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【一般】生命保険に関する税制改正

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 2019年の生命保険に関する新しい通達によって、従来の保険商品の節税効果は最小化されることとなった。新しい通達が示す経費処理の方法は以下のとおりである。なお、改正通達前の既契約についての遡及効は無いものとされる。従って、今後は同じ生命保険であっても2通りの経理処理が並行して行われることになる。

ピーク時返戻率

資 産 計 上 期 間      全 損 期 間     取 崩 期 間

50%以下

契約年齢や保険期間の長さにかかわらず全額損金算入

被保険者1人当りの年間支払保険料が20万円以下であれば全期間で全額損金算入

50%超

70%以下

(当初の4割期間)

支払保険料の40%資産計上

(次の3.5割期間)

支払保険料の100%損金算入

(最後の2.5割期間)

100%損金算入+資産計上額取崩し

70%超

85%以下

(当初の4割期間)

支払保険料の60%資産計上

(次の3.5割期間)

50%超~70%以下と同様の処理

(最後の2.5割期間)

50%超~70%以下と同様の処理

85%超

(例示による説明) 40歳男性が25年満期の保険金1000万円の低解返逓増定期に加入       (単位:円)

年度

年齢

保険料累計

解約返戻金

解約返戻率

解約返戻金 増加額

/①×100()

1

41

1,288,440 ①

74,000

5.7 %

             0

%

2

42

2,576,880

528,000

20.4

454,000

35.2

 

 

 

 

 

 

 

8

48

10,307,520

9,781,000

94.8

1,348,000

104.6

9

49

11,595,960

11,086,000

95.6

1,305,000

101.2

10

50

12,884,400

12,289,000

95.3

1,203,000

93.4

11

51

14,172,840

13,156,000

92.8

867,000

67.3

12

52

15,461,280

13,534,000

87.5

378,000

293

13

53

16,749,720

13,714,000

81.8

180,000

13.9

14

54

18,038,160

13,765,000

76.3

51,000

4.0

15

55

19,326,600

13,667,000

70.7

-98,000

-7.6

 

 

 

 

 

 

 

25

65

32,211,000

0

0.0

-2,809,000

-218.0

期間の区分と経理処理

資産計上

「解約返戻率のピーク」になる年度(9年目)と③が70%以下になる年度(11年目)のいずれか遅い方の年度まで

第1年

11

当初の10 (固定)

支払保険料×86.04%

(ピーク時返戻率の9)を資産計上

その後の年度

(第11年が該当)

支払保険料×66.92%

(ピーク時返戻率の9)を資産計上

全損

営業形状及び取崩しのいずれに該当しない期間

12

13

支払保険料の100%損金算入

取崩

解約返戻金が最高になる年度から保険期間終了年度まで

14

25

支払保険料の100%損金算入

       +

資産計上月の取崩(損金算入)

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一般社団法人コンサル技連

【コラム紹介文】
一般社団法人コンサル技連(略称:CML)/代表理事 吉永茂が、全国の士業事務所の皆様に、中小企業に対する“経営助言業務”の強化を図るための様々な視点を提示します。
 得意とする建設業種特化のみならず、幅広い業種に適用できるテーマを取り上げます。
【経歴】
1942年生まれ
中央大学卒
公認会計士・税理士
建設会社勤務中、公認会計士試験に合格。監査法人勤務を経て、35歳で独立、現在に至る。
熊本学園大学会計職専門大学院 専任教授(前職)
一般社団法人コンサル技連 代表理事
税理士法人ユース会計社 会長
京都大学経営管理大学院 特命教授

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 2019年の生命保険に関する新しい通達によって、従来の保険商品の節税効果は最小化されることとなった。新しい通達が示す経費処理の方法は以下のとおりである。なお、改正通達前の既契約についての遡及効は無いものとされる。従って、今後は同じ生命保険であっても2通りの経理処理が並行して行われることになる。
2019.06.05 18:18:27