賞与支払届って何?
賞与支払届
あゆみ:また年金事務所からこんなものが届いたわ
ケン:賞与支払届ですね。賞与を支払ったらその届出書に賞与の支払額を記入し日本年金機構の広域事務センターに提出します。
あゆみ:なんでその賞与支払届をわざわざ提出しなければならないの?
ケン:一言で言えば、賞与にも社会保険料がかかるからです。
普段のお給料は毎月の額にそれほど変更がなければ1年に1回の算定基礎届で等級を修正するというお話は前回しました。賞与の場合はその会社により支給額が異なることから社会保険料の請求額も異なります。したがってその届出書の提出により請求額を確定させるわけです。
あゆみ:そうか。その届出書には何を書けばいいの?
ケン:賞与を支給した日と被保険者各人毎の賞与の支給額を記入します。被保険者の情報として整理番号と生年月日の欄もありますので合わせて記入してください。
賞与から差し引かれる社会保険料
あゆみ:賞与の社会保険料って通常のお給料と同じでいいの?
ケン:賞与の社会保険料は、支給額の1,000円未満を切り捨ててそれに健康保険料率9.9%、介護保険料率1.73%、厚生年金保険料率18.3%を乗じてその半分が本人負担分となります。賞与の支給額が同じであれば社会保険料も同じとなりますが、毎月のお給料の数か月分という会社の方が多いかもしれません。
あゆみ:そうすると、賞与からはかなり社会保険料が差し引かれるってことね。
ケン:そうなのかもしれません。実は平成14年までは賞与に対して社会保険料はわずかでした。実質、所得税のみ差し引かれると言っても過言ではなかったので、手取り額が多かったんです。平成15年からその部分が改正され賞与からも社会保険料が毎月のお給料と同じように差し引かれることとなりました。
賞与の源泉所得税
あゆみ:そういう歴史があったのね。ところで賞与の所得税も毎月の計算方法と違うの?
ケン:はい、違います。
① 前月分のお給料から社会保険料を差し引いた金額と扶養親族の数を源泉徴収税額表の「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表に当てはめると賞与の税率を求めることができます。
② この賞与の税率を賞与から社会保険料を差し引いた金額に乗じると賞与の所得税を算出することができます。
もし、賞与の金額が前月のお給料の額の10倍を超える場合は所得税の計算方法が異なりますのでご注意下さい。
あゆみ:そこまで賞与を支給することはないと思うわ。
ケン:念のため申し上げておきますと、
① 賞与から社会保険料を差し引いた金額を6で割ります。
② 前月のお給料から社会保険料を差し引いた金額に①の金額を加算し、源泉徴収税額表の「月額表」に当てはめ所得税額を求めます。
③ ②で求めた税額から前月のお給料から差し引かれた所得税を差し引きます。
④ ③の税額を6倍にして求めた税額が賞与の源泉所得税になります。
イメージ的には、賞与を6で割って算出したものを6倍したものが賞与の所得税です。ご参考まで。
あゆみ:ほんと、参考程度にしておくわ。