遺言が必要な人とは?
2019年1月から遺言改正
今年である2019年1月から自筆証書遺言が改正されているのをご存知でしょうか。
民法第968条第1項は,自筆証書遺言をする場合には,遺言者が,遺言書の全文,日付及び氏名を自書して,これに印を押さなければならないものと定めています。
今回の改正によって新設された同条第2項によって,自筆証書によって遺言をする場合でも,例外的に,自筆証書に相続財産の全部又は一部の目録(以下「財産目録」)を添付するときは,その目録については自書しなくてもよいことになりました。
自書によらない財産目録を添付する場合には,遺言者は,その財産目録の各頁に署名押印をしなければならないこととされています。
子供のいないご夫婦
では、どんな人が遺言を書くべきなのでしょうか。
例えば、お子さんのいないご夫婦の場合。
夫が先に死亡すると、相続人は、「妻」と「夫の兄弟姉妹」となります。
遺言がなく、ご自宅や預金の名義変更をするときには、夫の兄弟姉妹(既に亡くなっている方がいれば、その子供)にハンコをもらわないといけません。
これ、リアルに想像すると、ゾッとしませんか。
何も言わず判を押してくれれば、まだしも、「ハンコ代」なんていわれようなものなら・・・。
もちろん、遺言があれば妻単独で名義変更が可能です。
こんな人が遺言必要
遺言が特に必要な人というのを、公証人役場のHPより一部抜粋加筆修正してお伝えします。
1.夫婦の間に子供がいない場合
夫婦の間に子供がいない場合に法定相続となると、夫の財産は、妻が4分の3、夫の兄弟が4分の1の各割合となります。
しかし、長年連れ添った妻に財産を全部相続させたいと思う方も多いでしょう。
そうするためには、遺言をしておくことが必要です。
兄弟には遺留分がありませんから、遺言さえしておけば財産を全部愛する妻に残すことができます。
2.再婚をし先妻の子と後妻がいる場合
先妻の子と後妻との間ではとかく感情的になりやすく、遺産争いが起こる確率も非常に高いので、争いの発生を防ぐため遺言できちんと定めておく必要性が特に強いといえます。
3.長男の嫁に財産を分けてやりたいとき
長男死亡後、その妻が亡夫の親の世話をしているような場合には、その嫁にも財産を残してあげたいと思うことが多いと思いますが、その嫁さんは相続人ではないので、遺言で嫁にも財産を遺贈する旨定めておかないとお嫁さんは何ももらえないことになってしまいます(改正により特別寄与制度が創設されましたが、現実的には遺言がお勧めです)。
4.内縁の妻の場合
長年夫婦として連れ添ってきても、婚姻届けを出していない場合には、いわゆる内縁の夫婦となり妻に相続権がありません。
したがって、内縁の妻に財産を残してあげたい場合には遺言をしておかなければなりません。
5.個人事業の場合
個人で事業を経営したり、農業をしている場合などは、その事業等の財産的基礎を複数の相続人に分割してしまうと、上記事業の継続が困難となるでしょう。
このような事態を招くことを避け、家業等を特定の者に承継させたい場合には、その旨きちんと遺言をしておかなければなりません。
6.相続人毎に承継させたい財産を指定したいとき
上記の他、相続人毎に承継させたい財産を指定したいときとか、あるいは、身体障害のある子に多くあげたいとか、遺言者が特に世話になっている親孝行の子に多く相続させたいとか、可愛いくてたまらない孫に遺贈したいとかのように、遺言者のそれぞれの家族関係の状況に応じて、具体的妥当性のある形で財産承継をさせたい場合には、遺言をしておく必要があります。
7.相続人が全くいない場合
相続人がいない場合には、特別な事情がない限り遺産は国庫に帰属します。
したがってこのような場合に、特別世話になった人に遺贈したいとか、お寺や教会、社会福祉関係の団体、自然保護団体、あるいはご自分が有意義と感じる各種の研究機関等に寄付したいなどと思われる場合には、その旨の遺言をしておく必要があります。
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