金額をさらに1/2にした金額です。年金で受け取る場合は、その年中に分割で受け取った保険金からその金額に対応する払込保険料を差し引いた金額が雑所得となります。」旭課長「一括で受け取ったほうが、一時所得の特別控除額50万円を差し引けるし、さらに課税の対象はその特別控除額を引いた残りの金額の1/2になるから納税額が低くなりそうですね。」黒田「所得税は、この一時所得または雑所得のほかに、給与所得等を合わせた総所得金額によって税率が決まります。総所得金額が多いほど税率が高くなりますので、この一時所得で総所得金額が増え、税率が変わるケースもあります。したがって、一時金で受け取った場合と年金で受け取った場合のどちらの方法が有利なのかを試算したほうがいいですね。ちなみに、年金の受給期間が選択できる契約である場合、受給期間を5年にする場合と10年にする場合では、負担税額が異なることもありますのでご注意ください。あと、年金で受け取った場合は、受け取った保険金からその金額に対する払込保険料を引いた金額が25万円以上の場合には、その金額に10.21%を乗じた所得税及び復興特別所得税が源泉徴収されます。」旭課長「はい、わかりました。どちらが有利か試算をして、保険金の受け取り方法を決めたいと思います。有難うございました。」
2019.09.13 16:58:21