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税務行政の将来像は!?

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旭課長「黒田さん、最近の税務行政の動向はいかがですか?」

黒田「そうですね、最近の税制調査会では連結納税や国際課税が議題となっているようですので、これといったものはありませんが、6月に国税庁から『税務行政の将来像に関する最近の取組状況』という資料が公開されました。」

旭課長「何か興味深いものはありましたか。」

黒田「簡単な所得税確定申告が、昨年分の確定申告からスマートフォンやタブレットでできるようになっているのはご存知かと思いますが、利用可能な手続きは今後も順次拡大していく予定のようです。これ以外で身近なところでは、年末調整控除申告書作成用ソフトウェアというのを無料で提供して、各企業の従業員はそのソフトをダウンロードすれば、そのソフト上で必要事項等を入力してそのまま勤務先にオンラインで提出することが可能になるそうです。」

リエ「そういえば、前回の年末調整ではありませんでしたが、生命保険料等の控除証明書も電子化されるという話でしたよね。」

黒田「はい、まだ実用段階ではないようですが、いずれ控除証明書等が電子化されれば、電子化された控除証明書のデータに基づいて、年末調整で使用する保険料控除申告書への自動入力といったことも可能になるようです。各個人や各企業でのこういった効率化の実感は少ないかもしれませんが、日本中の会社員が今まで年末調整に要していた時間が短縮できたら全体では大きな効果といえるでしょう。」

旭課長「なるほど、その効果がどういった形になるかは別にして、全体での時間短縮は大きなものになるでしょうね。」

黒田「あとは身近な話ではないかもしれませんが、CRS情報の積極的活用というのもありましたね。」

リエ「CRS情報って何ですか?」

黒田「簡単に言いますと、各国で非居住者の金融口座情報が自動的に交換されるので、その交換によって得た情報ということです。」

旭課長「日本は日本に住む外国人や外国法人の日本での金融口座情報をその外国人等の母国へ情報提供するし、海外に金融口座を持つ日本人や日本法人の金融口座情報も入ってくるので、その情報を税務調査等に積極的に活用していくということですね。」

黒田「仰る通りです。税務当局が国外に資産を持つ納税者の情報を把握するのはかなり大変みたいなのですが、金融口座情報は以前に比べれば入手しやすくなっているのかもしれません。」

リエ「そのあたりは私には無縁ですが、身近なところでも色々と変化が起こりそうということですね。今後も何か情報があったら教えてください。」

黒田「はい、わかりました。」

監修

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税理士 坂部達夫

坂部達夫税理士事務所/(株)アサヒ・ビジネスセンター

 東京都墨田区にて平成元年に開業して以来、税務コンサルを中心に問題解決型の税理士事務所であることを心がけて参りました。
 おかげさまで弊所は30周年を迎えることができました。今後もお客様とのご縁を大切にし、人に寄り添う税務に取り組んでいきます。

メールマガジンやセミナー開催を通じて、様々な情報を発信しています。

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旭課長「黒田さん、最近の税務行政の動向はいかがですか?」黒田「そうですね、最近の税制調査会では連結納税や国際課税が議題となっているようですので、これといったものはありませんが、6月に国税庁から『税務行政の将来像に関する最近の取組状況』という資料が公開されました。」旭課長「何か興味深いものはありましたか。」黒田「簡単な所得税確定申告が、昨年分の確定申告からスマートフォンやタブレットでできるようになっているのはご存知かと思いますが、利用可能な手続きは今後も順次拡大していく予定のようです。これ以外で身近なところでは、年末調整控除申告書作成用ソフトウェアというのを無料で提供して、各企業の従業員はそのソフトをダウンロードすれば、そのソフト上で必要事項等を入力してそのまま勤務先にオンラインで提出することが可能になるそうです。」リエ「そういえば、前回の年末調整ではありませんでしたが、生命保険料等の控除証明書も電子化されるという話でしたよね。」黒田「はい、まだ実用段階ではないようですが、いずれ控除証明書等が電子化されれば、電子化された控除証明書のデータに基づいて、年末調整で使用する保険料控除申告書への自動入力といったことも可能になるようです。各個人や各企業でのこういった効率化の実感は少ないかもしれませんが、日本中の会社員が今まで年末調整に要していた時間が短縮できたら全体では大きな効果といえるでしょう。」旭課長「なるほど、その効果がどういった形になるかは別にして、全体での時間短縮は大きなものになるでしょうね。」黒田「あとは身近な話ではないかもしれませんが、CRS情報の積極的活用というのもありましたね。」リエ「CRS情報って何ですか?」黒田「簡単に言いますと、各国で非居住者の金融口座情報が自動的に交換されるので、その交換によって得た情報ということです。」旭課長「日本は日本に住む外国人や外国法人の日本での金融口座情報をその外国人等の母国へ情報提供するし、海外に金融口座を持つ日本人や日本法人の金融口座情報も入ってくるので、その情報を税務調査等に積極的に活用していくということですね。」黒田「仰る通りです。税務当局が国外に資産を持つ納税者の情報を把握するのはかなり大変みたいなのですが、金融口座情報は以前に比べれば入手しやすくなっているのかもしれません。」リエ「そのあたりは私には無縁ですが、身近なところでも色々と変化が起こりそうということですね。今後も何か情報があったら教えてください。」黒田「はい、わかりました。」
2019.07.12 16:12:38