消費税の総額表示義務について
リエ「黒田さん、前に消費税率が5%から8%に変わる時に、商品価格は税込金額で表示しなければならなくなったと記憶していますが、当社はその義務はないということで問題ないですか。」
黒田「はい、リエさんが仰る総額表示義務は消費税法に規定されていますが、『不特定かつ多数の者に課税資産の譲渡等を行う場合』は、消費税を含んだ総額で価格表示をしなければならないとされていますので、御社は今のところ該当しません。」
リエ「わかりました、そうだろうとは思っていましたが、念のため確認させて頂きました。でも一般の小売店舗でも税抜価格で表示されているのを見かけますが、それは法律違反ということですか。」
黒田「いえ、必ずしもそうではありません。消費税法で総額表示義務が定められてはいますが、消費税転嫁対策特別措置法という期限付きの法律によって、税抜価格による表示も認められています。」
リエ「そうなんですか、かえって混乱しそうな気もしますが。」
黒田「確かに今は両方が認められていますので、消費者としては混乱しそうな気もしますが、その点は表示されている価格について、消費者が税抜価格と税込価格とを誤認しないよう適切な措置を講じることが法律で定められています。それに消費税転嫁対策特別措置法は、2021年3月末で失効することになっていますので、いずれ総額表示で統一される予定です。」
リエ「そういえば税抜価格であれば税抜と表示されているのが普通ですね。でも今回の消費税率改正は飲食料品の軽減税率もありますが、その価格表示方法について法律はないんですか。」
黒田「原則として総額表示をしなければならないというのは他のお店と同様ですが、今のところ軽減税率の表示方法に関する特別な法律はありません。おそらくですが、飲食店で少しだけテイクアウトがあるお店もあれば、その逆のお店もあるので一概には決められないということではないでしょうか。」
リエ「なるほど、それはそうかもしれませんね。」
黒田「ただ消費税8%のテイクアウト価格だけしか表示されていなくて、店内で飲食してから支払いを行う時に、10%で請求されたとしたらクレームの原因にもなりますし、不当景品類及び不当表示防止法に抵触する可能性もあるそうなので、やはり各事業者で工夫は必要になると思います。」
リエ「大変そうですね。他人事ながらそれぞれのお店がどういう表示にするのか、10月になったら少し注意してみることにします。」