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配偶者居住権の創設について教えてください!

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リエ「2020年4月1日に新設される配偶者居住権とは、どのようなものでしょうか。」

黒田「配偶者居住権とは、相続発生時に亡くなった方の所有していた建物に居住していた配偶者が、終身又は一定期間、その建物に住み続けることができる権利を言います。配偶者の保護を目的として創設されました。例えば、被相続人の遺産が自宅2000万円と預貯金1500万円だったとします。法定相続人が配偶者及び2人の子供の場合、基礎控除の範囲内となりますので相続税の心配はありませんよね。」

リエ「はい。基礎控除3000万円+600万円×3=4800万円まで相続税は課税されませんね。」

黒田「では、遺産を法定相続分で分割するとなった場合、どのような分け方になるでしょうか。」

リエ「法定相続分となると配偶者が1/2の1750万円で、子供たちが1/4ずつの875万円となりますね。」

黒田「もし配偶者が、自宅を相続して住み続けたいと希望すると法定相続分を超えてしまいますので、子供2人に対して250万円の現金を用意しなければなりませんよね。そうなれば、現金が用意できない場合には、自宅を売却して現金で分けなければならないでしょう。また、自宅を相続できたとしても、配偶者が現預金を相続することができないため、その後の生活に不安を残す形になってしまいます。仮に居住権の1000万円と評価することができるのならば、自宅を所有権1000万円と居住権1000万円に分割して考えることができますので、配偶者は居住権1000万円と750万円の現金を相続することができます。」

リエ「居住権と所有権を別々に考えるということは、所有権1000万円を他の法定相続人が相続するということですね。」

黒田「ただし、固定資産税は、所有している子供に課税されることになります。また、複数の相続人の共有名義とした場合、売却の検討をする際に話し合いが難航することも考えられます。」

リエ「配偶者居住権は、積極的に利用した方が相続税の節税になるのでしょうか。」

黒田「必ずしもそうではありません。配偶者居住権の評価は、複利現価表及び耐用年数、簡易余命表を使用して計算されます。配偶者の年齢が若いと配偶者居住権の評価額が高くなりますし、所有者の問題も含め、それぞれのケースによって最適な方法は異なるでしょう。配偶者居住権は、その配偶者に相続が発生した場合に消滅すると考えられていますが、現時点では断定することはできません。今後、発表される内容によっては、相続税の節税方法として検討される日がくるかもしれませんね。」

監修

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税理士 坂部達夫

坂部達夫税理士事務所/(株)アサヒ・ビジネスセンター

 東京都墨田区にて平成元年に開業して以来、税務コンサルを中心に問題解決型の税理士事務所であることを心がけて参りました。
 おかげさまで弊所は30周年を迎えることができました。今後もお客様とのご縁を大切にし、人に寄り添う税務に取り組んでいきます。

メールマガジンやセミナー開催を通じて、様々な情報を発信しています。

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リエ「2020年4月1日に新設される配偶者居住権とは、どのようなものでしょうか。」黒田「配偶者居住権とは、相続発生時に亡くなった方の所有していた建物に居住していた配偶者が、終身又は一定期間、その建物に住み続けることができる権利を言います。配偶者の保護を目的として創設されました。例えば、被相続人の遺産が自宅2000万円と預貯金1500万円だったとします。法定相続人が配偶者及び2人の子供の場合、基礎控除の範囲内となりますので相続税の心配はありませんよね。」リエ「はい。基礎控除3000万円+600万円×3=4800万円まで相続税は課税されませんね。」黒田「では、遺産を法定相続分で分割するとなった場合、どのような分け方になるでしょうか。」リエ「法定相続分となると配偶者が1/2の1750万円で、子供たちが1/4ずつの875万円となりますね。」黒田「もし配偶者が、自宅を相続して住み続けたいと希望すると法定相続分を超えてしまいますので、子供2人に対して250万円の現金を用意しなければなりませんよね。そうなれば、現金が用意できない場合には、自宅を売却して現金で分けなければならないでしょう。また、自宅を相続できたとしても、配偶者が現預金を相続することができないため、その後の生活に不安を残す形になってしまいます。仮に居住権の1000万円と評価することができるのならば、自宅を所有権1000万円と居住権1000万円に分割して考えることができますので、配偶者は居住権1000万円と750万円の現金を相続することができます。」リエ「居住権と所有権を別々に考えるということは、所有権1000万円を他の法定相続人が相続するということですね。」黒田「ただし、固定資産税は、所有している子供に課税されることになります。また、複数の相続人の共有名義とした場合、売却の検討をする際に話し合いが難航することも考えられます。」リエ「配偶者居住権は、積極的に利用した方が相続税の節税になるのでしょうか。」黒田「必ずしもそうではありません。配偶者居住権の評価は、複利現価表及び耐用年数、簡易余命表を使用して計算されます。配偶者の年齢が若いと配偶者居住権の評価額が高くなりますし、所有者の問題も含め、それぞれのケースによって最適な方法は異なるでしょう。配偶者居住権は、その配偶者に相続が発生した場合に消滅すると考えられていますが、現時点では断定することはできません。今後、発表される内容によっては、相続税の節税方法として検討される日がくるかもしれませんね。」
2019.06.03 16:43:41