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土地区画整理事業が完了した三方路地が広大地評価された例

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相続時点 平成25 年
更正時点 平成29 年
利用状況 被相続人の自宅
地積:約2,100 ㎡
奥行:約40m
用途地域 市街化区域
第一種住居地域
指定容積率:200%
最寄駅 徒歩20 分
開発許可基準 基準面積:500 ㎡
最低敷地面積:100 ㎡
開発事例① 敷地面積:1,150 ㎡
最低敷地:115 ㎡
開発事例② 敷地面積:1,303 ㎡
最低敷地:133 ㎡

 今回の事例の事実事項を確認しますと、評価対象地は埼玉県さいたま市内に所在し、最寄駅より徒歩20分、市街化区域内の第一種住居地域で指定容積率200%、地積2,100㎡で被相続人の自宅の敷地として利用されていました。
 評価対象地の周辺の地域は、最寄駅より徒歩20分のため、マンション等は見受けられず、有効な土地の利用方法が、戸建分譲地であることに、疑義はありませんでした。
 但し、過去に土地区画整理事業が完了しており、区画整理事業が完了後に、開発許可を得て戸建分譲された事例は、上記の2件のみでした。また上記の2件敷地は、区画整理が完了しているものの、一方路地で間口が狭く、奥行も35m以上ある土地で、開発道路を設けなければ戸建分譲ができない土地でした。

今回の広大地評価のポイントは、開発道路が必要か否かの1点のみです。

 開発道路が必要と主張するためには、「その地域の標準的な地積」を出来るだけ小さく(今回は、開発許可基準の最低敷地面積である100㎡)主張する必要があります。ただし、上記の開発事例2件は、115㎡と133㎡のため、開発許可基準よりも少し大きく分割されていました。
 そこで、開発事例以外に、開発許可の対象外となる、路地状敷地での分譲や、羊羹切りでの分譲等、区画整理が完了した後に戸建分譲された事例を徹底的に調べました。さいたま市内とは言え、駅から20分の距離にあるため、開発許可の対象とならない事例でも100㎡未満の事例は数件しか出てきませんでしたが、96㎡や99㎡の事例もあり、「その地域の標準的な地積」を100㎡と判断しました。
 そこで、開発想定図を下記のように作成しました。

 一見、開発想定図2の方が区画数も1区画増え、有効な開発方法に見えます。しかし、今回の事例のような2,000㎡を超える大規模敷地の場合、買主となるのは大手不動産分譲業者です。大手不動産業者は、開発想定図2のような路地状敷地での分譲はあまり行わず、開発想定図1のように開発道路を設け、綺麗な画地で分譲するケースが多くなります。周辺の分譲状況を見ると、大手不動産業者が購入し、開発道路を設けて区画割分譲されている事例も複数見受けられ、その旨を主張したところ、是認されました。
 尚、平成30年以降においては、「開発道路を必要とする土地」の要件が無くなるので、本件においては「地積規模の大きな宅地の評価」が適用出来ることになります。
 今回の事例のように、区画整理が完了した後の道路付けが良い三方路地や間口が広く奥行の浅い敷地等でも、周辺の利用状況によっては、広大地が認められるケースもあります。当事務所では、リスクが高いために広大地評価の適用を見送った等の理由による更正の請求のご相談も受け付けております。お電話のほか、FAXやEメールでの相談も受け付けておりますので、お気軽にご連絡ください。

執筆者情報

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沖田豊明

沖田不動産鑑定士・税理士事務所

埼玉県川口市にて平成11年に開所して以来、不動産オーナー様の相続案件に特化してまいりました。土地評価についてお悩みの税理士先生のための税理士事務所として、税務のわかる鑑定士として、同業者の皆様方と協業して、不動産オーナー様の相続問題解決に日々取り組んでおります。

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 今回の事例の事実事項を確認しますと、評価対象地は埼玉県さいたま市内に所在し、最寄駅より徒歩20分、市街化区域内の第一種住居地域で指定容積率200%、地積2,100㎡で被相続人の自宅の敷地として利用されていました。 評価対象地の周辺の地域は、最寄駅より徒歩20分のため、マンション等は見受けられず、有効な土地の利用方法が、戸建分譲地であることに、疑義はありませんでした。 但し、過去に土地区画整理事業が完了しており、区画整理事業が完了後に、開発許可を得て戸建分譲された事例は、上記の2件のみでした。また上記の2件敷地は、区画整理が完了しているものの、一方路地で間口が狭く、奥行も35m以上ある土地で、開発道路を設けなければ戸建分譲ができない土地でした。
2019.05.28 17:05:24