確定申告書の書面提出の際、源泉徴収票等の添付不要に
リエ「今回の税制改正で、所得税の確定申告書を提出する際に、従来添付が必要とされていた書類の一部が添付不要になると聞きしましたが、詳細を教えていただけますか。」
黒田「そうですね。平成31年度税制改正において、納税者の利便性向上を図る観点から国税関係手続を簡素化する措置が講じられました。その一つとして、平成31年4月1日以後に書面で所得税の確定申告を提出する場合には、『給与所得、退職所得及び公的年金の源泉徴収票』、『オープン型証券投資信託の収益の分配の支払通知書』、『配当等とみなされる金額の支払通知書』、『上場株式配当等の支払通知書』、『特定口座年間取引報告書』、『未成年者口座等につき契約不履行等事由が生じた場合の報告書』、『特定割引債の償還金の支払通知書』、『相続財産に係る譲渡所得の課税の特例のおける相続税額等を記載した書類』の添付が不要となりました。ただし、添付を省略するためには、所得税の確定申告書にその内容を記載する必要がありますので注意して下さい。」
リエ「今のお話を聞いて思い出しましたが、平成29年度分の所得税の確定申告から医療費の領収書の提出が省略されていましたね。確か領収書の提出の代わりに『医療費控除の明細書』に必要事項を記入することを要件に医療費の領収書が不要となりましたよね。当時、医療費の領収書を郵送する手間が省けた記憶があります。手続きが簡素化されることは、納税者にとっても楽になりますね。」
黒田「医療費の領収書の添付省略については、納税者の利便性向上というよりも、毎年膨大な量の領収書を整理保管しなければならなかった行政側のコスト軽減という面が強いと思いますが、いずれにしても国税当局が他の行政機関との情報連携等で記載事項の確認を行うことができる環境整備が整いつつあるのだと思います。」
リエ「なるほど。ところで、医療費の領収書は納税者が5年間保存することになっていますが、添付不要とされる書類の保存義務はあるのですか。」
黒田「今回の税制改正において、添付省略できるようになったものについては、保存義務はありませんが、e-Tax申告により添付を省略した書面については、税務署等から提示又は提出を求められることがありますので、法定申告期限から5年間保管する必要があります。」
リエ「何だか混乱しますね。納税者の保存書類が少なくなることは助かります。」
黒田「確かに少ないに越したことはないですね。保存書類が増えると煩雑になる恐れがありますので。」
リエ「よく分かりました。」