事業承継税制の特例措置と認定経営革新等支援機関
1 認定経営革新等支援機関とは
平成30年度税制改正の事業承継税制の特例措置では、「認定経営革新等支援機関」がキーポイントとなります。
まず、特例措置の適用を受けるためには「認定経営革新等支援機関」の指導および助言を受けた当該会社が作成した「特例承継計画」を都道府県知事に提出し確認を受けなければなりません。
また、80%雇用確保要件を満たさない場合は、満たさない理由を記した「認定経営革新等支援機関」の意見が記載されている書類を都道府県知事に提出しなければなりません。その理由が経営状況の悪化である場合または正当なものと認められない場合にも、「認定経営革新等支援機関」からの指導および助言を受けて、当該書類にその内容を記載しなければなりません。
「認定経営革新等支援機関」は、中小企業・小規模事業者の多様化・複雑化する経営課題に対して、事業計画策定支援等を通じて専門性の高い支援を行うため、税務、金融および企業の財務に関する専門的知識を有し、これまで経営革新計画の策定等の業務について一定の経験年数を持っている機関や人(商工会議所、商工会、金融機関、税理士、公認会計士など)を、国が認定しているものです。
2 認定経営革新等支援機関の業務
支援機関の業務は、中小企業等経営強化法第21条第2項に規定されており、「経営革新(注1)若しくは異分野連携新事業分野開拓(注2)を行おうとする中小企業または経営力向上(注3)を行おうとする中小企業等の経営資源の内容、財務内容その他経営の状況の分析」、「経営革新のための事業若しくは異分野連携新事業分野開拓に係る事業または経営力向上に係る事業の計画の策定に係る指導および助言並びに当該計画に従って行われる事業の実施に関し必要な指導および助言」です。
(注1) 「経営革新」とは、事業者が新事業活動を行うことにより、その経営の相当程度の向上を図ることです(中小企業等経営強化法第2条第7項)。
(注2) 「異分野連携新事業分野開拓」とは、その行う事業の分野を異にする事業者が有機的に連携し、その経営資源(設備、技術、個人の有する知識および技能その他の事業活動に活用される資源をいいます。)を有効に組み合わせて、新事業活動を行うことにより、新たな事業分野の開拓を図ることです(中小企業等経営強化法第2条第9項)。
(注3) 「経営力向上」とは、事業者が、事業活動に有用な知識または技能を有する人材の育成、財務内容の分析の結果の活用、商品または役務の需要の動向に関する情報の活用、経営能率の向上のための情報システムの構築その他の経営資源を高度に利用する方法を導入して事業活動を行うことにより、経営能力を強化し、経営の向上を図ることです(中小企業等経営強化法第2条第10項)。
3 認定要件
次の各号のいずれにも適合していると認められる場合には認定を受けることができます。
① 基本方針に適合すると認められること。
② 次のいずれにも適合していると認められること(法人にあっては、その人的構成に照らして、次のいずれにも適合していると認められること。)。
イ 税務、金融および企業の財務に関する専門的な知識を有していることまたはこれと同等以上の能力を有すると認められること。
ロ 中小企業等に対する支援に関し、経営革新等支援業務に係る1年以上の実務経験を含む3年以上の実務経験を有していることまたはこれと同等以上の能力を有すると認められること。
このコンテンツの内容は、平成31年3月1日現在の法令等によっています。