3階建て賃貸共同住宅が建築されている角地を更正請求して広大地として是認された事例
今回の、更正の請求事案の事実事項を確認しますと、評価対象地は東京都23区内に所在し、最寄駅より徒歩約7分、容積率100%、地積約520平方メートルで、現況は3階建ての賃貸共同住宅(RC造)として利用されていました。評価対象地は南側奥行き19.64m、西側奥行き27.92mの角地であり、評価対象地の存する地域は、一般住宅のほか、賃貸共同住宅も多く見られる地域です。
本件の評価対象地が広大地に該当するかどうかは、以下のポイントを課税庁に説明する必要があります。
まず①賃貸共同住宅の敷地としての利用方法が地域の標準的な使用方法に合致しないこと、次に②戸建分譲地として開発に当たり、開発道路等の公共公益施設の負担を要すること、の2つです。
<① について>
過去のレポートにおいても何度か書いておりますが、3階建ての賃貸共同住宅の敷地が広大地に該当するかどうかの判断は、現に3階建ての賃貸共同住宅として有効に利用されているかではなく、その地域における標準的使用と合致しているかどうかで決まる事になります。
標準的使用が賃貸共同住宅かどうかの判定方法としては、その地域に賃貸共同住宅が何件存在するかではなく、賃貸共同住宅用地として土地が売買されるような地域であるかどうかです。一般的には、土地を購入した上で賃貸共同住宅経営をして採算が成り立つのは、都心の駅前や高度利用が可能な地域等、賃貸需要が非常に旺盛な地域に限定されます。それに比べて評価対象地は都内に存するものの、高度利用ができるほど格別に優れた容積率を有しているとは言えず、また、近隣に存する賃貸共同住宅の敷地の売買動向を調べたところ、いずれも地主の土地の有効活用として建てられたものであり、賃貸共同住宅を建設することを前提に土地取引が行われた事例を見受けることは出来ませんでした。これらを踏まえて、賃貸共同住宅の敷地としての利用方法は、地域の標準的使用になり得ないと判断しました。