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来年から適用される給与所得控除等の見直し

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リエ「基礎控除や給与所得控除などの改正って、たしか来年から適用されるんですよね。その内容について教えてください。」

黒田「わかりました。近年の働き方の多様化を踏まえ、働き方改革を後押しする観点から、平成30年度の税制改正において、基礎控除や給与所得控除などの見直しが行われました。まず基礎控除の改正についてですが、控除額が38万円から48万円に引き上げられましたが、合計所得金額が2400万円を超えるような高所得者については、その合計所得金額が2400万円超2450万円以下は32万円、2450万円超2500万円以下は16万円、2500万円超は0円と、控除額が段階的に引き下げられます。」

リエ「なるほど。所得税が減税となる場合と増税となる場合があるんですね。」

黒田「そうですね。ただし、基礎控除額が引き上げられた一方で、給与所得控除などが引き下げられていますので、所得税の減税となるのは自営業者などに限られます。給与所得控除は、給与所得者が給与収入を得るための必要な経費を概算で控除する制度で、給与収入にあわせて段階的に設定されていますが、今回の改正により給与収入が850万円以下の場合の給与所得控除額が一律10万円引き下げられるとともに、給与所得控除の上限額が適用される給与収入が1000万円超から850万円超に、給与所得控除の上限額が220万円から195万円にそれぞれ引き下げられました。」

リエ「基礎控除額が10万円引き上げられた一方、給与所得控除額が10万円以上引き下げられるため、給与収入が850万円を超えると所得税が増税になってしまうんですね。」

黒田「はい。なお、給与収入が850万円を超えていても、子育てや介護が必要な世帯の負担増などへの配慮として、所得金額調整控除が創設されました。給与収入が850万円を超える者が、23歳未満の扶養親族を有する場合又は本人、同一生計配偶者若しくは扶養親族が特別障害者に該当する場合には、所得金額調整控除として給与収入(1000万円を上限)から850万円を控除した金額の10%相当額を控除することができます。例えば、給与収入が1000万円の場合、給与所得控除額が220万円から195万円と15万円引き下げられますが、所得金額調整控除として1000万円から850万円を控除した金額150万円の10%相当額15万円を控除することができるため、子育てや介護が必要な世帯の所得税の負担は変わりません。」

リエ「なるほど。子育てや介護が必要な人の所得税の負担は変わらないのに対し、それ以外の人は所得税が増税になってしまうわけですね。」

黒田「残念ながらそうなります。また、給与所得控除額などの引下げに伴い、合計所得金額が10万円増加する影響から、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除などの所得控除を受けるための基準となる合計所得金額の要件がそれぞれ10万円ずつ引き上げられていますので、注意が必要です。」

リエ「わかりました。ありがとうございました。」

(給与所得控除額の速算表)
給与等の収入金額 給与所得控除額
改正前 改正後
162.5万円以下 65万円 55万円
162.5万円超、180万円以下 収入金額×40% 収入金額×40%10万円
180万円超、360万円以下 収入金額×30%+18万円 収入金額×30%+8万円
360万円超、660万円以下 収入金額×20%+54万円 収入金額×20%+44万円
660万円超、850万円以下 収入金額×10%+120万円 収入金額×10%+110万円
850万円超、1,000万円以下 195万円
1,000万円超 220万円

監修

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税理士 坂部達夫

坂部達夫税理士事務所/(株)アサヒ・ビジネスセンター

 東京都墨田区にて平成元年に開業して以来、税務コンサルを中心に問題解決型の税理士事務所であることを心がけて参りました。
 おかげさまで弊所は30周年を迎えることができました。今後もお客様とのご縁を大切にし、人に寄り添う税務に取り組んでいきます。

メールマガジンやセミナー開催を通じて、様々な情報を発信しています。

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リエ「基礎控除や給与所得控除などの改正って、たしか来年から適用されるんですよね。その内容について教えてください。」黒田「わかりました。近年の働き方の多様化を踏まえ、働き方改革を後押しする観点から、平成30年度の税制改正において、基礎控除や給与所得控除などの見直しが行われました。まず基礎控除の改正についてですが、控除額が38万円から48万円に引き上げられましたが、合計所得金額が2400万円を超えるような高所得者については、その合計所得金額が2400万円超2450万円以下は32万円、2450万円超2500万円以下は16万円、2500万円超は0円と、控除額が段階的に引き下げられます。」リエ「なるほど。所得税が減税となる場合と増税となる場合があるんですね。」黒田「そうですね。ただし、基礎控除額が引き上げられた一方で、給与所得控除などが引き下げられていますので、所得税の減税となるのは自営業者などに限られます。給与所得控除は、給与所得者が給与収入を得るための必要な経費を概算で控除する制度で、給与収入にあわせて段階的に設定されていますが、今回の改正により給与収入が850万円以下の場合の給与所得控除額が一律10万円引き下げられるとともに、給与所得控除の上限額が適用される給与収入が1000万円超から850万円超に、給与所得控除の上限額が220万円から195万円にそれぞれ引き下げられました。」リエ「基礎控除額が10万円引き上げられた一方、給与所得控除額が10万円以上引き下げられるため、給与収入が850万円を超えると所得税が増税になってしまうんですね。」黒田「はい。なお、給与収入が850万円を超えていても、子育てや介護が必要な世帯の負担増などへの配慮として、所得金額調整控除が創設されました。給与収入が850万円を超える者が、23歳未満の扶養親族を有する場合又は本人、同一生計配偶者若しくは扶養親族が特別障害者に該当する場合には、所得金額調整控除として給与収入(1000万円を上限)から850万円を控除した金額の10%相当額を控除することができます。例えば、給与収入が1000万円の場合、給与所得控除額が220万円から195万円と15万円引き下げられますが、所得金額調整控除として1000万円から850万円を控除した金額150万円の10%相当額15万円を控除することができるため、子育てや介護が必要な世帯の所得税の負担は変わりません。」リエ「なるほど。子育てや介護が必要な人の所得税の負担は変わらないのに対し、それ以外の人は所得税が増税になってしまうわけですね。」黒田「残念ながらそうなります。また、給与所得控除額などの引下げに伴い、合計所得金額が10万円増加する影響から、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除などの所得控除を受けるための基準となる合計所得金額の要件がそれぞれ10万円ずつ引き上げられていますので、注意が必要です。」リエ「わかりました。ありがとうございました。」
2019.07.08 16:57:00